看護師が休職を考える前に知っておくべき手続きとお金・復帰

看護師が休職を考える前に知っておくべき手続きとお金・復帰
📅 公開日: 2026年6月22日🔄 最終更新: 2026年10月31日

看護師が休職するときの基本の流れは、就業規則で休職の条件を確認し、受診して主治医の診断書を受け取り、上司へ報告したうえで、傷病手当金などの手続きを勤務先と進めることです。

休職できる期間の上限は勤務先の就業規則で決まります。傷病手当金は、条件を満たせば支給開始日から通算1年6か月まで受けられます(協会けんぽ「傷病手当金」の案内)。この2つは別々に数えます。

本記事では、休職の手続きの順番、休職期間の考え方、診断書、休職中のお金(傷病手当金・保険料・住民税・失業保険との違い)、復職や転職を考えるときの確認点を、公式ページで確認できた範囲で整理します。

勤務先や加入する健康保険によって扱いが異なる点は、その都度「どこで確認するか」も書いています。一次情報にしている公式ページは、協会けんぽ「傷病手当金」をはじめとする次の3つです。

目次

この記事でわかること

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  • 看護師が休職するまでの手続きの流れ(早見表)
  • 休職期間はどのくらいか、誰が決めるのか
  • 休職・離職に関する公表データ
  • 休職を考えるタイミングと心身のサイン
  • 診断書がなくても休職できるのか
  • 休職制度の基本と手続きの具体的な流れ
  • 傷病手当金・保険料などお金の仕組み
  • 傷病手当金と失業保険(基本手当)の違い
  • 休職中の過ごし方と、復職・転職の考え方

看護師が休職するまでの手続きの流れ(早見表)

休職するときは、①就業規則の確認、②受診と診断書、③上司への報告、④傷病手当金の申請準備、⑤療養と復職の確認、の順に進めます。休職の期間や給与の扱いは勤務先ごとに異なるため、最初に就業規則と人事・総務で確認するのが近道です。

いちばん多い迷いは「何から手をつければよいか」です。先に全体の順番だけ押さえておくと、体調が悪い中でも一つずつ進められます。各ステップの詳細は、この記事の後半で順に説明します。

  1. 就業規則を確認する。休職の条件・期間・給与の扱いを調べます。確認先は勤務先の人事・総務と就業規則です。
  2. 受診して診断書を依頼する。心療内科・精神科などで、休業が必要という医師の判断を診断書にしてもらいます。確認先は主治医です。
  3. 上司に報告する。師長・看護部長に、診断書があることと休職の希望を伝えます。人事・総務にも提出先を確認します。
  4. 傷病手当金の申請書を準備する。本人・事業主・主治医がそれぞれ記入します。確認先は加入する健康保険(協会けんぽ・健保組合)と勤務先です。
  5. 保険料と住民税の支払い方法を確認する。確認先は勤務先と市区町村です(住民税は東京都主税局「個人住民税」)。
  6. 療養し、復職を考える段階で面談を進める。主治医の判断をもとに、産業医や人事・総務と話し合います。

傷病手当金の申請書は、協会けんぽのよくあるご質問(傷病手当金)で「被保険者、事業主、主治医が各項目を記入する」と案内されています。自分だけで完結しないため、勤務先の担当者にも早めに声をかけておくと手続きが止まりにくくなります。

表の順番はあくまで一般的な目安です。職場によっては、休職願の書式や提出先、診断書の提出期限が決まっていることがあります。

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看護師の休職期間はどのくらい?決める人と傷病手当金の期間

休職できる期間の上限は、勤務先の就業規則で決まります。傷病手当金は同一の傷病で支給開始日から通算1年6か月までで、この2つは別々に数えます(協会けんぽ「傷病手当金」)。

「休職期間」と呼ばれるものは、決めている人が違います。先に分けて整理すると、いつ・誰に確認すればよいかが見えます。

期間の種類 決めるところ 確認先
休職できる期間の上限 勤務先の就業規則(勤続年数などで変わる規程もある) 人事・総務、就業規則
診断書に書かれる休養の期間 主治医の判断(延長が必要なときは診断書を出し直す) 主治医
傷病手当金の支給期間 同一の傷病で、支給を開始した日から通算1年6か月(協会けんぽのQ&A(傷病手当金)) 加入する健康保険
基本手当の受給期間の延長 病気やケガで引き続き30日以上働けないとき、最長3年まで(ハローワークインターネットサービス「基本手当について」) ハローワーク

傷病手当金の1年6か月は、勤務先の休職期間とは関係なく、健康保険の条件で決まります。復職して手当が支給されなかった期間は通算に数えません(協会けんぽ「傷病手当金」、詳しくは後述)。

休職期間が足りなくなりそうなとき

診断書の期間や就業規則の上限が近づいたら、次の順で動くと慌てずに済みます。

  1. 診断書の期間が終わる前に、主治医へ延長が必要かを相談する。
  2. 就業規則の上限に近いときは、満了後の扱い(延長、退職など)を人事・総務へ早めに確認する。
  3. 退職を考えるときは、退職後も傷病手当金を受けられる条件を加入先に確認する(協会けんぽのよくあるご質問(傷病手当金))。

休職期間の満了日や延長の可否は、勤務先ごとに異なります。自己判断で決めず、書面で確認しておくと後から食い違いが出にくくなります。

看護師の休職・離職に関する公表データ

日本看護協会の「2025年病院看護実態調査」では、2024年度の正規雇用看護職員の離職率は11.0%、新卒採用看護職員は8.4%、既卒採用看護職員は16.1%でした。病気で1か月以上の連続休暇を取った職員がいた病院は72.6%で、そのうちメンタルヘルス不調者がいた病院は79.5%です。

上の数値は、労働政策研究・研修機構(JILPT)の紹介記事(日本看護協会「2025年病院看護実態調査」)で確認できる公表内容です。調査は全国の病院8,022施設の看護部長に回答を依頼し、3,502施設から有効回答を得たものとされています。

ここから言えるのは、病気による長期の休みやメンタルヘルス不調が、病院の現場で珍しくない出来事として把握されているということです。「自分だけが弱いのではないか」と抱え込む必要はありません。

一方で、この調査は病院単位の集計です。個人が休職すべきかどうかを決める基準ではなく、診断や休職の判断は主治医と職場で行います。

離職率の数字の読み方

離職率11.0%は、2024年度の1年間に正規雇用の看護職員が離職した割合です。「入職して1年以内に辞める人の割合」ではないため、数字の意味を取り違えないようにしましょう。

新卒採用は8.4%、既卒採用は16.1%と、採用区分で水準が異なります。職場を変えても状況が変わらない場合もあるため、復職か転職かを考えるときは、自分の不調の原因(業務量・夜勤・人間関係など)を整理することが先です。

看護師が休職を考えるべきタイミングと心身のサイン

眠れない・食べられない状態が続く、出勤前に涙が出る、動悸がする、ミスが増えるといった変化が続くときは、休職を含めて受診を考えるタイミングです。判断は自己診断ではなく、主治医に症状を伝えたうえで行います。

真面目で責任感の強い人ほど、限界に気づかないまま働き続けがちです。休職を考えること自体は、仕事を続けるための選択肢を検討している状態であり、甘えではありません。

「自分が休んだら病棟が回らない」と感じる人も多いでしょう。ただ、人員配置は職場が調整する課題です。体調を崩した状態で働き続けることは、本人にも患者さんにもリスクがあります。

心と体に出やすいサイン

次のような変化が2週間以上続く、または日常生活や勤務に支障が出ているときは、早めの受診を考えてください。これは診断基準ではなく、受診を考える目安です。

区分 サインの例
睡眠 寝つけない、夜中や早朝に目が覚める、休日に寝込む
食事・体重 食欲がない、短期間で体重が変わる、過食が増える
気持ち 出勤前に涙が出る、何も楽しめない、ナースコールの音で動悸がする
仕事 ミスや確認漏れが増える、集中できない、患者さんや同僚の言葉に過敏になる
体 頭痛・腹痛・めまいなどが続く、体が重だるい

出勤前に涙が出るときの考え方

朝、制服に着替えようとして涙が出る、通勤中に動悸がするといった反応は、強いストレスがかかっているサインの一つです。我慢して出勤を続けるより、先に受診して専門家の意見を聞くほうが安全です。

受診の際は、いつから・どんな症状が・どのくらい続くかをメモして持参すると、短い診察時間でも伝えやすくなります。

受診前に準備しておくと伝わりやすいメモ

診察の時間は限られているため、事前にメモを作っておくと、状態を正確に伝えやすくなります。次の項目を、スマートフォンのメモ機能などに書き出しておきましょう。

メモの項目 書き方の例
いつから 不調を感じ始めた時期と、悪化したきっかけ(異動、夜勤の増加、人間関係の変化など)
症状 眠れない、食べられない、涙が出る、動悸がするなど、具体的な状態と頻度
仕事への影響 ミスが増えた、遅刻や欠勤が出た、業務に集中できないなど
勤務状況 夜勤の回数、残業時間、休日の取れ方
希望 休養したい期間の見込み、診断書が必要なこと、職場への伝え方の相談

医師に正直に伝えることが前提ですが、「つらさを大げさに話さなければ」と身構える必要はありません。見たまま・感じたままを話せば十分です。

受診先は、心療内科・精神科のほか、かかりつけの内科から相談する方法もあります。初診の予約が取りにくい場合もあるため、早めに電話やWeb予約をしておきましょう。

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診断書がなくても休職は可能なのか?

診断書がないと、正式な傷病休職や傷病手当金の手続きは進めにくいのが一般的です。ただし、受診までのつなぎとして有給休暇の取得や産業医面談を使える場合があります。扱いは職場ごとに異なるため、就業規則と人事・総務で確認してください。

「精神科に行くハードルが高い」「受診する気力がない」という声は少なくありません。まずは数日休んで受診の予約を取る、という順番が現実的です。

診断書が求められる理由

傷病手当金は「療養のための労務不能」であることが要件のひとつで、協会けんぽの案内でも、労務不能かどうかは医師の意見や業務内容などを考慮して判断すると案内されています。申請書にも主治医の記入欄があるため、診断書や意見の取得は避けて通れません。

職場側も、休む期間の見込みが分かれば人員調整をしやすくなります。口頭だけだと期間が不明確になり、受理されにくくなる点も押さえておきましょう。

産業医面談や有給休暇を活用する

産業医がいる職場では、人事・総務や師長を通じて面談を申し出られる場合があります。産業医の選任の有無や面談の窓口は職場によって異なるため、まず勤務先に確認してください。

受診の前に体を休めたいときは、有給休暇を使って数日休み、その間に予約を取る方法があります。有給休暇の取得ルール(申請方法・日数)は勤務先の規程に従います。

診断書を受け取るときに確認したいこと

確認項目 なぜ確認するか
休養が必要な期間の記載 勤務先に提出するときの期間の根拠になり、延長が必要なときの再提出の目安にもなる
提出先と提出期限 勤務先によって、人事・総務、師長など提出先が異なる
原本かコピーか 提出後も手元で内容を確認できるよう、コピーを残しておくと安心
費用と発行までの日数 医療機関によって異なり、発行に日数がかかる場合がある
傷病手当金の申請書の記入 診断書とは別に、申請書の主治医記入欄を依頼する必要がある

診断書の書式や記載内容は、勤務先から指定がある場合もあります。受診の前に、人事・総務に「診断書の書式に指定はあるか」を確認しておくと二度手間を防げます。

家族や身近な人にどう伝えるか

休職を一人で抱えるのが苦しいときは、身近な人に状況を共有することも助けになります。伝える範囲は、本人が安心できる人に限って構いません。

伝えるときは、「医師から休養が必要と言われたこと」「今は回復を優先したいこと」「手伝ってほしいことは何か」を具体的に話すと、相手も動きやすくなります。お金の不安があるときは、傷病手当金などの制度を使う予定であることも、あわせて共有しておくと安心につながります。

看護師の休職制度の基本と手続きの具体的な流れ

休職の期間・条件・休職中の給与の扱いは、勤務先の就業規則で定められているため、最初に就業規則を確認します。そのうえで、受診して診断書を受け取り、上司に報告して休職願などの書類を出す、という順で進めます。

休職の手続きは、職場の規程と、傷病手当金などの公的制度が重なるため複雑に見えます。順番に分けて進めれば難しくありません。

「迷惑をかける」という罪悪感は一度脇に置き、書類と日程を一つずつ確認していきましょう。

就業規則で休職期間を確認する

確認したいのは、休職できる条件、期間の上限、勤続年数による違い、休職中の給与の有無、賞与や昇給への影響、復職の手続きです。

就業規則は院内のイントラネットや総務課で見られることが多いです。見つけにくいときは、人事・総務の担当者に「休職制度の規程を確認したい」と伝えれば足ります。理由を細かく説明する必要はありません。

心療内科や精神科で診断書をもらう

症状(いつから、どんな状態か、仕事への影響)をメモして受診します。医師が必要と判断した場合に、休養が必要という内容の診断書が出ます。診断書に記載する休業期間は医師が判断するもので、本人が指定できるとは限りません。

診断書の発行には費用がかかる場合があります。金額や発行までの日数は医療機関によって異なるため、受付で確認しましょう。

師長や看護部長への報告の仕方

診断書を受け取ったら、直属の上司へ相談の時間をもらいます。伝える内容は「体調を崩して医師から休養が必要と言われたこと」「診断書があること」「必要な手続きを教えてほしいこと」の3点で十分です。

口頭で伝えにくいときは、メモを見せながら話しても構いません。上司の反応に関わらず、書類の提出先と期限は人事・総務にも確認しておくと安心です。

上司に伝えるときの話し方の例

言い方に迷うときは、次のように「事実」「医師の意見」「お願い」の順で伝えると、感情的にならずに話せます。

順番 伝える内容 例文
事実 体調が悪い状態が続いていること 「ここ数週間、睡眠がとれず、業務に集中できない状態が続いています」
医師の意見 受診して診断書が出たこと 「受診したところ、医師から休養が必要と言われ、診断書をいただきました」
お願い 必要な手続きと今後の流れの確認 「休職に必要な手続きと、提出書類の期限を教えていただけますか」

上司が話を受け止めてくれない、または相談しにくいときは、人事・総務の窓口、産業医、または上位の管理職に相談する方法もあります。相談した日時と内容は、自分用に簡単に記録しておくと後で役立ちます。

休職中の看護師のリアルなお金事情と傷病手当金

休職中の主な収入源は、健康保険の傷病手当金です。「業務外の病気やケガの療養」「労務不能」「4日以上休む(連続した3日間の待期のあと4日目から対象)」「給与の支払いがない」の4つを満たすと、1日あたり「支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均÷30日×2/3」が支給されます。

上の内容は協会けんぽ「傷病手当金」の案内に基づいています。病院が加入する健康保険が協会けんぽか健康保険組合かで、申請窓口や細かな運用が異なることがあります。加入先と勤務先の担当者に確認してください。

傷病手当金は自動で振り込まれる制度ではなく、申請が必要です。支給額・時期・書類の書き方で迷ったら、加入先の窓口に問い合わせるのが確実です。

傷病手当金の受給条件と申請方法

項目 内容(協会けんぽの案内)
支給の要件 業務外の病気・ケガの療養であること/療養のための労務不能であること/連続3日の待期を経て4日以上仕事を休んでいること/給与の支払いがないこと
1日あたりの額 支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均額÷30日×2/3(12か月に満たない場合は別の計算)
給与が一部出る場合 給与が傷病手当金より少ないときは差額が支給される
申請書の記入 被保険者(本人)、事業主、主治医がそれぞれ記入
提出先 加入する協会けんぽの支部(健保組合の場合は組合)

金額は、協会けんぽ「傷病手当金」の計算式に、標準報酬月額の平均が30万円の場合を仮に当てはめると、30万円÷30日×2/3で1日あたり約6,667円、30日分で約20万円という計算になります。これは式に数字を当てはめた仮の例で、実際の額は本人の標準報酬月額・支給日数・給与の有無で変わります。標準報酬月額は給与明細ではなく、加入先が定める等級の金額です。

申請は、給与の締め日ごとなど、月単位で行うよう案内されています(協会けんぽのよくあるご質問(傷病手当金))。初回の入金時期は、書類の提出状況で変わるため、加入先と勤務先で日程を確認しておきましょう。

傷病手当金の支給期間は通算1年6か月

支給期間は、同一の傷病について、支給を開始した日から通算して1年6か月です(協会けんぽのQ&A(傷病手当金))。2022年の制度改正により、途中で出勤して手当が支給されなかった期間は、1年6か月に数えない「通算」の考え方になりました。

たとえば手当を受けたあとに一度復職し、その後に同じ傷病で再び休むことになった場合、すでに支給を受けた日数を差し引いた残りの期間が対象になります。実際に残りが何日かは、加入先から届く支給決定通知などで確認してください。

なお、支給要件を満たさない日や、給与が支払われた日、ほかの給付との調整が必要な日には、支給されない・減額されることがあります。調整の対象になるかどうかは加入先に確認しましょう。

傷病手当金が支給されない・減額されることがあるケース

条件を満たしていても、次のような場合は支給されない、または減額されることがあります。申請前に、該当しないか確認しておきましょう。

ケース 扱い(協会けんぽの案内に基づく) 確認先
業務中・通勤中のケガや病気 健康保険の傷病手当金の対象は「業務外」の病気・ケガ。業務上は別の制度(労災保険)になる(協会けんぽ「傷病手当金」) 勤務先、労働基準監督署
待期期間が完成していない 連続した3日間の待期を満たしたあと、4日目以降が対象 加入先
給与が支払われている 給与が傷病手当金より少ないときは差額を支給。給与が多いときは対象にならない 勤務先、加入先
退職後の継続給付で、一度働ける状態になった その後に再び働けなくなっても、継続給付は支給されない旨の案内がある 加入先
老齢年金などを受けている 調整される場合がある 加入先、年金事務所

どのケースに当たるかの判断は、傷病の内容や勤務状況によって個別に決まります。迷ったときは、自己判断で申請を見送らず、加入先の窓口に事情を伝えて確認してください。

傷病手当金を申請するときの実務の順番

申請書は、本人、事業主、主治医の3者が記入するため、書類が行き来します。書類の流れを先に把握しておくと、提出の遅れを防げます。協会けんぽのよくあるご質問(傷病手当金)では、月単位で給与の締め日ごとに申請する方法が案内されています。

ステップ 内容 ポイント
1 加入先(協会けんぽ・健保組合)から申請書を入手する 勤務先の担当者が用意してくれる場合もある
2 本人が被保険者記入欄を書く 口座情報などの記載ミスに注意する
3 事業主(勤務先)が、勤務状況や給与の支払いについて記入する 休職開始日や出勤状況を事前に擦り合わせる
4 主治医が、療養の期間や労務不能であることなどを記入する 記入に日数や費用がかかる場合があるため、診察時に依頼する
5 加入先へ提出し、審査を受ける 内容に不備があると差し戻されることがある

書類の記入内容に迷うときは、自己判断せず、加入先の窓口に電話で確認するのが確実です。

また、給与や賞与など、ほかの収入が支払われた期間があると、支給額が調整されることがあります。休職中に受け取る収入がある場合は、申請前に勤務先へ伝えましょう。

休職中の社会保険料や住民税

休職中も、健康保険料・厚生年金保険料・住民税の支払いは続くのが一般的です。日本年金機構が案内している厚生年金保険料の免除は、産前産後休業と育児休業等の期間で、事業主の申出が必要です(日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」)。同ページには、病気休職が免除対象という記載はありません。

そのため、病気で休職する期間の保険料の扱い(誰が立て替え、どのように本人が支払うか)は、勤務先に確認してください。

給与天引きができないため、勤務先から請求書が届く、口座振込を求められるといった形が考えられます。

住民税は、東京都の案内では前年の所得に応じて課税され、給与所得者は特別徴収、そのほかの方は納税通知書で納めるとされています(東京都主税局「個人住民税」)。ほかの地域の取り扱いは、お住まいの市区町村で確認できます。

貯金と手当で生活費をやりくりするコツ

傷病手当金は給与の全額ではないため、固定費の見直しが効果的です。通信費、サブスクリプション、保険の特約などを一覧にして、毎月の支出から先に把握しましょう。

加えて、保険料などの支払い分を、手当が入った時点で先に取り分けておきます。使途を分けておくだけで、「手当を全部使ってしまい、支払いで困る」という状況を避けやすくなります。

休職中に確認しておきたいお金の項目

項目 休職中の扱いの確認先 チェックのポイント
給与 勤務先の就業規則・賃金規程 休職中に給与が出るのか、出ない場合はいつから止まるのか
傷病手当金 加入先の健康保険(協会けんぽ「傷病手当金」) 申請書の流れ、支給の対象期間、振込口座
健康保険料・厚生年金保険料 勤務先の人事・総務 請求の方法、支払い期限、立て替え払いの有無(保険料の免除対象は日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」)
住民税 お住まいの市区町村(東京都の案内は東京都主税局「個人住民税」) 納付書の届き方、納付が難しいときの相談
賞与・退職金 就業規則・賃金規程 休職期間が算定に含まれるかどうか
家賃・奨学金など 各契約先 返済の猶予や減額の相談ができるか

すべてを一度に確認しようとすると負担が大きくなります。まず勤務先の担当者に「休職中のお金の取り扱い」をまとめて聞き、そのうえで加入先や市区町村へ個別に問い合わせる順番がおすすめです。

奨学金や各種ローンは、返済の猶予や減額を受け付けている場合があります。契約先の窓口に相談し、手続きに必要な書類(診断書など)を確認しておきましょう。

傷病手当金と失業保険の違いと切り替えのタイミング

傷病手当金は「病気やケガで働けない間の生活保障」、失業保険(基本手当)は「働ける状態で仕事を探している人の生活保障」です。前提が正反対のため、働けない間は基本手当の対象になりません。(協会けんぽ「傷病手当金」・ハローワークインターネットサービス「基本手当について」)

働けない間の手当は協会けんぽ「傷病手当金」、基本手当は厚生労働省の雇用保険(基本手当)の案内ページで確認できます。働ける状態になってから、受給期間の延長の解除や求職の申し込みを進めます。

基本手当は、ハローワークに求職の申し込みをし、就職しようとする意思があり、いつでも就職できる能力があることなどが要件です。病気やケガですぐに働けない間は対象外とされています(ハローワークインターネットサービス「基本手当について」)。

傷病手当金と失業保険の比較

比較項目 傷病手当金(健康保険) 失業保険(雇用保険の基本手当)
対象になる状態 業務外の病気・ケガで療養のために労務不能 就職の意思と能力があり、求職活動をしている
支給期間 支給開始日から通算1年6か月 年齢・被保険者期間・離職理由により90〜360日
金額の目安 標準報酬月額の平均÷30日×2/3 賃金日額のおよそ50〜80%(年齢区分ごとの上限あり)
申請先 加入する健康保険(協会けんぽ・健保組合) ハローワーク
病気で働けない期間 手当の対象になりうる 受給できない。受給期間の延長を申請できる場合がある

表の失業保険側はハローワークインターネットサービス「基本手当について」で確認できる内容です。具体的な日数や金額は、年齢、被保険者期間、離職理由、賃金などで個別に決まります。

「退職したから失業保険」と先に決めず、いま働ける状態かどうかを主治医と確認し、そのうえで窓口で手続きを選びましょう。

退職後に傷病手当金を継続して受ける条件

退職後も傷病手当金を受けられる場合があります(資格喪失後の継続給付)。協会けんぽのよくあるご質問(傷病手当金)では、①退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること、②退職時に傷病手当金を受けているか、受ける条件を満たしていること、の2つが示されています。

同ページには「退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさない」旨の注意もあります。退職日の扱い(欠勤か有給休暇か、挨拶のための出勤の可否)は、勤務先と加入先に事前に確認してください。協会けんぽの案内には、退職後の継続給付で一度就労可能になると、その後に同じ傷病で再び働けなくなっても支給されない旨の案内もあります。

老齢年金などを受けている場合は調整があります(協会けんぽのQ&A(傷病手当金))。支給期間の1年6か月は、在職中の支給開始日から通算されます。

働ける状態になったら基本手当を検討する

病気で働けず基本手当を後回しにしたいときは、受給期間の延長という制度があります。ハローワークインターネットサービス「基本手当について」では、病気やケガで引き続き30日以上働けないとき、最長3年まで受給期間を延長できると案内されています。申請の期限や必要書類は、離職後の早い段階でハローワークに確認してください。

メンタルヘルス不調による退職が「特定理由離職者」にあたるかどうかは、離職の理由や状況で判断されます。該当の可否や給付制限の扱いは、窓口で離職票や診断書などをもとに確認してください。

看護師が休職期間中にやってはいけないNG行動とは?

休職中は、焦って早く復職する、職場の人と頻繁に連絡を取る、昼夜逆転の生活を続ける、の3つを避けると回復を妨げにくくなります。回復の進み方には個人差があるため、判断は主治医と相談してください。

休職しても「休んでいること」に罪悪感を抱く人は少なくありません。ここでは、回復を妨げやすい行動と、代わりにできることを整理します。

NG行動 起きやすいこと 代わりにできること
焦って早く復職する 再び体調を崩し、再休職になる 主治医の判断と職場の面談を経て、段階的に戻る
職場と頻繁に連絡する 仕事の緊張や罪悪感が戻る 手続きの連絡だけにして、窓口を一本化する
昼夜逆転の生活を続ける 睡眠が乱れ、体調の波が大きくなる 起きる時間を決め、朝に光を入れる

無理に早く復職しようとする

少し元気になると、「早く戻らないと迷惑がかかる」と焦りがちです。ただ、症状が軽く感じる時期でも、勤務に必要な体力や集中力が戻っているとは限りません。

復職のタイミングは、本人の感覚だけでなく、主治医の判断と職場側の確認も合わせて決めます(詳しくは後述の復職の項目を参照)。再び休むことにならないよう、段階的な復帰を職場に相談しましょう。

職場の人と頻繁に連絡を取る

病棟の状況が気になって連絡を取ると、仕事の緊張や罪悪感が戻りやすくなります。休職中の連絡は、書類の手続きなど必要なものに絞る、窓口を人事・総務や上司に一本化する、といった工夫が有効です。

同僚から個人的に連絡が来て負担になるときは、「療養に専念したいので、連絡は手続きのことだけにさせてほしい」と上司を通じて伝える方法もあります。

昼夜逆転の生活を続ける

夜勤のある仕事は生活リズムが乱れやすく、休職中は起きる時間・寝る時間がさらにずれやすくなります。毎日同じ時間に起きる、朝にカーテンを開けて光を入れるなど、小さな習慣から整えると、睡眠が安定しやすくなります。

睡眠の乱れが強い、眠れない状態が続くときは、自己判断で対処せず、主治医に伝えて相談しましょう。

休職中の看護師におすすめの過ごし方とリフレッシュ法

休職中は、回復の段階に合わせて過ごし方を変えるのが基本です。最初は休息を最優先にし、体調が安定してきたら、散歩や趣味など負担の小さい活動から少しずつ広げます。段階の見極めは主治医に相談してください。

休職は、これまで走り続けてきた自分のための時間です。「何かしなければ」と焦るより、今の状態に合う過ごし方を選びましょう。

まずは何もせず休む期間を作る(初期)

休職の初期は、睡眠と休息を最優先にします。寝てばかりでも、何もできなくても、治療の一部と考えて構いません。

本や動画を見る気力がない時期に、無理に予定を入れる必要はありません。通院と最低限の食事・睡眠を守れていれば十分です。

趣味や美容で自分をいたわる時間を持つ(中期)

少し気持ちに余裕が出てきたら、負担の小さいことから再開します。好きな映画を見る、スキンケアをていねいにする、入浴をゆっくり楽しむ、といった活動です。

大事なのは「やらなければ」ではなく「やってみたい」と思えることだけを選ぶことです。疲れが出たら、すぐに休む前提で組み立てましょう。

少し元気になったら散歩や軽い運動を取り入れる(後期)

体力が戻ってきたと感じたら、短時間の散歩から始めます。日中に外に出て体を動かすことは、生活リズムを整える助けになります。

運動の強さや時間は、主治医に相談して決めると安心です。調子の悪い日は休む、と決めておくことが、続けるコツです。

休職前から後までの1日の過ごし方の目安

休職に入ると生活のペースが急に変わるため、あらかじめ「最低限守ること」を決めておくと安定します。以下は目安であり、体調によって調整してください。

段階 優先すること 避けたいこと
休職の初期 通院、睡眠、食事を最優先にする 予定を詰め込む、職場の状況を頻繁に確認する
体調が少し安定してきた頃 起床時間をそろえる、短い外出を試す 睡眠時間が大きくずれる生活が続くこと
復職を考え始める頃 主治医に復職の見通しを相談する、通勤時間帯に外出してみる 自己判断で復職日を決める

どの段階でも、調子の悪い日は「予定をこなせなくてもよい日」と決めておくことが、回復の波と付き合うコツです。通院は自己判断で中断せず、気になる変化は診察で伝えましょう。

休職中にSNS発信や在宅ワークを考えるときの注意点

休職中に情報発信や在宅の仕事を考える人もいますが、傷病手当金は「労務不能」が要件のひとつです。収入のある活動や就労は、手当の扱いに影響する可能性があるため、始める前に加入先の健康保険と主治医へ確認してください。

気持ちの整理のために日記やSNSで発信する、という過ごし方もあります。ただし、それを仕事として行う、報酬を得る、といった形になると、手当の要件に関わる可能性があります。

始める前に確認したいこと

確認先は大きく3つです。①加入先の健康保険(協会けんぽ・健保組合)に、収入が発生する活動の可否と申請書への書き方、②主治医に、体調面で問題がないか、③勤務先に、副業・兼業の規程です。傷病手当金の要件は協会けんぽ「傷病手当金」で確認できます。

休職中の活動を職場に知られたくない気持ちがあっても、後から手続きの食い違いが起きるほうがリスクは大きくなります。事前に確認するほうが、結果的に安全です。

回復の段階に合わせて検討する

休職の初期は、仕事のことを考えず休むことを優先します。体調が安定し、主治医から活動の範囲について助言を得られてから、検討しても遅くありません。

「何もしていない自分」を責めて早く動くより、まず回復に集中するほうが、その後の選択肢も広がります。

復職・転職以外の第三の選択肢「フリーランス・在宅ワーク」

復職や転職のほかに、フリーランスや在宅ワークで働く道もあります。ただし、収入は安定しにくく、社会保険や福利厚生の面で会社員と条件が変わります。選ぶ前に、お金と保険の違いを整理しておくことが大切です。

在宅の仕事には、医療・健康分野の文章作成、SNS運用の補助など、看護師としての経験を使える領域があります。一方で、仕事の量や単価は人によって大きく異なり、一定の収入が保証されるものではありません。

在宅ワークの始め方は、看護師向け在宅ワークの記事でも整理しています。

看護師の経験を活かせる在宅の仕事

文章作成、情報の整理、SNS運用の補助などが例です。どの仕事でも、依頼者との契約内容、報酬の支払い条件、納期、守秘義務を事前に確認しましょう。

医療・健康に関する情報は、根拠となる公的な情報源を確認して書くことが求められます。経験談を書く場合も、個人が特定されないよう配慮が必要です。

病棟勤務と在宅ワークの比較

比較項目 病棟勤務(常勤) 在宅ワーク(フリーランス)
働く場所と時間 勤務先の規程に従う(夜勤がある場合も) 自宅など自分で選べる場合が多い
人間関係 患者・医師・同僚との連携が前提 文章中心のやり取りになる仕事もある
収入 毎月の給与が基本 仕事量や契約によって変動する
身体的負担 立ち仕事・夜勤による負担 座り仕事が中心になる場合が多い
社会保険 勤務先の健康保険・厚生年金に加入 国民健康保険・国民年金などに切り替わる場合がある(厚生年金保険料の免除対象は日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」)

どちらが良いかは、体調、収入の見通し、家族の状況によって違います。迷うときは、いきなり退職せず、まず休職や副業の範囲で試す、といった段階的な進め方が現実的です。

収入が下がる期間に備えて、傷病手当金(協会けんぽ「傷病手当金」)や基本手当(厚生労働省の雇用保険(基本手当)の案内ページ)の対象かどうかも先に確認しておきましょう。

自分のペースで働ける環境づくり

在宅で働く場合は、作業する場所と時間を決める、休憩を入れる、体調の悪い日の予備日を確保する、といった工夫が役立ちます。

仕事の量を最初から詰め込まず、体調の波に合わせて調整できる範囲で始めることが、長く続けるうえでの前提になります。

看護師が休職から復帰する際のステップと注意点

看護師が休職から復帰する際のステップと注意点の図解
看護師が休職から復帰する際のステップと注意点の要点を整理した図解

復職は、主治医の復職可能の診断書、産業医や職場との面談、試し出勤などの段階を踏んで進めるのが基本です。厚生労働省の手引きでは5つのステップとして整理されています。

復職は、厚生労働省の厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」で5つのステップとして整理されています。①病気休業開始と休業中のケア、②主治医による職場復帰可能の判断、③職場復帰の可否の判断と職場復帰支援プランの作成、④最終的な職場復帰の決定、⑤職場復帰後のフォローアップ、の流れです。

同手引きは事業者向けに書かれており、職場によって運用は異なります。ただ、本人にとっても「どの順番で何を確認するか」の目安になります。

復職は、休職に入るときと同じくらい負担がかかる場面です。体調の回復と、職場側の受け入れ準備の両方を確認しながら進めましょう。

主治医から復職可能の診断書をもらう

手引きでは、本人が職場復帰の意思を伝えると、事業者は主治医の「職場復帰可能の判断が記された診断書」の提出を求めるとされています。診断書には、就業上の配慮に関する具体的な意見が含まれることが望ましいと書かれています(厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」)。

診察では、睡眠・食欲・日中の活動量などを具体的に伝えます。「夜勤は難しい」「当面は日勤のみにしたい」など、働き方の希望があれば、診察で医師に共有しておきましょう。

同手引きには、主治医の判断が「病状の回復程度」に基づくことが多く、職場で求められる業務の遂行能力まで回復しているかとは限らない、という趣旨の記載もあります。そのため、産業医などが職場の業務内容を踏まえて確認することが重要とされています。

産業医や職場との面談で働き方を調整する

復職前の面談では、配属先(元の部署か異動か)、勤務時間、夜勤の扱い、業務の範囲について具体的に話し合います。

その場で無理な条件を引き受けるより、「最初は日勤のみ」「当面は短い勤務時間から」など、再び体調を崩さないための条件を、遠慮せずに伝えることが大切です。条件は書面やメールで残しておくと、後で認識のずれを防げます。

復職面談で確認しておきたい項目

確認項目 聞き方の例
配属先 元の部署に戻るのか、異動の可能性があるのか
勤務時間・日数 最初の数週間は時短や週の勤務日数を抑えられるか
夜勤・リーダー業務 夜勤や、重症患者の担当、リーダー業務をいつから再開するか
定期面談 復職後に産業医や上司と面談する機会があるか
再び体調を崩したとき 相談の窓口と、休む場合の手続き(診断書、傷病手当金の残りの期間など)

面談で確認した内容は、メモやメールで残しておきましょう。復職後に認識のずれが生じたときに、見返せる材料になります。

試し出勤や時短勤務などで段階的に慣らす

手引きは、正式な復職決定の前に「模擬出勤」「通勤訓練」「試し出勤」などの制度を設けている場合があると紹介しています。通勤訓練は自宅から職場の近くまで通常の経路で移動する練習、試し出勤は職場に一定期間継続して出勤する試みです(厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」)。

ただし、これらは職場に制度がある場合に使えるもので、全ての職場にあるとは限りません。処遇や災害時の扱いは、事前に職場と確認します。

復職後も、体調と勤務状況を確認するフォローアップが行われるのが望ましいとされています。再び不調を感じたら、早めに主治医や産業医、上司に相談してください。

元の職場に復帰するか、転職するか迷う休職中の看護師へ

復職か転職かは、不調の原因が解消できるかで考えます。原因が業務量や配置など調整できるものなら、元の職場で条件を変えて復帰する道があります。人間関係など職場の構造に根ざす場合は、異動や転職も選択肢です。急いで決めず、主治医とも相談してください。

復職への不安が強いときは、看護師の休職から復帰が怖い時の対処法|復帰しないという選択肢もあるも参考にしてください。

どちらが正しいという答えはありません。それぞれの特徴を表で整理し、「心が楽になるのはどちらか」という基準で考えてみましょう。

転職を視野に入れる場合は、看護師のキャリアチェンジの記事や退職の進め方の記事も参考になります。

元の職場に戻るメリットとデメリット

メリットは、業務の流れやシステムを知っているため環境の変化が少ないこと、休職の経緯を理解してもらいやすいこと、勤続年数や福利厚生を継続できる場合があることです。

デメリットは、不調の原因が残っていると再発しやすいことです。復職するなら、部署の変更、夜勤の免除、勤務時間の調整など、休職前と同じにならない条件を相談してください。

別の病院や施設へ転職するメリットとデメリット

メリットは、環境や人間関係をリセットでき、夜勤のない職場など働き方を選び直せる可能性があることです。

デメリットは、新しい職場のルールや人間関係を一から築くため、エネルギーが必要なことです。回復が十分でない時期の転職活動は負担が大きくなりやすいため、時期は主治医と相談して決めましょう。

決める前に整理したい3つの問い

復職か転職かを決める前に、次の3点を紙に書き出してみましょう。

1つ目は、不調の主な原因は何か(業務量、夜勤、人間関係、配置など)。2つ目は、その原因は、配置換えや勤務条件の調整で変えられるか。3つ目は、体調はどの程度回復していて、主治医はいつ頃の復帰を想定しているか。

原因が調整できそうなら復職、構造的に変えにくいなら異動や転職、という見通しが立てやすくなります。迷いが続くときは、主治医や産業医に整理を手伝ってもらいましょう。

復職と転職の比較ポイント

比較ポイント 元の職場へ復職 別の職場へ転職
環境の変化 少ない(業務やシステムを知っている) 大きい(人間関係や業務を一から覚える)
人間関係 変わらない(異動すれば変わる可能性) 一新できる
働き方の相談 休職の経緯を共有済みで相談しやすい場合がある 入職時の配慮は職場による
再発のリスク 不調の原因が残っていれば高まる 職場環境による
休暇・福利厚生 勤続年数や規程を引き継げる場合がある 勤務先の規程による

どちらを選ぶ場合でも、先に確認しておくと手続きの行き違いを避けられます。

休職を迷う看護師からのよくある質問(FAQ)

看護師の休職期間はどのくらいですか?
休職できる期間の上限は勤務先の就業規則で決まり、勤続年数などで変わる規程もあります。診断書の休養期間は主治医が判断します。傷病手当金は、同一の傷病で支給開始日から通算1年6か月までで、勤務先の休職期間とは別に数えます。
休職中の給料はどうなりますか?
休職中の給与の扱い(支給の有無・割合)は就業規則で決まっているため、勤務先に確認してください。給与が出ない場合は、条件を満たすと健康保険の傷病手当金を受けられます。給与が一部支払われているときは、差額が支給される仕組みです(協会けんぽの案内)。
傷病手当金はいつからもらえますか?
療養のために仕事を休み始めた日から連続した3日間が待期期間で、4日目以降が支給の対象です。実際の入金は申請後になり、初回の入金までに時間がかかることがあるため、加入先と勤務先で日程を確認しましょう。
傷病手当金はいつまでもらえますか?
同一の傷病について、支給を開始した日から通算して1年6か月です。途中で出勤して支給されなかった期間は、通算に数えません。退職後も条件を満たせば継続して受けられる場合があります。
傷病手当金と給与は両方もらえますか?
給与が支払われている期間は、傷病手当金は原則支給されません。給与が一部支払われていて、その額が傷病手当金より少ない場合は、差額が支給されます(協会けんぽの案内)。給与の有無や額は、勤務先の人事・総務に確認してください。
復職後に同じ病気で再び休むことになったらどうなりますか?
傷病手当金の支給期間は、同一の傷病について、支給を開始した日から通算して1年6か月です。復職して手当が支給されなかった期間は通算に数えないため、残りの期間が対象になる可能性があります。残りの日数は加入先で確認できます。
休職するとボーナスや退職金はどうなりますか?
ボーナスや退職金の扱いは就業規則や賃金規程で決まります。休職期間が算定に含まれるかどうかは勤務先で異なるため、人事・総務に確認してください。
休職中に転職活動をしても問題ありませんか?
法律で一律に禁止されているとは限りませんが、就業規則に副業・兼業や職務専念の規定があることがあります。傷病手当金の受給中は「労務不能」が要件のため、活動の内容によっては手当に影響する可能性もあります。勤務先と加入先に先に確認してください。
休職期間が終わっても回復しない場合はどうなりますか?
休職期間の満了後の扱い(延長、退職など)は就業規則で定められています。傷病手当金は、条件を満たせば通算1年6か月まで受けられ、退職後も継続給付の条件を満たせば引き続き受けられる場合があります。早めに勤務先と加入先に確認し、主治医とも相談してください。

まとめ:休職の手続きは順番と確認先を押さえて進める

看護師が休職するときは、就業規則の確認、受診と診断書、上司への報告、傷病手当金の申請準備、療養、復職または転職の検討、の順に進めます。

お金の面では、傷病手当金は通算1年6か月、退職後の継続給付には条件があり、失業保険(基本手当)は働ける状態になってから検討する制度です。休職中も保険料の支払いは続くのが一般的なので、先に支払い方法を確認しておきましょう。

勤務先や加入する健康保険によって扱いが異なる点は、就業規則・人事・総務、協会けんぽまたは健保組合、ハローワーク、市区町村で確認できます。体調の判断は主治医に相談し、一人で抱え込まないでください。

休職前に確認するチェックリスト

  • 就業規則で休職の条件・期間・給与の扱いを確認した。
  • 診断書の取得方法と提出先を確認した。
  • 傷病手当金の申請書の流れ(本人・事業主・主治医)を確認した。
  • 休職中の保険料の支払い方法を確認した。
  • 復職や転職を考える際の相談先(主治医・産業医・ハローワークなど)を確認した。

この記事は一般的な情報の整理であり、診断や治療、個別の手続きの可否を判断するものではありません。つらい状態が続くときは、早めに医療機関へ相談してください。

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