看護師のうつ・休職から復帰まで|手続きの流れと復帰前に確認すること

看護師のうつ・休職から復帰まで|手続きの流れと復帰前に確認すること
📅 公開日: 2026年3月22日🔄 最終更新: 2026年10月30日

看護師が心身の不調で休職を考えたとき、先に知っておきたいのは「何を、どの順番で、誰に確認するか」です。結論から言うと、流れは次の6つに分けて考えると整理しやすくなります。受診して医師に状態を伝える、診断書をもとに会社へ連絡する、休職の規則とお金(傷病手当金など)を確認する、休職中は回復を優先して過ごす、復帰を考え始めたら主治医と職場の両方の判断を確認する、復帰後も経過を見守る、の順です。

この記事では、休職の手続きとお金、休職中の過ごし方、復帰の判断の仕方を、厚生労働省と全国健康保険協会(協会けんぽ)の公開ページで確認できた範囲に絞ってまとめます。個人の体験談や、回復までにかかる期間の目安は載せていません。回復の経過も、休職の期間も、制度の細部も、人と勤務先によって異なるためです。診断や治療の判断は、受診先の医師と産業医が行うものです。この記事は、その相談に入る前の準備として使ってください。

いまが「もう頑張れない」と感じるほどつらい状態なら、読み進める前に、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳(厚生労働省)にある相談窓口を見てください。同サイトのトップページには、匿名で無料で相談できる「こころの耳相談」として、電話・SNS・メールの案内が載っています。

目次

看護師が心身の不調や休職を考える場面

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病棟勤務や夜勤で負担を感じる場面を整理した図解
病棟勤務や夜勤で負担を感じる場面を整理した図解

病棟勤務、夜勤、強い緊張が続く場面、朝になっても起き上がれない状態。図のようなきっかけで、休職という選択肢が頭に浮かぶ人がいます。休職を考えること自体は、仕事を投げ出すことではありません。体と心の状態を医師に見てもらい、働き続けるか、いったん休むかを判断する材料を集める行動です。

休職を考える場面は、人によってさまざまです。睡眠が取れない状態が続く、食事の味がしなくなる、出勤前に涙が出る、ミスへの不安が頭から離れない、休みの日も仕事のことで頭がいっぱいになる、といった変化が重なる場合があります。こうした変化は、疲れが重なった結果として出ることもあれば、受診が必要な病気のサインであることもあります。どちらなのかを自分だけで決めることはできないため、まず医療機関で相談する、という順番が基本になります。

看護師の場合は、「患者さんに迷惑をかける」「同僚に負担をかける」という思いが強く、受診や休職の相談が後回しになることがあります。ただ、判断力や注意力が落ちた状態で業務を続けることは、本人にとっても、職場にとっても望ましくありません。早めに相談するほど、休職以外の選択肢(業務量の調整、配置の相談、通院しながらの勤務など)を含めて話し合える余地が残ります。休職に進むかどうかは、相談した先で決めればよく、相談した時点で休職が決まるわけではありません。

夜勤の負担については、看護師の夜勤がつらい時の対処法で、夜勤なしで働く選択肢も整理しています。燃え尽きに近い状態が気になる場合は、看護師の燃え尽き症候群への対処法も参考になります。

休職の流れを先に確認する|受診から復帰後までの全体像

休職とは、病気やけがの療養のために、雇用契約を続けたまま一定期間仕事を休むことです。休職の名称や条件は勤務先の規則で決まるため、制度の有無や期間は、就業規則や人事・看護部で確認します。

厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(こころの耳に掲載されたPDF)は、病気休業の開始から復帰後のフォローアップまでを5つのステップで示しています。第1ステップは病気休業開始と休業中のケア、第2ステップは主治医による職場復帰可能の判断、第3ステップは職場復帰の可否の判断と職場復帰支援プランの作成、第4ステップは最終的な職場復帰の決定、第5ステップは職場復帰後のフォローアップです。この手引きは事業者向けの内容ですが、働く側が全体像をつかむ材料にもなります。

下の表は、この5つのステップに、受診と手続きの段階を加えて、休職の流れを働く側の目線で並べ直したものです。

段階 主に関わる人 この段階で確認すること
受診と診断書 医師 現在の状態、仕事を休む必要があるか、診断書に書いてもらう内容
会社への連絡 上司、看護部、人事 診断書の提出先、休職の規則、連絡の頻度と窓口
休職中の生活とお金 医師、健康保険の窓口 傷病手当金(協会けんぽ)の申請、通院の継続、生活リズム
復帰の意思の伝達 主治医、職場 復帰したい気持ちを職場へ伝える時期、復職診断書の準備
復帰の可否と支援プラン 産業医、上司、人事 復帰日、就業上の配慮、段階的な勤務の可否
復帰後のフォロー 主治医、産業医、上司 勤務状況、症状の再燃の有無、プランの見直し

表の順番どおりに進まない場合もあります。たとえば、受診を先延ばしにして出勤できなくなった、会社への連絡を家族が代わりに行った、というように、順番が入れ替わることはあり得ます。順番よりも、各段階で「誰に何を確認するか」を意識しておくほうが、あとで慌てずに済みます。

休職の手続きとお金の全体像は、看護師が休職を考える前に知っておくべき手続きとお金・復帰でも別の角度からまとめています。

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受診と診断書|医師に伝えることと準備しておくこと

診断書とは、医師が診察の結果として、病名や療養の必要性、仕事を休む必要があるかどうかなどを書いた文書です。休職の申し出や、傷病手当金の申請で必要になることがあります。

受診先は、心療内科、精神科、あるいは職場で指定された医療機関などがあり得ます。どこを受診するかに迷う場合は、こころの耳にある全国医療機関検索や、お住まいの地域の相談窓口を使って探す方法があります。初診の予約が取りづらい場合は、かかりつけの内科などで相談し、紹介を受ける方法もあります。

診察では、いつごろから、どんな変化が出ているかを伝えます。うまく話せるか不安な場合は、診察前に次のような項目をメモしておくと、伝え漏れを減らせます。

  • 気になる症状(眠れない、食欲がない、涙が出る、動悸がする、出勤前に体が動かないなど)と、いつごろから続いているか
  • 仕事のどの場面で負担を感じているか(夜勤、人間関係、業務量、責任の重さなど)
  • 睡眠と食事の状態、休日の過ごし方
  • いま飲んでいる薬や、これまでにかかった病気
  • 休職が必要かどうか、仕事を続ける場合に必要な配慮を医師に聞きたいかどうか

診断名は、問診や診察を通じて医師が判断します。インターネットの情報や、周りの人の経験から自分で診断名を決めて、それを前提に話を進めようとすると、医師との間でずれが生まれることがあります。気になる点は、診断名ではなく、実際の症状や困りごととして伝えるようにします。

診断書には、病名のほか、休養が必要な期間の見込みや、就業上の配慮に関する意見が書かれることがあります。書いてもらえる内容や、発行に費用がかかるかどうか、発行までの日数は、医療機関によって異なります。勤務先が診断書の様式を指定している場合もあるため、会社へ連絡する前に、提出する書類の形式を確認しておきます。

手引きは、病気休業の開始時に労働者から診断書(病気休業診断書)を提出してもらうことを、第1ステップの最初の項目に挙げています。診断書は、休職の申し出の根拠になる文書だと考えておくとよいでしょう。診断書をもらった後は、受診した事実や診断の内容を、会社にどこまで伝えるかも決める必要があります。手引きは、個人情報の取り扱いについて本人の了解を前提にするとしています。伝える範囲に迷ったときは、診断書の提出先(人事、看護部、産業医など)と、内容を知ることになる範囲を、先に確認しておきます。

適応障害と診断された場合の受診から回復までの流れは、看護師の適応障害|受診から回復までの流れと相談先で、受診の考え方を別の角度からまとめています。

会社への連絡と休職制度の確認|就業規則で見るところ

休職制度とは、病気やけがで働けない期間、雇用関係を保ったまま仕事を休む仕組みで、対象者や期間、休職中の給与の扱いは勤務先の規則に定められているのが一般的です。制度の有無と中身は、就業規則で確認します。

診断書を受け取ったら、勤務先へ連絡します。連絡先は、直属の上司、看護師長、看護部、人事のどれになるかが職場によって異なります。連絡するのがつらいときは、診察の際に医師へ相談し、診断書をもとに会社への伝え方を一緒に考えてもらう方法があります。体調が悪く自分で連絡できない場合は、家族に頼むこともできます。

会社に確認したいのは、次の点です。いずれも勤務先ごとに異なるため、就業規則の該当部分を読むか、人事や看護部に直接聞いて確かめます。

  • 休職制度があるか、対象になる条件は何か
  • 休職できる期間の上限と、延長や通算の扱い
  • 休職中の給与の扱い(支給されるか、無給か)
  • 社会保険料の負担の扱い(休職中の保険料を誰がどう支払うか)
  • 休職中の連絡窓口、連絡の頻度、診断書を出し直す時期
  • 有給休暇を休職の前に使えるかどうか
  • 復帰するときに必要な書類と手続き

手引きは、事業者が労働者に対して、病気休業中に利用できる傷病手当金などの公的支援制度や、職場復帰支援サービスの情報を伝えることが望ましいとしています。会社の担当者が、お金の手続きに慣れているとは限りませんが、制度の情報を求めること自体は、手引きの考え方に沿った相談です。

職場との連絡は、休職中の負担にもなり得ます。手引きは、休業者との接触のタイミングを職場復帰支援プログラムの策定の際に検討しておくことや、必要な連絡事項を除いて主治医と連絡をとったうえで実施することに触れています。連絡の頻度や手段(電話、メール、郵送など)に希望があれば、休職に入る前に伝えておくと調整しやすくなります。

休職中の過ごし方の全体像は、看護師の休職中の過ごし方ガイドにまとめています。

休職中のお金|傷病手当金の条件と注意点

傷病手当金とは、健康保険の被保険者が病気やけがで会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられないときに支給される給付です。全国健康保険協会(協会けんぽ)の傷病手当金のページで、条件と支給期間が説明されています。

協会けんぽのページによると、傷病手当金の給付対象になるのは、次の4つの要件をすべて満たす場合です。ここで示すのは協会けんぽに加入している人向けの説明です。健康保険組合や共済組合に加入している場合は、加入先の保険者に条件を確認してください。

要件 協会けんぽのページでの説明 確認するポイント
業務外の病気やけがの療養であること 業務上・通勤災害によるもの(労災保険の給付対象)は支給対象外 仕事が原因と考える場合は労災の相談も視野に入れる
仕事に就くことができないこと 療養担当者の意見などをもとに、仕事の内容を考慮して判断される 医師に、仕事を休む必要があることを診断書や意見書に書いてもらう
連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと 連続して3日間の待期の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給される 待期は連続した3日間でなければ成立しない。有給休暇や公休日も待期に含まれる
休業した期間に給与の支払いがないこと 給与が支払われている間は支給されない。給与が傷病手当金の額より少ない場合は、その差額が支給される 休職中の給与の扱いを、会社に先に確認する

支給期間は、協会けんぽのページでは、支給を開始した日から通算して1年6か月とされています。また、任意継続被保険者である期間中に発生した病気やけがについては、傷病手当金は支給されないと書かれています。支給額については、同じページの計算例で、標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額に3分の2を掛けて、1日あたりの額を求める形で示されています。実際の金額は、加入期間や標準報酬月額によって変わるため、見込み額は協会けんぽの支部や勤務先の担当者に確認してください。

退職を考えている場合は、同じページの「資格喪失後の継続給付」の説明を確認します。そこには、資格喪失の日の前日(退職日など)までに被保険者期間が継続して1年以上あり、資格喪失日の前日に傷病手当金を受けているか、受けられる状態であれば、資格喪失後も引き続き支給を受けられると書かれています。ただし、一度仕事に就けるようになった後で、再び仕事に就けなくなっても、傷病手当金は支給されないとも書かれています。退職や転職の時期によって扱いが変わるため、退職日を決める前に、保険者へ問い合わせておくことが大切です。

通院にかかる医療費については、厚生労働省の自立支援医療(精神通院医療)の案内に、精神疾患で通院による治療を続ける必要がある人の医療費の自己負担を軽減する制度が載っています。案内では、一般の公的医療保険で3割の負担となるところを1割に軽減し、世帯の所得に応じて月ごとの上限を設けると説明されています。対象になるかどうか、申請の手続きは、お住まいの自治体や主治医に確認します。入院医療の費用や、病院や診療所以外でのカウンセリングなどは対象外と案内されています。

お金の面で不安が大きいと、休職の判断そのものが遅れることがあります。休職中の収入の見込みと、貯金や固定費の状況を並べて、休職の期間をどのくらい見込めるかを、早めに整理しておくと安心につながります。休職・転職・副業を含めた選択肢の整理は、看護師辞めたいと思ったら読む記事にまとめています。

仕事が原因だと感じるときは|労災という考え方

精神障害の労災認定とは、発病した精神障害が仕事によるストレス(業務による心理的負荷)を主な原因とするかどうかを、国の認定基準に沿って判断する仕組みです。厚生労働省が「心理的負荷による精神障害の認定基準」を定めています。

傷病手当金は、業務外の病気やけがが対象で、業務上のものは労災保険の給付の対象とされています。このため、長時間労働や、ハラスメントのような出来事が発病の背景にあると感じる場合は、労災の可能性を確認する意味があります。厚生労働省の「精神障害の労災認定」のパンフレットによると、認定基準は令和5年9月に改正されています。同じパンフレットには、心理的負荷の評価期間は発病前おおむね6か月であること、労災請求には所定の請求書が必要であること、会社が廃止されている場合や事業主証明が得られない場合でも労災請求はできることが書かれています。

労災に当たるかどうかは、個別の事情をもとに、労働基準監督署が判断します。自分のケースが当てはまるかどうかを、この記事や自己判断で決めることはできません。相談先は、最寄りの都道府県労働局または労働基準監督署です。診察の際に、仕事との関係が気になることを医師にも伝えておくと、診断書や経過の記録に反映されることがあります。

労災の判断が出るまでの間の生活費や、傷病手当金との関係は、請求先の窓口で確認してください。ここで示した範囲は、パンフレットと協会けんぽのページで確認できた内容に限られます。

休職中の過ごし方|回復を優先する生活の整え方

休職中の過ごし方とは、仕事から離れた状態で、睡眠・食事・通院を軸に生活を整え、回復を優先して過ごすことです。何をどのくらいするかは、主治医と相談して決めます。

休職に入った直後は、気持ちが張り詰めていた反動で、何もできない日が続くことがあります。何もしない時間を「怠けている」と責めてしまう人もいますが、休職の目的は療養です。まずは、眠る、食べる、通院するという最低限の生活を守ることを優先します。

生活を整えるときは、次の順番で考えると負担が小さくなります。

  • 通院を続ける:予約日を手帳やカレンダーに入れ、症状の変化を医師に伝えられるよう簡単に記録する
  • 睡眠の時間帯をそろえる:夜勤のある生活が続いていた場合は、起きる時間を一定にすることから始める
  • 食事を抜かない:作る気力がないときは、簡単に食べられるものを用意しておく
  • できる範囲で体を動かす:散歩など負担の小さいものから、主治医に確認しながら取り入れる
  • 仕事の情報から距離を置く:同僚との連絡や職場の話題は、見る頻度を決める

やってよいことと避けたほうがよいことは、症状によって異なります。たとえば、旅行や転職活動、副業の開始は、本人にとって気分転換になる場合も、負担になる場合もあります。「元気になったように見えるから大丈夫」と周囲が判断するのではなく、主治医に確認してから決めるほうが、経過を乱しにくくなります。

休職中に収入が減ることへの不安から、すぐに副業を始めたいと考える人もいます。副業の可否は、勤務先の規則や、傷病手当金の条件(働いて報酬を受けた期間は支給に影響し得ること)に関わります。始める前に、勤務先と保険者の両方へ確認してください。協会けんぽのページには、仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見などをもとに、仕事の内容を考慮して判断されると書かれています。

家族や身近な人への伝え方に迷う場合は、詳しい説明を用意する必要はありません。「いま医師の指示で仕事を休んでいる」「連絡は少なめにしてほしい」といった、必要なことだけを伝えれば足ります。つらい気持ちを話せる相手がいない場合は、こころの耳の匿名の相談窓口も使えます。

復帰が怖いという気持ちが出てきたときは、看護師の休職から復帰が怖い時の対処法が参考になります。

復帰を考え始めたとき|主治医の判断と職場の判断は別

職場復帰の判断とは、主治医が病状の回復程度から復職の可能性を判断する段階と、職場が必要な業務を行えるかを確認して決める段階の、二つが組み合わさったものです。手引きはこの二つを分けて説明しています。

手引きの第2ステップでは、労働者が職場復帰の意思を伝えると、事業者は主治医による職場復帰可能の判断が記された診断書(復職診断書)を提出するよう伝えるとされています。そのうえで手引きは、主治医の診断書は病状の回復程度から復帰の可能性を判断していることが多く、ただちにその職場で求められる業務遂行能力まで回復しているかどうかの判断とは限らない、という点に留意するよう書いています。また、診断書には、労働者や家族の希望が含まれている場合もあるとしています。

このため、産業医等が、主治医の判断と、職場で必要とされる業務遂行能力の内容を精査し、対応について意見を述べることが重要だと説明されています。「医師が復帰してよいと言ったのに、職場ですぐ復帰とならない」と感じる場面があっても、これは手引きが想定している手順の一部です。復帰の時期が思ったより先になったときは、判断が二段階になっていることを思い出してください。

手引きに沿った5つのステップを、働く側が準備しておくことと合わせて表にしました。

ステップ 手引きの内容 働く側が準備しておくこと
第1ステップ 病気休業開始および休業中のケア。病気休業診断書の提出、管理監督者や産業保健スタッフによるケア 診断書の提出、連絡窓口と頻度の確認
第2ステップ 主治医による職場復帰可能の判断。復職診断書の提出、産業医等による精査、主治医への情報提供 復帰したい気持ちを職場に伝える時期を主治医と相談する
第3ステップ 職場復帰の可否の判断と職場復帰支援プランの作成。意思の確認、状態と職場環境の評価 復帰後の働き方の希望(勤務時間、業務内容、配置)を整理する
第4ステップ 最終的な職場復帰の決定。状態の最終確認、就業上の配慮等に関する意見書の作成、事業者による決定 復帰日、配慮の内容、連絡先を書面で確認する
第5ステップ 職場復帰後のフォローアップ。再燃・再発の確認、勤務状況の評価、プランの見直し 面談の予定と、つらくなったときの相談先を決めておく

手引きはまた、第3ステップ以降は、医学的に業務に復帰するのに問題がない程度に回復した労働者を対象にしている、と書いています。回復の途中で、復帰を急ぐ必要はありません。主治医が復帰の時期について何と言っているかを、折に触れて確認しておきます。

復帰前に確認すること|産業医面談・復帰プラン・試し出勤

職場復帰支援プランとは、復帰日、就業上の配慮、人事労務管理上の対応、フォローアップなどを、復帰前に職場と本人がまとめておく計画のことです。手引きは第3ステップでの作成を挙げています。

手引きによると、職場復帰支援プランには、職場復帰日、管理監督者による就業上の配慮、人事労務管理上の対応、産業医等による医学的見地からみた意見、フォローアップなどが含まれます。復帰前の面談では、これらの項目が自分の状況に合っているかを一つずつ確かめます。

産業医が選任されている職場では、産業医が復帰の判断に関わります。手引きは、産業医が選任されていない50人未満の小規模な事業場では、人事労務管理スタッフ、管理監督者、衛生推進者または安全衛生推進者が、主治医や、地域産業保健センターなどの事業場外の資源を活用しながら判断すると説明しています。自分の職場に産業医がいるかどうか分からない場合は、復帰の話を始める前に、人事や看護部に確認します。

復帰前の確認事項を、チェックリストにまとめました。

  • 復帰日と、最初の勤務の形(勤務時間、勤務日数、日勤のみかどうか)
  • 業務内容の範囲と、当面外してもらう業務(夜勤、受け持ち人数、急変対応など)
  • 配属先(元の部署か、別の部署か)と、上司になる人
  • 産業医や上司との定期的な面談の有無と頻度
  • つらくなったときの連絡先と、勤務を調整する手順
  • 主治医に提出する、職場で必要とされる業務の情報
  • 復帰後の通院の日程と、通院のための休みの取り方

手引きは、主治医に対して、職場で必要とされる業務遂行能力の内容や社内の勤務制度などの情報をあらかじめ提供したうえで、就業が可能であるという回復レベルで復職に関する意見書を記入するよう依頼することが望ましい、と書いています。復帰の話を進めるときは、職場から主治医へ情報が渡るかどうかも、確認しておきたい点です。

段階的に復帰するための仕組みとして、手引きは、復帰前の「模擬出勤」「通勤訓練」「試し出勤」を挙げています。模擬出勤は、通常の勤務時間帯に、短時間または通常の勤務時間で、デイケアなどで模擬的な軽作業やグループミーティングなどを行ったり、図書館などで時間を過ごしたりすることです。通勤訓練は、自宅から職場の近くまで通常の出勤経路で移動し、そのまま、または職場付近で一定時間を過ごして帰宅することです。試し出勤は、復帰の判断などを目的として、本来の職場などに試験的に一定期間継続して出勤することです。

手引きは、これらの制度を導入する際は、期間中の処遇や、災害が発生した場合の対応、人事労務管理上の位置づけなどを、あらかじめ労使で十分に検討し、一定のルールを定めておく必要があるとしています。これらの制度があるかどうかは職場によって異なります。制度がない職場でも、勤務時間を短くして始められるか、といった相談はできます。

復帰後のつらさや再発の不安に備える意味でも、復帰前の段階で、つらくなったときの対応を決めておくことが役に立ちます。復帰直後は、できることを増やすよりも、決めた範囲を安定して続けることを優先します。

病棟復帰ではなく訪問看護を選んだ理由

病棟復帰ではなく訪問看護を選んだ理由の図解
病棟復帰ではなく訪問看護を選んだ理由を4ステップで整理した図解

この見出しと図は、病棟への復帰だけでなく、訪問看護などの別の働き方も視野に入れて考える場合の、検討の流れを示したものです。図に並ぶ4つの段階は、心と体を休める、働き方を見直す、別の働き方を知る、自分のペースで戻る、という順番です。ここでは特定の誰かの経過ではなく、復帰先を考える人が一般的に確認しておきたい点として整理します。

復帰先の選択とは、休職前と同じ職場・同じ部署に戻るか、異動や転職を含めて別の環境で働くかを、体調と希望に合わせて決めることです。どれが正しいかは人によって異なります。

まず、休む段階では、復帰先を急いで決める必要はありません。次の段階の働き方の見直しでは、何がつらさの原因だったのかを分けて考えます。夜勤の負担、人間関係、業務量、責任の重さなど、原因によって、合う復帰先は変わります。原因が夜勤にあるなら、夜勤のない職場や部署が候補になり、人間関係にあるなら、異動や職場の変更が候補になります。

三つ目の段階は、別の働き方を知ることです。訪問看護、クリニック、健診センター、企業の健康管理室、介護施設など、病棟以外にも看護職が働く場はあります。ただし、どの場でも負担がゼロになるわけではありません。たとえば訪問看護では、利用者の自宅で一人で判断する場面や、移動、緊急時の連絡体制(オンコール)の有無が、事業所によって異なります。見学や面談で、勤務の実態を直接聞いて確かめることが大切です。訪問看護への転職の利点と注意点は、訪問看護に転職するメリット・デメリットで詳しく整理しています。

四つ目の段階は、自分のペースで戻ることです。復帰先が病棟でも別の職場でも、主治医や産業医、職場と相談して、勤務の形を段階的に増やしていく考え方は変わりません。

復帰先の選択肢を、特徴と確認したい点の面から比べると、次のようになります。表の内容は一般的な整理であり、実際の勤務条件は職場ごとに異なります。

復帰先の選択肢 利点として考えられること 確認したい点 向いている場面
同じ部署に復帰する 職場や仕事の流れに慣れている つらさの原因が変わっているか、業務量や配置の調整が可能か 原因が一時的なもので、環境が改善されている場合
同じ病院の別の部署へ異動する 職場を変えずに環境を変えられる 異動の可否と時期、異動先の勤務の形 特定の部署や人間関係が原因だった場合
別の病院へ転職する 職場の文化や規模を変えられる 転職活動の負担、勤務条件、休職中の転職活動の可否 職場の文化が合わなかった場合
病棟以外の看護職へ移る 夜勤の有無など、働き方を変えられる場合がある 業務内容、緊急時の体制、経験が活かせる範囲 病棟の働き方そのものが負担だった場合
看護職以外の仕事へ進む 働く環境を大きく変えられる 収入の見込み、資格を活かせるか、応募の条件 看護職以外の分野に関心がある場合

転職を選ぶ場合は、傷病手当金の扱い(退職の時期による違い)を、先に保険者へ確認してください。一般企業への転職の選択肢は、看護師から一般企業に転職する方法で紹介しています。

復帰後に気をつけること|フォローアップと再びつらくなったとき

職場復帰後のフォローアップとは、復帰後に症状の再燃や新しい問題が出ていないか、勤務状況や業務遂行能力はどうかを、本人・職場・医療の側で確認し続けることです。手引きは第5ステップとして位置づけています。

手引きの第5ステップには、疾患の再燃・再発や新しい問題の発生の有無の確認、勤務状況および業務遂行能力の評価、職場復帰支援プランの実施状況の確認、治療状況の確認、プランの評価と見直し、職場環境などの改善、管理監督者や同僚などへの配慮、が挙げられています。復帰して終わりではなく、復帰後の経過を確認する段階までが、手引きの流れに含まれています。

復帰後に確認したいサインとして、次のようなものがあります。複数が重なるときは、早めに主治医や産業医へ伝えます。

  • 眠れない、朝に起きられない状態が戻ってきた
  • 出勤前に体の不調や強い不安が出る
  • ミスが増えた、集中できない
  • 休日も仕事のことが頭から離れない
  • 食欲が落ちた、または食事の量が極端に変わった

「また休むと迷惑をかける」と考えて我慢してしまうと、状態を悪化させることがあります。復帰前の段階で、つらくなったときの連絡先と、勤務を調整する手順を決めておけば、サインに気づいた時点で動きやすくなります。復帰後も通院を続け、薬や通院の頻度を自分の判断で変えないことが大切です。

職場での配慮が実際に行われていないと感じたときは、まず上司や産業医に具体的な点を伝え、改善されない場合は人事や看護部へ相談します。職場に相談しづらい場合は、こころの耳の相談窓口や、事業者向けのものとして案内されている産業保健総合支援センター(さんぽセンター)、地域産業保健センターのような外部の窓口もあります。

復帰を目前にして不安が大きいときは、看護師が休職を考える女性へ|理由や手続き、過ごし方・お金の不安も参考にしてください。

相談先の整理|困りごと別にどこへ聞くか

休職と復帰の過程で生じる困りごとごとに、適した窓口を一覧にしました。一人で抱えず、困りごとに合う窓口を使います。

困りごと 主な相談先 メモ
つらい気持ちを誰かに話したい こころの耳相談(電話・SNS・メール) トップページで、匿名で無料で相談できると案内されている
症状や休職の必要性を知りたい 心療内科・精神科などの主治医 診断や治療の判断は医師が行う
休職の規則や給与の扱いを知りたい 勤務先の人事、看護部、就業規則 制度の有無や期間は勤務先ごとに異なる
傷病手当金の条件や申請を知りたい 加入している健康保険の保険者(協会けんぽなど) 協会けんぽの場合は加入している支部へ申請書を提出する(協会けんぽの傷病手当金ページ)
通院の医療費を抑えたい 自立支援医療(精神通院医療)の窓口、主治医 対象かどうかと手続きは、案内ページで確認する
仕事が原因だと感じる 最寄りの都道府県労働局・労働基準監督署 労災の可否は個別の事情で判断される
復帰の時期や配慮を相談したい 産業医、上司、人事、主治医 主治医と職場の判断が別である点に留意する

相談先を決めたら、連絡先と相談したい内容を、スマートフォンのメモなどにまとめておきます。つらい状態では、いざというときに連絡先を探す余力が残らないことがあります。事前に控えておくだけで、行動への負担がかなり軽くなります。

休職の相談を職場の中だけで完結させる必要はありません。社外の窓口を使うことは、職場との関係を損なう行為ではなく、自分の状態を整理するための手段です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 看護師の休職は、どのくらいの期間取れますか。
休職できる期間は、勤務先の規則で定められています。期間の上限や、延長・通算の扱いは職場によって異なるため、就業規則や人事で確認してください。傷病手当金の支給期間とは別の話で、協会けんぽのページでは、傷病手当金の支給期間は支給を開始した日から通算して1年6か月とされています(協会けんぽ)。傷病手当金のページで確認できます。
Q2. 診断書があれば、そのまま休職できますか。
診断書は休職を申し出る際の根拠になる文書ですが、休職が認められるかどうかや条件は、勤務先の規則によって決まります。診断書を出す前に、休職制度の有無と対象条件を確認しておくと、手続きが進めやすくなります。
Q3. 休職中に傷病手当金をもらうには、何が必要ですか。
協会けんぽのページでは、業務外の病気やけがの療養であること、仕事に就けないこと、連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと、休業期間に給与の支払いがないこと、の4つが要件とされています。申請書は、加入している協会けんぽの支部へ提出します。他の保険者に加入している場合は、その保険者へ確認してください。
Q4. 退職してしまうと、傷病手当金は受け取れなくなりますか。
協会けんぽのページには、資格喪失の日の前日までに被保険者期間が継続して1年以上あり、資格喪失日の前日に傷病手当金を受けているか受けられる状態であれば、資格喪失後も引き続き支給を受けられる、という説明があります。ただし、一度仕事に就けるようになった後で再び仕事に就けなくなっても支給されない点にも注意が必要です。退職を決める前に、保険者へ確認してください。
Q5. 主治医が復帰してよいと言ったのに、職場がすぐ復帰を認めないのはなぜですか。
厚生労働省の手引きは、主治医の診断書は病状の回復程度から復帰の可能性を判断していることが多く、ただちにその職場で求められる業務遂行能力まで回復しているかどうかの判断とは限らない、としています。そのため、産業医等が精査したうえで、職場として復帰の可否を判断する流れになっています。
Q6. 復帰前に職場でためしに働いてみることはできますか。
手引きは、復帰前の「模擬出勤」「通勤訓練」「試し出勤」を挙げています。ただし、これらの制度があるかどうかや、期間中の処遇は職場ごとに定めるものです。制度の有無は、人事や看護部、産業医に確認してください。
Q7. 仕事が原因で調子を崩したと思う場合は、どうすればよいですか。
厚生労働省のパンフレットには、精神障害の労災認定の基準が示され、請求には所定の請求書が必要で、事業主証明が得られない場合でも請求はできると書かれています。判断は個別の事情によるため、最寄りの都道府県労働局または労働基準監督署へ相談してください(厚生労働省パンフレット)。

まとめ|休職の流れを知って、確認する順番を決めておく

心身の不調で休職を考えるときは、受診、診断書、会社への連絡、休職制度の確認、お金の手続き、休職中の過ごし方、復帰の判断、復帰後のフォローアップの順に、誰に何を確認するかを整理すると進めやすくなります。

  • 不調を感じたら、自分で診断名を決めず、医療機関で状態を伝える
  • 休職の期間や給与の扱いは勤務先の規則で決まるため、就業規則と人事で確認する
  • 傷病手当金は、協会けんぽのページの4つの要件と支給期間を確認し、他の保険者の場合は加入先へ問い合わせる
  • 仕事が原因と感じる場合は、労働基準監督署に労災の相談ができる
  • 復帰は、主治医の判断と職場の判断が別である点を踏まえて進める
  • 復帰前に、産業医面談、復帰支援プラン、段階的な勤務の可否を確認する
  • 復帰後は、再燃のサインと相談先を決めておく

つらさが強いときは、一人で結論を出さず、主治医やこころの耳の相談窓口を使ってください。休職の期間も、復帰の時期も、人によって異なります。他の人のペースと比べず、確認できたことから順に進めていけば十分です。

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