看護師の夜勤手当と深夜割増賃金の確かめ方|給与明細の見方と相談先

看護師の夜勤手当と深夜割増賃金の確かめ方|給与明細の見方と相談先
📅 公開日: 2026年10月29日🔄 最終更新: 2026年10月30日

看護師の「夜勤手当」は法律が決めている名称ではなく、深夜に働いた分の割増賃金は労働基準法が定める別の仕組みです。確かめる順番は、夜勤手当が就業規則・賃金規程でどう定められているか、深夜(原則として午後10時から午前5時)の労働に2割5分以上の割増賃金が支払われているか、時間外・休日と重なった分が上乗せされているかの3つです(厚生労働省 確かめよう労働条件 割増賃金のチェック方法)。

この記事では、2026年10月28日に開いて確認できた厚生労働省の「確かめよう労働条件」「スタートアップ労働条件」「しっかり学ぼう!働くときの基礎知識」、総合労働相談コーナーのページ、e-Gov法令検索の労働基準法の範囲だけを使います。病院ごとの夜勤手当の金額や相場は書きません。個々の職場の扱いは、就業規則・賃金規程・労働条件通知書と勤務先の担当者に確認が要ります。この記事は法律上の個別の判断ではありません。

夜勤そのものの負担を軽くする働き方は看護師の夜勤がつらい時の対処法をまとめた記事、夜勤前後の睡眠は夜勤前の過ごし方の記事と夜勤明けの眠り方の記事に分けています。この記事は、給与明細のお金の確かめ方に絞ります。

目次

夜勤の給与を確かめる3つの順番

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夜勤の給与を確かめる順番。夜勤手当の中身、深夜の割増、時間外・休日との重なりを順に見る。
夜勤の給与を確かめる順番

深夜割増賃金とは? 午後10時から午前5時までの間に労働させた場合に、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算して支払うことが、労働基準法第37条で使用者に義務づけられている賃金です。

確認の順番を下の表に整理しました。公式の資料が書いていることと、自分の職場で確かめることを分けています。法律の条文はe-Gov法令検索の労働基準法(第三十七条)で確認しました。

確認すること 公式の資料が書いていること 自分の職場で確かめること
夜勤手当の中身 賃金の決定、計算及び支払の方法は、就業規則に定める事項として挙げられている(労働基準法第89条) 賃金規程や就業規則で、夜勤手当が何に対して支払われるか
深夜の割増 午後10時から午前5時の労働は、通常の賃金の2割5分以上(厚生労働省 確かめよう労働条件) 自分の夜勤の中で、この時間帯にあたる労働時間
時間外・休日との重なり 法定時間外と深夜が重なると合計5割以上、法定休日と深夜が重なると合計6割以上(厚生労働省 時間外・休日労働と割増賃金) 残業や休日出勤が夜勤にかかった日の記録

夜勤手当と深夜割増賃金は同じとは限らない

夜勤手当とは? この記事で確認した厚生労働省と労働基準法の資料には「夜勤手当」という名称は出てきません。法律が定めているのは深夜割増賃金で、夜勤手当は各職場が賃金規程などで定める手当の名称です。

この記事で確認した厚生労働省のページと労働基準法の条文の範囲では、「夜勤手当」という名称は見つかりませんでした。条文が定めているのは、午後10時から午前5時までの労働に対する2割5分以上の割増賃金です(e-Gov法令検索 労働基準法第三十七条)。同じ条文は、厚生労働大臣が必要と認める場合に、定める地域または期間について午後11時から午前6時とする例外も置いています。自分の勤務先がこの例外にあたるかは、この記事では確認していません。

夜勤手当の名前で支払われるお金が、深夜割増賃金そのものなのか、夜勤という勤務への別の手当なのか、両方を含むのかは、名称だけでは判断できません。夜勤手当の決め方(回数ごと、時間ごとなど)や、深夜割増賃金との関係は、確認した公式資料には書かれていませんでした。賃金規程と労働条件通知書で確かめます。

確認すること 夜勤手当 深夜割増賃金
根拠 各職場の就業規則・賃金規程・労働契約(編集部の整理) 労働基準法第37条(e-Gov法令検索)
金額の決まり方 公式資料に一律の定めはなく、職場の規程で確認 通常の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算する
確認の場所 賃金規程、労働条件通知書、給与明細の手当欄 給与明細の深夜に関する欄と、労働時間の記録

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深夜割増賃金のルール:割増率と重なる場合

割増率の重なりとは? 法定時間外の労働が深夜にも及ぶと、時間外の割増と深夜の割増を足して合計5割以上になり、法定休日の労働が深夜にも及ぶと、休日の割増と深夜の割増を足して合計6割以上になる、という考え方です。

厚生労働省の資料が示している割増率を、次の表にまとめました。「1時間あたりの賃金」に掛ける率で、表の出典は各行のリンクです。

場合 割増率 出典
深夜(午後10時から午前5時) 2割5分以上 確かめよう労働条件 深夜割増のQ&A
時間外(早出・残業) 2割5分以上 確かめよう労働条件 割増賃金のチェック方法
法定休日 3割5分以上 確かめよう労働条件 割増賃金のチェック方法
法定時間外が深夜に及ぶ 合計5割以上(2割5分と2割5分) しっかり学ぼう! 時間外・休日労働と割増賃金
法定休日が深夜に及ぶ 合計6割以上(3割5分と2割5分) しっかり学ぼう! 時間外・休日労働と割増賃金
1か月の時間外労働が60時間を超えた分 5割以上 スタートアップ労働条件 割増賃金の計算

深夜に働いた場合は、勤務時間の内か外かを問わず、別に深夜手当を支払う必要があると、厚生労働省のページは説明しています(確かめよう労働条件)。法定休日の労働に時間外の手当は別に要らないが、深夜労働には深夜手当が要るとも書かれています。1か月60時間を超える時間外労働の5割以上の割増は、上の表のスタートアップ労働条件のページに書かれています。1か月60時間を超える時間外労働の5割以上の割増率について、中小企業に適用されていた猶予措置は2023年(令和5年)4月1日に廃止されると、厚生労働省の確かめよう労働条件のページは書いています(確かめよう労働条件)。勤務先への当てはめは、労働基準監督署に確認します。60時間を超えた分と深夜が重なる場合の率は、確認したページに書かれていないため、この記事では扱いません。

1時間あたりの賃金の出し方と、仮の例の計算

1時間あたりの賃金とは? 割増賃金の計算の元になる金額で、月給制では、月給(各種手当を含んだ合計)を、1年間における1か月平均所定労働時間数で割って求めます。

厚生労働省のページは、月給の場合の式を「月給(各種手当を含んだ合計)÷1年間における1か月平均所定労働時間数」と示しています(スタートアップ労働条件 割増賃金の計算)。割増賃金の基礎から除外できる賃金として、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金が挙げられています。除外できるかどうかは名称ではなく実質で判断されると、同じページにあります。夜勤手当は、この列挙には挙げられていません。自分の夜勤手当が計算の基礎に入るかは、個別の規程で異なる可能性があるため、労働基準監督署か総合労働相談コーナーで確かめます。

次は仮の例です。金額と時間は計算の流れを示すための数字で、実際の給与水準や病院の扱いを示すものではありません。

手順 仮の例の数字 考え方
1. 1時間あたりの賃金 月給288,000円、1か月平均所定労働時間160時間なら 288,000÷160=1,800円 月給を1か月平均所定労働時間数で割る(除外できる手当はない前提)
2. 深夜の割増(上乗せ分) 1,800円×0.25=450円(1時間あたり) 2割5分以上の率を掛ける
3. 深夜の労働時間 午後10時から午前5時の7時間のうち、休憩を除いて働いた時間が7時間なら 450円×7時間=3,150円 休憩の時間は、実際に働いた時間から除いて数える
4. 時間外と重なった1時間 1,800円×0.5=900円(その1時間の上乗せ分) 法定時間外が深夜に及ぶ場合は合計5割以上

この表の上乗せ分は、通常の賃金とは別に加わる部分です。時給1,200円の人が深夜に働くと1時間あたり1,500円になる例が、厚生労働省のQ&Aに示されています(確かめよう労働条件 深夜割増のQ&A)。端数の処理は、1時間あたりの賃金額と割増賃金額に1円未満が出たとき、50銭未満を切り捨て、それ以上を1円に切り上げる方法が認められています(確かめよう労働条件)。

給与明細で見る箇所と、自分で残す記録

給与明細の確認とは? 夜勤の月に、手当欄の名称と金額、深夜や時間外に関する欄の有無、自分の記録した労働時間を並べ、上の式でおおまかに合うかを見ることです。

厚生労働省のページは、自分の残業時間数を手帳などにきちんとつける癖を付けておくことが必要だと書いています(確かめよう労働条件)。次の表の「見る箇所」は編集部の整理で、厚生労働省が給与明細の項目を指定しているわけではありません。

見る箇所 確かめること 合わない時の次の一手
手当欄の名称 夜勤手当、深夜手当など、どの名称で何が支払われているか 賃金規程でその名称の定義を読む
深夜に関する欄 深夜の時間数や金額が読み取れるか 書かれていなければ、勤務先の給与担当者に内訳を尋ねる
時間外・休日の欄 残業や休日出勤があった月に、その分の金額があるか 自分の記録と並べて担当者に確認する
自分の記録 夜勤の始業・終業、休憩、残業の時刻 手帳やアプリのメモを持参して相談する

夜勤手当の中身を、就業規則と労働条件通知書で確かめる

労働条件通知書とは? 労働契約を結ぶときに、使用者が賃金や労働時間などの労働条件を労働者に示すためのものです。労働基準法第15条は、使用者に賃金・労働時間その他の労働条件の明示を義務づけています。

労働基準法第15条は、労働契約の締結に際し、賃金、労働時間その他の労働条件を明示することを使用者に求めています(e-Gov法令検索 労働基準法第十五条)。常時10人以上の労働者を使用する使用者は、賃金の決定、計算及び支払の方法を含む事項について就業規則を作成し、届け出なければならないと、第89条にあります。10人未満の職場の就業規則の扱いは、この記事では確認していません。

厚生労働省のQ&Aは、深夜割増の率や支給額は賃金の決定方法にあたるため、契約時に書面で明示してもらうことが勧められると説明しています。ただし、これはアルバイトの質問への回答です(確かめよう労働条件 深夜割増のQ&A)。常勤の看護師にそのまま当てはめた公式の記述は、確認したページにはありません。夜勤手当について確認したい点は、次のように整理できます。

確かめたい点 見る書類 聞き方の例(仮の例)
夜勤手当が何に対する手当か 賃金規程、労働条件通知書 「夜勤手当は、深夜割増賃金とは別の手当ですか、含んでいますか」
深夜割増賃金が別に計算されるか 賃金規程、給与明細 「深夜の時間数と割増の金額は、明細のどこで確認できますか」
割増の計算の基礎に入る手当 賃金規程の計算式 「1時間あたりの賃金は、どの手当を含めて計算していますか」

この聞き方は、責める言い方にならないよう、規程の読み方を尋ねる形にしています。転職を考える場面で労働条件を求人票から読む方法は、求人票の読み方と労働条件の確認点の記事にまとめています。給与全体の内訳の整理は給与の内訳と収入を増やす選択肢の記事を参照してください。

合わないと思ったときの相談先

総合労働相談コーナーとは? 各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内などに設置された、あらゆる分野の労働問題の相談を受ける厚生労働省の窓口で、予約不要、利用は無料と案内されています。

総合労働相談コーナーは、専門の相談員が面談または電話で対応し、予約不要で無料です。労働基準法等の法律に違反の疑いがある場合は、行政指導等の権限を持つ担当部署に取り次ぐと案内されています。全国の378か所に設置され、土・日・祝日・年末年始は閉庁しています(厚生労働省 総合労働相談コーナーのご案内)。

未払いの割増賃金の疑いは、最寄りの労働基準監督署に申告できます。労働基準監督署内の総合労働相談コーナーでは、都道府県労働局の「あっせん」も受け付けています。相談の際は、労働契約書、出退勤や残業時間の記録、給与明細を持参すると話が進みやすいと説明されています(しっかり学ぼう! 時間外・休日労働と割増賃金)。

よくある質問(FAQ)

Q1. 夜勤手当が出ていれば、深夜割増賃金は別に出ませんか。
名称だけでは判断できません。夜勤手当が深夜割増賃金を含むのかは、確認した公式資料に書かれていないため、賃金規程と労働条件通知書で確かめます。深夜に働いた場合は、勤務時間の内か外かを問わず別に深夜手当が必要と、厚生労働省のページは説明しています(確かめよう労働条件)。
Q2. 深夜割増の時間帯は、午後10時から午前5時だけですか。
原則はその時間帯です。条文には、厚生労働大臣が必要と認める地域または期間について午後11時から午前6時とする例外があります(e-Gov法令検索 労働基準法第三十七条)。自分の勤務先が例外にあたるかは、労働基準監督署に確認します。
Q3. 夜勤に残業がついた日は、割増はどうなりますか。
法定時間外の労働が深夜に及ぶと、合計5割以上の割増になると、厚生労働省のページにあります(しっかり学ぼう! 時間外・休日労働と割増賃金)。どこまでが法定時間外にあたるかは勤務の組み方で変わるため、自分の記録を持って担当者か相談窓口に確認します。
Q4. 割増の計算に、自分の手当は入りますか。
除外できる賃金として列挙されているのは、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金で、名称ではなく実質で判断されます(確かめよう労働条件)。個別の手当の扱いは、賃金規程を持って労働基準監督署か総合労働相談コーナーで確かめます。

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まとめ:夜勤の給与を確かめる前に整理すること

看護師の夜勤の給与は、夜勤手当の名称と中身、深夜割増賃金(午後10時から午前5時の労働に2割5分以上)、時間外・休日との重なりの順に確かめると整理しやすくなります。月給制の1時間あたりの賃金は、月給(各種手当を含む合計)を1か月平均所定労働時間数で割って求め、そこに割増率を掛けます。夜勤手当の決め方は職場ごとの規程で確認が要り、金額の相場はこの記事では示していません。合わないと感じたときは、記録と給与明細を持って、総合労働相談コーナーに相談できます。

夜勤の入る月の休みの取り方は看護師が有給休暇を取る前に確認することの記事で、付与日数と申請の伝え方を整理しています。

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シオン|フルミエール ライター

在宅ワーク・SNS発信・暮らしの情報を扱うフルミエールの筆名ライター。編集は株式会社S.Lineが行っています。

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