在宅ワークの仕事を業務委託で受けるとき、最初に見るのは報酬額そのものではなく、取引条件が文字で示されているかどうかです。
発注事業者は、フリーランスに業務委託をした場合、直ちに書面または電磁的方法(メール、SNSのメッセージ等)で取引条件を明示しなければならず、口頭で伝えることは認められていません(公正取引委員会 フリーランス法特設サイト)。
条件が口約束のままなら、あなたが遠慮して切り出す話ではなく、相手が先に示す番だということになります。
この記事は、依頼を受けてから署名するまでの間に、どの条項をどの順で読み、書かれていないときに何を聞けばいいのかを並べたものです。
報酬額、支払期日、業務範囲、納期と検収、修正回数、秘密保持、著作権、中途解約の順に、条項名と、それが防いでいるトラブルと、契約書のどこを見るかをつなぎます。
各セクションには「仮の例」と明記した完成例を1つずつ置いたので、自分の契約書と並べて読み替えてください。最後に、内容によって行き先が変わる公的な相談窓口を整理します。
まだ受注先を探している段階なら、先に職種を決めたほうが契約書も読みやすくなります。在宅ワーク未経験の女性でもできる仕事15選で候補を絞ってから戻ってきてください。
在宅ワークの業務委託契約は、条件が文字になった時点から確認が始まる
取引条件の明示とは、発注事業者が業務委託をしたときに、直ちに書面または電磁的方法(メール、SNSのメッセージ等)で条件を示すことをいいます。口頭で伝えることは認められておらず、電磁的方法で示した場合でも、受注者から書面の交付を求められたときは、受注者の保護に支障を生ずることがない場合を除き、遅滞なく書面を交付することが求められます。
根拠になっているのは「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)です。令和5年4月28日に可決成立し、同年5月12日に公布され、令和6年11月1日に施行されました。取引の適正化に係る規定は主に公正取引委員会と中小企業庁が、就業環境の整備に係る規定は主に厚生労働省が執行を担います(公正取引委員会「フリーランスの取引適正化に向けた公正取引委員会の取組」)。
どこに相談すればいいか分からなくなるのは、この分担を知らないまま窓口を探すからです。
会社に勤めながら副業で受ける場合も対象になる
「自分は会社員だから関係ない」と考えて読み飛ばす人が多いところです。厚生労働省の解説では、他社との関係で従業員として雇用されている個人が、副業で行う事業について、事業者として他の事業者から業務委託を受けている場合には、この法律における「特定受託事業者」に該当するとされています(厚生労働省「フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ」)。
平日は病院やオフィスで働き、夜に記事を書く働き方でも、受けている側は事業者です。
一方で、一般的にフリーランスと呼ばれる方のうち、従業員を使用している人や、消費者を相手に取引をしている人は、この法律における「フリーランス」には該当しないと、公正取引委員会の特設サイトで示されています。
自分で店を持って消費者に販売している場合と、企業から業務委託を受けている場合では、同じ「個人で働く」でも立ち位置が違うということです。
この段階での判断
依頼のやり取りを見返して、条件が文字になっているかを確かめます。仮の例として、インスタのDMで「記事作成をお願いしたいです。詳細は後ほどお伝えします」とだけ届いた場合、この時点では取引条件は示されていません。次のように1通返すところまでが、この段階の作業です。
ご連絡ありがとうございます。お受けする方向で検討したいので、着手前に条件を書面かメールでいただけますでしょうか。ご担当者名、業務内容、納品日、報酬額と支払期日が分かれば十分です。いただいた内容で問題がなければ、その日のうちにお返事いたします。
法律が明示を求める8項目を、手元の契約書と1行ずつ突き合わせる
フリーランス法で取引条件として明示すべき事項は8項目です。名称、業務委託をした日、給付の内容、給付を受領する期日または役務の提供を受ける期日、給付を受領する場所または役務の提供を受ける場所、検査完了期日(検査をする場合のみ)、報酬の額および支払期日、報酬の支払方法に関すること(金銭以外の方法で支払う場合のみ)が挙げられています。
契約書を頭から読むと、前文や一般条項でつまずいて肝心なところに届きません。先に、公正取引委員会が示す明示すべき事項が埋まっているかだけを確認します(公正取引委員会 フリーランス法特設サイト)。埋まっていない欄が、そのまま後日の言い分の食い違いになります。
| 明示すべき事項 | 契約書のどの見出しに入っていることが多いか | 空欄のまま進めると何が起きるか |
|---|---|---|
| 発注事業者・フリーランスの名称 | 前文、末尾の署名欄 | 担当者個人と話していたつもりが、請求先の会社名が分からない |
| 業務委託をした日 | 契約締結日、発注書の日付 | いつからの作業が有償かの起点が決まらない |
| 給付の内容 | 第1条(委託業務)、別紙の仕様 | 頼まれていない作業を断りにくくなる |
| 給付を受領する期日/役務の提供を受ける期日 | 第◯条(納期)、スケジュール表 | 「今週中」の解釈が双方でずれる |
| 給付を受領する場所/役務の提供を受ける場所 | 納品方法、指定のクラウド保存先 | 提出したのに届いていないと言われる |
| 検査完了期日(検査をする場合のみ) | 第◯条(検収) | 検収がいつ終わるか分からず請求書を出せない |
| 報酬の額および支払期日 | 第◯条(報酬)、別紙の単価表 | 金額と入金日のどちらも後出しで動く |
| 報酬の支払方法に関すること(金銭以外の方法で支払う場合のみ) | 報酬条項のただし書き | 現金以外で支払われる条件を知らずに受ける |
仮の例として、Webライティングの契約書を突き合わせたところ、報酬額と納期は第3条と第4条にあり、検査完了期日の欄だけが見当たらなかったとします。
この場合に確認するのは「検収はいつ終わりますか」の1点で、他の7項目を蒸し返す必要はありません。欠けている欄だけを名指しできる状態にするのが、このセクションのゴールです。
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報酬額の条項は「金額の決まり方」と「そこから引かれるもの」を分けて読む
報酬額の条項では、固定額なのか単価×数量なのかという決まり方と、消費税の内税・外税、源泉徴収や振込手数料の負担者という差し引きの扱いが、別々に書かれていることがあります。金額の数字だけを見ると手取りを読み違えます。
フリーランスに対して1か月以上の業務委託をしている場合には、7つの禁止行為が定められています。そのうち報酬に直結するのが「報酬の減額」と「買いたたき」です。公正取引委員会のQ&Aでは、報酬の減額とは特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないのに発注時に決定した報酬を発注後に減額することで、協賛金の徴収や原材料価格の下落など名目や方法、金額にかかわらず禁止されるとされ、買いたたきとは発注する物品・役務等に通常支払われる対価に比べ著しく低い報酬を不当に定めることと説明されています(公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法に関するQ&A」)。
いったん決めた額を後から削る動きは、値引き交渉というより制度が名前をつけて止めている行為にあたります。
読むときは、契約書の報酬条項と、見積書や単価表のような別紙をセットで開きます。契約書に「別紙のとおり」とあって別紙が届いていない場合、報酬額は決まっていません。
また、報酬額が税込か税別か書かれていないと、請求書を作る段階で金額が食い違います。
仮の例として、月4本・1本1万円の記事作成を受けるとします。契約書に「報酬 月額40,000円」とだけあり、税の扱いと振込手数料の負担が書かれていないなら、確認するのは次の3行です。税別か税込か、源泉徴収の有無、振込手数料をどちらが負担するか。この3行が埋まってはじめて、手取りがいくらになるかを自分で計算できます。年間の受注額が増えてきたときの申告の考え方は、副業の確定申告やり方ガイドのほうで整理しています。
支払期日の条項は、受領日から何日後かをカレンダーで数える
報酬の支払期日は、発注した物品等を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で定め、定めた支払期日までに報酬を支払わなければならないとされています。起点は契約日でも請求日でもなく、受領した日です。
この60日という上限と、再委託の場合の例外は公正取引委員会の特設サイトに示されています。元委託者から受けた業務を発注事業者が再委託した場合で、通常明示すべき事項に加えて、再委託である旨、元委託者の名称、元委託業務の対価の支払期日を明示したときは、元委託業務の支払期日から起算して30日以内で支払期日を定めることができる、という組み立てです(公正取引委員会 フリーランス法特設サイト)。契約書に「再委託である旨」の記載があるかどうかで、読み方が変わります。
「月末締め翌々月末払い」を自分で数え直す
在宅ワークの契約書でよく見るのが締め日と支払日の組み合わせです。文字を眺めても遠さが分からないので、実際の日付に置き換えます。
仮の例として、4月10日に納品して検収も4月中に終わり、契約書が「月末締め翌々月末払い」だとすると、入金は6月末になります。受領日の4月10日から数えると81日後で、60日という上限との関係を自分で確かめたくなる幅です。
ここで取る行動は、支払期日を書き換えてもらう交渉というより、先に事実を揃えることです。受領日がいつなのか、締め日の基準が納品日なのか検収完了日なのかを聞き、回答をメールで残します。
数え方の前提が合っていなければ、そもそも何日後かの議論ができません。判断に迷う条項があるときは、この記事だけで決めずに、後半で挙げる窓口で確認してください。
この記事は契約書の読み方を整理したもので、個別の事案についての法律相談に代わるものではありません。
業務範囲(給付の内容)は、やらない仕事を書き足して線を引く
給付の内容とは、受注者が何を納めれば履行したことになるかを示す部分です。作るものの種類と数量だけでなく、そこに含まれない作業を書き添えることで、追加依頼を別発注として扱えるようになります。
業務範囲が「インスタの運用代行一式」のような書き方だと、投稿文の作成だけのつもりが、画像制作、コメント返信、レポート作成まで同じ報酬の中に入ってきます。
ここで決めるのは、追加依頼が来たときに範囲内として引き受けるのか、別発注として見積を出すのかという線引きです。運用代行がどこまでの作業を指すことが多いかは、SNS運用代行を未経験から始めるなり方ガイドに職種側の視点でまとめてあります。
仮の例として、業務範囲の条項に次の3行を書き足す案を先方へ送ったとします。「本業務に含むもの:フィード投稿の文案作成、月8本」「本業務に含むもの:投稿画像への文字入れ、1本につき1枚」「本業務に含まないもの:コメントおよびDMへの返信、撮影、レポート作成」。この3行があると、撮影を頼まれたときに断る話ではなく見積を出す話に変わります。
納期と検収の条項は、「検査完了期日」が空欄かどうかで見方が変わる
検収とは、納品物が契約どおりかを発注者が確認する手続きです。フリーランス法で明示すべき事項に挙げられている検査完了期日は、検査をする場合のみの項目なので、検収を行う契約なのかどうかを先に確かめる必要があります。
納期だけが書かれていて検収の記載がない契約書は珍しくありません。その場合に確認するのは「検収を行うのか、行うならいつまでに結果を返してもらえるのか」です。
検収の期限が決まっていないと、納品したのに「まだ確認中です」という状態が続き、請求書を出す日が決まりません。
仮の例として、記事納品の検収スケジュールを次の1行に整理して合意したとします。「納品日から5営業日以内に検収結果を返信、期間内に連絡がない場合は検収完了として請求書を発行」。この1行があると、確認待ちのまま月をまたぐ事態を、自分の側から動かせるようになります。納期を決めるときに家庭の予定と重ねて考えたい場合は、在宅ワークと子育ての両立方法に1日の組み立て方の例があります。
修正回数は明示すべき事項に入っていないので、契約書と見積の両方で確認する
修正回数の上限は、フリーランス法が明示を求める8項目には含まれていません。契約書の業務範囲や検収の条項、あるいは見積書の備考に書かれていることが多く、どこにも書かれていない契約もあります。
そのうえで、7つの禁止行為のひとつに「不当な給付内容の変更、やり直し」が挙げられています。公正取引委員会のQ&Aでは、特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないのに、発注の取消しや発注内容の変更を行ったり、受領した後にやり直しや追加作業を行わせる場合に、特定受託事業者が作業に当たって負担する費用を発注側が負担しないことがこれにあたると説明されています(公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法に関するQ&A」)。手直しが何回続いても費用の話が出ない、という前提ではないということです。
ここで決めるのは、上限を何回と提案するかと、上限を超えた分をどう扱うかです。回数だけ決めても、「1回の修正」がどこまでを指すのかが曖昧だと同じことになります。仮の例として、次の1文を見積書の備考に入れる提案をしたとします。
「修正は初稿提出後2回まで無償とし、3回目以降および構成そのものの変更は1回につき別途お見積りいたします」。この書き方なら、回数と、回数に数えない大きな変更の扱いが同時に決まります。
修正依頼が夜間や休日に届いて終業時間が崩れる場合は、回数とは別に連絡可能時間を決めておくと守りやすくなります。時間の区切り方は在宅ワークのオンオフ切り替え方法に具体例があります。
秘密保持(NDA)の条項は、対象・期間・例外の3つに分けて読む
秘密保持条項とは、業務で知った情報を外部に出さないことを約束する部分です。何が秘密情報にあたるか(対象)、いつまで守るか(期間)、どういう場合なら開示してよいか(例外)の3つが揃っているかで、守れる約束かどうかが決まります。
在宅ワークでは、自宅のパソコンに顧客リストや未公開の商品情報が置かれます。対象が「本業務に関して知り得た一切の情報」とだけ書かれていると、実績としてクライアント名を出せるのかどうかも判断できません。契約期間中だけなのか、終了後も続くのかも読み分けが必要です。
| 読む部分 | 契約書で確かめる文言 | 書かれていないときに聞くこと |
|---|---|---|
| 対象 | 秘密情報の定義、除外される情報(すでに公知のもの等)の有無 | 公開済みの投稿や商品ページも秘密情報に含まれるのか |
| 期間 | 契約期間中のみか、終了後も継続するか、継続する場合の年数 | 契約終了後は何年間、何を守ればよいのか |
| 例外 | 法令に基づく開示、実績としての社名公表の可否 | 実績紹介でクライアント名を出してよいか、匿名ならよいか |
仮の例として、実績掲載について次の追記を求めたとします。「ただし、乙は本業務の実績として、甲の名称を伏せた形での業務内容の紹介を行うことができる」。
この一文が入れば、クライアント名は出さずに「美容系企業のインスタ運用」という書き方で実績を積めます。自宅の作業スペースそのものを点検したいときは、在宅ワークの作業環境チェック表に机・椅子・ディスプレイの位置を確かめる項目があります。
著作権の条項は「譲渡」「利用許諾」「人格権の不行使」で自由度が変わる
納品物の権利の扱いは、権利そのものを相手に移す譲渡、権利は手元に残して使ってよい範囲を決める利用許諾、著作者人格権を行使しないと約束する不行使条項の3つに分かれます。どれが書かれているかで、納品後に自分がその成果物を使えるかどうかが変わります。
この部分もフリーランス法が明示を求める8項目には入っていません。だからこそ、契約書に何と書いてあるかがそのまま結論になります。読むときは条文の見出しではなく、動詞を見ます。
「譲渡する」「移転する」と書いてあるのか、「使用を許諾する」と書いてあるのかで、意味がまったく違います。
| 契約書の書き方 | 納品後に自分がその成果物をどう扱えるか | 受ける前に決めておきたいこと |
|---|---|---|
| 著作権を譲渡する | 権利は発注者に移るため、自分の作品として再利用や改変をすることはできなくなる | 譲渡を含んだ金額として見積に反映するか |
| 利用を許諾する | 権利は自分に残り、契約で決めた範囲で発注者が使う | 使える媒体と期間をどこまで広げるか |
| 著作者人格権を行使しない | 納品後に大きく書き換えられても、内容の改変について異議を述べない形になる | 署名表示(クレジット)を残してもらうか |
仮の例として、譲渡条項があるライティング契約で、次の一文を足してもらう依頼をしたとします。「なお、乙は本記事の一部を、甲の名称および具体的な記載内容を伏せた上で、自身の実績紹介として提示することができる」。譲渡そのものを断らずに、ポートフォリオに載せる道だけを残す書き方です。実績の見せ方をこれから整えるなら、SNS運用代行の始め方 女性版にまとめ方の例があります。なお、著作権の扱いそのものについて詳しく尋ねたいときは、文化庁の著作権のページに「著作権に関するお問い合わせ先」と「主な著作権等関係団体の相談窓口」の案内が置かれています(文化庁「著作権施策に関する総合案内ページ」)。
中途解約と契約終了は、6か月以上かどうかで予告のルールが変わる
フリーランスに対して6か月以上の業務委託をしている場合、その契約を解除するときや更新しないときは、少なくとも30日前までに書面、ファクシミリ、電子メール等の方法で予告することが求められます。予告日から契約満了までの間に受注者が解除の理由を請求した場合は、同様の方法で遅滞なく開示することとされています。
「30日前」の数え方も決まっています。公正取引委員会のQ&Aでは、予告日(当日)から解除日の前日までの期間が30日間確保されている必要があるとされ、例として8月31日に解除する場合には8月1日までに予告が必要と示されています(公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法に関するQ&A」)。
同じQ&Aでは、理由開示の義務について、予告を受けた側が契約の存続に向けた交渉や、別の取引に向けた自らの事業の見直しに取り組めるようにするとともに、トラブルを防止することを目的として設けられたと説明されています。
ここで読者が決めるのは、契約が終わると告げられたときに理由の開示を請求するかどうかです。請求しなければ理由は示されないまま終わり、次の契約の取り方を考える材料も残りません。
ただし、理由開示には例外事由もあります。第三者の利益を害するおそれがある場合や、他の法令に違反することとなる場合が挙げられており、開示されないケースもあるという前提で構えておくほうが落ち着いて動けます。
契約書の側では、解約条項に予告期間が何日と書かれているか、更新が自動なのか都度合意なのかを見ます。仮の例として、8か月続いた運用代行の契約について「来月からは発注を止めます」と前日に連絡が来たとします。返す文面は次の1文で足ります。
「承知いたしました。今後の予定を組む都合がありますので、契約終了の理由をメールでご開示いただけますでしょうか」。感情を挟まずに、請求した事実と日付を残すのが目的です。
契約が1つ終わっても収入が途切れないように、受注先の候補は複数持っておくほうが落ち着いて判断できます。職種を広げる方向で考えるなら在宅ワーク 女性 資格なし 未経験でもできる仕事20選が候補集めに使えます。
書かれていない条件は、確認メールで文字にして残す
確認メールの役割は、交渉ではなく記録です。相手が示していない条件を質問の形で並べ、相手の返信をそのまま取引条件の明示として残すことで、後から言い分が食い違ったときに参照できる文面になります。
ここまでの確認で欠けている項目が見つかっているはずなので、それを1通にまとめます。項目ごとに何通も送ると相手の返信も分かれてしまい、後で探せなくなります。書き方の型は、感謝、確認したい項目の箇条、返信期限、の3段です。厚生労働省は、募集情報について、募集を行う者の氏名または名称、住所、連絡先、業務の内容、業務に従事する場所、報酬を欠くものは「誤解を生じさせる表示」に該当し法第12条違反となるとしています(厚生労働省「フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ」)。
募集の段階で連絡先や業務に従事する場所が分からない相手なら、確認メールの前に距離を取る判断もあります。
仮の例として、報酬の税の扱い、検査完了期日、修正回数の3点が空欄だった契約書について、実際に送れる文面を置きます。
株式会社(発注者名) (担当者名)様
お世話になっております。契約書をお送りいただきありがとうございました。着手前に3点だけ確認させてください。
1.第3条の報酬額40,000円は、消費税別のご認識でよろしいでしょうか。源泉徴収の有無もあわせてご教示ください。
2.検収を行われる場合、納品日から何営業日以内に結果をご連絡いただけますでしょうか。
3.初稿提出後の修正は2回までを目安と考えております。3回目以降は別途お見積りとさせていただく形で差し支えないでしょうか。
お手数ですが、今週金曜日までにご返信いただけますと、来週月曜日から着手できます。よろしくお願いいたします。
この形なら、相手の返信そのものが条件の記録になります。返信がないまま作業を始めると、条件が決まらないまま納品日だけが来る状態になるので、着手日は返信を受け取ってから決めます。
トラブルが起きたときの公的相談窓口は、内容によって行き先が違う
フリーランスの取引に関する公的な窓口は、弁護士に無料で相談できる「フリーランス・トラブル110番」、法律の考え方を聞く公正取引委員会の相談窓口、法違反と思われる行為を申し出る申出窓口、自分が労働者にあたる可能性を相談する労働基準監督署の窓口に分かれています。
報酬が支払われない、条件が違うといった段階で最初に使えるのが、フリーランス・トラブル110番です。このサービスは厚生労働省より第二東京弁護士会が受託して運営しており、運営にあたっては公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁と連携しています。電話は0120-532-110で、受付時間は9時30分から16時30分まで、土日祝日を除きます。相談は無料で、匿名でも利用できます(フリーランス・トラブル110番)。
| 窓口 | どういう内容を扱うか | 相談前に手元に用意しておくもの |
|---|---|---|
| フリーランス・トラブル110番 | 報酬の未払い、あいまいな契約、ハラスメントなど、発注事業者から委託を受けた際に起きたトラブル | 契約書またはやり取りの画面、聞きたい論点を絞ったメモ |
| 公正取引委員会の相談窓口 | フリーランス・事業者間取引適正化等法の考え方についての相談 | 管轄の事務所の連絡先、事実関係の時系列 |
| 違反被疑事実についての申出窓口 | 発注事業者に法違反と思われる行為があった場合の申出 | 申出受付事前確認表、契約日と更新日が分かる資料 |
| 労働基準監督署の相談窓口 | 自らの働き方が労働者に該当する可能性があると考える場合の相談 | 働き方の自己診断チェックリスト、勤務実態が分かる記録 |
フリーランス・トラブル110番で受けられることと、受けられないこと
使う前に範囲を知っておくと、期待と実際のずれが減ります。業務委託契約書に関する相談は受けてもらえますが、その場合は質問したい内容を具体的に示す必要があり、網羅的なリーガルチェックはできないとされています。
契約書の作成や請求書面の作成は対象外で、自分が発注側となった際のトラブルも対象外です。相談担当弁護士が代理人になったり相手方と直接交渉したりすることもできません。
メール相談は通常3〜4営業日内に弁護士から返信があるとされています(フリーランス・トラブル110番)。
個人での解決が難しい場合には和解あっせんという手続もあり、裁判とは違い申立てが簡単で、解決までに要する期間が短く、審理が非公開の手続で、本事業では費用は無料とされています。
法律の考え方を聞きたいとき、法違反を申し出たいとき
条項の解釈そのものを行政に尋ねたい場合は、公正取引委員会がフリーランス・事業者間取引適正化等法の考え方についての相談窓口を管轄別に設けています。
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県などを管轄するのは公正取引委員会事務総局 経済取引局取引部 フリーランス取引適正化室で、電話は03-3581-5479です。第三章の就業環境整備関係に関する相談は厚生労働省の所管となるため、都道府県労働局への問い合わせになります(公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法の考え方についての相談窓口」)。
法違反と思われる行為があった場合は、行政機関への申出という道があります。中小企業庁の解説では、申出があった場合に本法に違反する事実を調査し、違反する事実があれば是正するよう措置を講じるとしたうえで、当事者同士の話し合いの仲裁や和解など、民事的な紛争解決のための仲介等を行うことはできないと明記されています(中小企業庁「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)。未払いのお金を取り戻す手続きとは役割が違うということです。
申出の対象となる契約にも範囲があります。厚生労働省の申出窓口のページでは、本法に基づく申出の対象となるのは令和6年11月1日以降に締結・更新等を行った業務委託契約であるとされ、申出の前に申出受付事前確認表を確認するよう案内されています。オンラインの申出受付フォームと、紙の申出書による方法が用意されています(厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法の違反被疑事実についての申出窓口」)。
働き方の実態が雇用に近いと感じるとき
作業時間も進め方も細かく指示され、断る自由がない状態が続いているなら、契約の名前と実態がずれている可能性があります。
厚生労働省は、労働基準法における労働者に該当するかどうかを自分で確かめるための「働き方の自己診断チェックリスト」を示しており、全国の労働基準監督署に「労働者性に疑義がある方の労働基準法等違反相談窓口」を設置しています。受付時間は8時30分から17時15分まで、平日のみです(厚生労働省「労働基準法における『労働者』とは」)。
仮の例として、相談前に揃えた資料を並べます。契約書のPDF、発注時のDMとメールの画面保存、納品日と検収連絡の日付を並べた時系列メモ、請求書の控え。
そのうえで電話で最初に伝えるのは「4月10日に納品して検収も終わっていますが、6月に入っても入金がありません。契約書の支払期日の読み方を確認したいです」という1文です。経緯を全部話そうとすると時間が足りなくなるので、聞きたい論点から先に出します。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 契約書がなく、DMのやり取りだけで仕事を受けています。これは契約が成立していないのでしょうか。
- やり取りで合意していれば契約自体は成立し得ますが、この記事で扱っているのは別の論点です。フリーランス法は、業務委託をした場合に直ちに書面または電磁的方法で取引条件を明示することを発注事業者に求めており、メールやSNSのメッセージも電磁的方法に含まれるとされています(公正取引委員会 フリーランス法特設サイト)。DMで条件が文字になっているなら、その画面を消さずに保存しておくのが先決です。
- Q2. 会社に勤めながら副業で受けています。本業の勤務先に知られないか心配です。
- 契約の確認と、勤務先への知られ方は別の話として分けて考えます。契約の側は、副業で業務委託を受ける会社員も特定受託事業者に該当するとされているため、この記事の読み方がそのまま当てはまります。勤務先との関係で気になる住民税や就業規則の扱いは、看護師の副業がバレない方法に手続きの側から整理してあります。
- Q3. 契約書に印鑑を押す前に、条項の修正をお願いしても大丈夫でしょうか。
- 署名前に確認や修正の相談をすること自体は、取引の一部です。伝え方としては、契約書全体に異議を述べるのではなく、空欄になっている項目や、意味が二通りに読める文言だけを名指しするほうが話が進みます。相手の様式を全面的に書き換える提案は通りにくいので、追記の一文を提案する形が現実的です。
- Q4. 報酬額が少額でも、支払期日のルールは同じように考えてよいですか。
- 厚生労働省の解説では、発注事業者に対して、業務委託をした際の取引条件の明示や、給付を受領した日から原則60日以内での報酬支払などが義務付けられるとされており、金額の大小による区別は示されていません(厚生労働省「フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ」)。ただし個別の契約がどう評価されるかは事情によって変わるため、判断に迷う場合は窓口で確認してください。
- Q5. 相談窓口に連絡したことを相手に知られて、取引を切られないでしょうか。
- 中小企業庁が示す条文の抜粋では、業務委託事業者は、特定受託事業者が申出をしたことを理由として、当該特定受託事業者に対し、取引の数量の削減、取引の停止その他の不利益な取扱いをしてはならないと定められています(中小企業庁「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)。また、フリーランス・トラブル110番は、相談を受けたこと自体を秘密に扱い、相手方への連絡も行わないとしています。
- Q6. 確定申告のことも契約書を見る段階で考えておくべきですか。
- 契約書の段階で決まるのは、報酬が税別か税込か、源泉徴収があるか、経費をどちらが負担するかといった数字の前提です。申告そのものの手順は別の作業になるので、受注額が増えてきた時点でインスタ副業の確定申告はいくらから?で線引きを確認しておくと、契約書の報酬条項も読みやすくなります。
参考・引用元
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まとめ|契約書を受け取った日に終わらせること
在宅ワークを業務委託で受けるときの確認は、条項の名前を覚える作業ではなく、空欄を見つけて質問に変える作業です。受け取った日のうちに、次の3つまで進めておくと、着手後に慌てずに済みます。
- 明示すべき8項目のうち、埋まっていない欄に印をつける
- 報酬額の税の扱い、支払期日の起点、検収の期限という数字の前提を書き出す
- 空欄になっていた項目だけを1通の確認メールにまとめて送り、着手日は返信を受け取ってから決める
秘密保持と著作権は、明示すべき事項に入っていない分、契約書の文言がそのまま結論になります。署名する前に、対象と期間と例外、譲渡と利用許諾の違いを読み分けておくと、納品後に実績として使えるかどうかがはっきりします。
中途解約については、6か月以上の業務委託で30日前までの予告と理由開示の仕組みがあることを知っておくと、終わりを告げられたときの動き方が変わります。
そして、うまくいかなかったときの行き先は決まっています。報酬の未払いやあいまいな契約は、無料で匿名でも利用できるフリーランス・トラブル110番へ。法律の考え方は公正取引委員会の相談窓口へ。法違反と思われる行為の申出は3省庁の申出窓口へ。
働き方の実態が雇用に近いと感じるなら労働基準監督署へ。契約書を読む力は、この窓口の使い分けまで含めて身につくものです。
読み終えたら、次は発信の準備を
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