在宅ワークで開業届を出すかどうかは、その仕事を「事業として始めるか」で考えます。国税庁の案内では、開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は新たに事業を始めたときの手続で、提出時期は事業を始めた年分の確定申告期限までです(A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁)。青色申告を使いたい場合は別の申請書が必要で、その期限は開業届より早く来ることがあります。
この記事は、業務委託や副業で在宅ワークを始めた人が、開業届を出すかどうかを決める材料と、出すと決めたときの手順をまとめたものです。内容は2026年10月16日に確認した国税庁のページに基づきます。税額や節税の話、収入の目安、「出すべき」という結論は書きません。自分の状況に当てはめて決めるための整理です。
- 開業届とは何の手続か
- 自分の在宅ワークで確かめる判断の軸
- 開業届と青色申告承認申請書の期限の違い
- 会社員が副業で出す前に勤務先で確かめること
- 提出先と提出方法(e-Taxと書面)
- 提出前のチェック表とよくある質問
開業届とは何の手続か
開業届とは? 個人が新たに事業を始めたときなどに、納税地を所轄する税務署へ出す届出書のことで、正式な名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。
国税庁の手続案内は、この届出書を「新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続」と説明しています。手続の対象者は、新たに事業所得、不動産所得または山林所得を生ずべき事業の開始等をした方です。根拠の条文は所得税法第229条とされています。出典はA1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁です。
つまり開業届は、事業を始めたことを税務署に知らせる届出です。収入を得る許可をもらう手続でも、取引先に認めてもらう手続でもありません。副業の収入について確定申告が必要かどうか、青色白色の違い、帳簿の付け方は在宅ワークの確定申告のやり方で整理しています。この記事は開業届そのものに絞ります。
自分の在宅ワークで開業届を考えるときの判断の軸
開業届を出す判断とは? 自分の仕事が「新たに事業を始めたこと」にあたるか、青色申告を使うか、勤務先や取引先に決まりがあるかを、それぞれ確かめて決めることです。
開業届を出すかどうかに、全員に共通する答えはありません。次の表は、判断のために何を確かめ、どこで確かめるかを軸ごとに並べたものです。国税庁の案内に書かれている範囲と、各自で確かめる範囲を分けています。
| 判断の軸 | 確かめること | 確かめる先 |
|---|---|---|
| 事業として始めるか | 届出書の対象は、新たに事業所得・不動産所得・山林所得を生ずべき事業の開始等をした方とされています。在宅ワークの収入がどの所得にあたるかは個別の事情によるため、迷うときは税務署などに尋ねます | 国税庁の手続案内、税務署・税についての相談窓口 |
| 青色申告を使いたいか | 使うなら、開業届とは別に青色申告承認申請書を出します。期限も別です | 国税庁の青色申告承認申請手続のページ |
| 会社員など、勤務先があるか | 副業の可否や、届出の決まりがあるかを就業規則・雇用契約で確かめます | 勤務先の就業規則、人事・総務の窓口 |
| 取引先から求められているか | 契約書や発注の案内に、提出を求める書類が書かれていないかを確かめます | 契約書、取引先への質問 |
国税庁の「新たに事業を始めたときの届出など」のページには、税に関する相談の窓口が案内されています。事業にあたるかどうか迷う場合は、自分で決め切らずにここで確かめるのが安全です。出典はNo.2090 新たに事業を始めたときの届出など|国税庁、相談窓口は税についての相談窓口です。
取引先が書類の提出を求めるかどうかは、契約ごとの話です。契約書で何を確認するかは在宅ワークの業務委託契約で確認する項目にまとめています。
LEARNING GUIDE
インスタで人生を変えたいあなたへ
インスタ大学の教材について、LINEで受取案内を確認できます。
LINEでインスタ大学の受取案内を見る※ 受取方法はLINEの案内をご確認ください。
開業届と青色申告承認申請書の期限の違い
青色申告承認申請書とは? 青色申告で申告したい人が、開業届とは別に税務署へ出す申請書のことです。承認を受けることで青色申告が使えるようになります。
開業届を考えるときに見落としやすいのは、この2つの書類の期限が別だという点です。国税庁のNo.2090は、新たに事業を始めたときの届出書とその提出期限を表にまとめています。そこに書かれた2つの期限を並べると次のとおりです。
| 書類 | 提出期限(国税庁の記載) |
|---|---|
| 個人事業の開廃業等届出書(開業届) | 事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで |
| 所得税の青色申告承認申請書 | 原則、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで。その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合は、その事業開始等の日から2月以内 |
出典はNo.2090 新たに事業を始めたときの届出など|国税庁と、青色申告承認申請書の手続を案内するA1-8 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁です。開業届を案内するA1-5のページと、A1-8のページは、どちらも提出期限が土曜日・日曜日・祝日等にあたる場合は、その翌日が期限になると案内しています。
ここから分かる判断のポイントは、青色申告を使いたい人は、開業届の期限ではなく青色申告承認申請書の期限から逆算して動く必要がある、ということです。仮の例を挙げます。日付は説明のための例で、実在の開業ではありません。
| 仮の例の場面 | 青色申告承認申請書の期限の読み方 |
|---|---|
| 2026年10月20日に在宅ワークを事業として始め、その年から青色申告を使いたい | 1月16日以後の開業にあたるため、開業日から2月以内が期限です。12月20日の前後が目安になります。日付の数え方と土日の扱いは、税務署で確かめます |
| 同じ人が、開業届だけを先に出す | 開業届の期限は確定申告期限までです。ただし、青色申告承認申請書の期限はそれより先に来るため、青色申告を使うなら開業届と切り離して期限を数えます |
2つの書類は期限が別なので、青色申告を使うつもりなら、同じ日に出せるように準備しておくと期限の見落としを防げます。青色申告と白色申告の違いは在宅ワークの確定申告のやり方で整理しています。なお、開業届を出さなかった場合の扱いについて、今回確認した国税庁のページには取り扱いを説明する記載を見つけられなかったため、この記事では書きません。気になる場合は、税務署で確かめてください。
会社員が副業で出す前に勤務先で確かめること
副業の勤務先ルールとは? 会社員が副業や兼業をするときに、勤務先の就業規則や雇用契約で定められている可否・届出・許可の決まりのことです。
勤務先のある人が在宅ワークを始める場合、税務署への届出とは別に、勤務先のルールの確認が要ります。厚生労働省の「副業・兼業」のページは、企業や働く人が留意する点をまとめたガイドラインと、副業・兼業の規定を含むモデル就業規則を案内しています。出典は副業・兼業|厚生労働省です。
実際に副業ができるか、届出や許可が要るかは、勤務先の就業規則によって異なる場合があります。確かめる順番は、次の3つが自然です。
- 就業規則の副業・兼業に関する条文を読み、禁止・許可制・届出制のどれにあたるかを確かめる
- 条文があいまいなときや書かれていないときは、人事・総務の窓口に自分の仕事の内容を伝えて聞く
- 勤務先に確認できた内容を、メールなど後から見返せる形で残しておく
開業届を出すこと自体の扱いが勤務先のルールにどう関わるかは、勤務先ごとに異なります。この記事では一般化して断定しません。勤務先のルールを確かめてから、開業届の提出を決めるのが安全です。
提出先と提出方法(e-Taxと書面)
開業届の提出先とは? 納税地を所轄する税務署長です。提出の方法は、e-Taxで送信する方法と、書面を持参または送付する方法があります。
国税庁のA1-5のページは、提出先を「納税地を所轄する税務署長」としています。作成と提出の方法は、パソコンからe-Taxソフトで届出書を作成してe-Taxで提出する方法が案内されています。あわせて、書面で届出書を作成して持参または送付により提出することもできる、とされています。e-Taxを初めて使う場合は、利用者識別番号を取得する必要があります。出典はA1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁です。
| 提出方法 | 国税庁のページにある案内 |
|---|---|
| e-Tax | パソコンからe-Taxソフトで届出書を作成して提出する。初めて使う場合は利用者識別番号が必要。e-Taxで提出するときは、本人確認書類の提示または写しの添付が不要 |
| 書面(持参) | 書面で作成した届出書を、納税地を所轄する税務署へ持参する。マイナンバーを記載した書面を出すときは、本人確認書類の提示または写しの添付を求められる |
| 書面(送付) | 書面で作成した届出書を、納税地を所轄する税務署へ送る。マイナンバーを記載した書面を出すときは、本人確認書類の写しの添付を求められる |
届出書の様式と記載要領のPDFは、同じページからダウンロードできます。税務署の窓口へ持参する場合の受付時間について、同ページは、令和8年10月1日から全ての税務署で総合窓口の受付時間を原則として午前9時から午後3時までとしている、と案内しています。土曜日、日曜日、祝日及び年末年始(12月29日から1月3日)は執務を行っていません。出典は同じくA1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁です。
青色申告承認申請書の提出方法は別のページで案内されています。A1-8のページは、e-Taxソフト(WEB版)の「マイページ」から申請する方法を案内し、書面で作成して持参または送付する方法もあるとしています。出典はA1-8 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁です。開業届とは入口が異なる点に注意してください。
届出書を書く前に準備することと記入の注意
記載要領とは? 国税庁が届出書の様式と一緒に公開している、各欄の書き方を説明した資料のことです。
届出書の書き方は、国税庁の記載要領に従います。記載要領には次の説明があります。提出先は納税地を所轄する税務署長で、提出時期は事業の開始、廃止等の事実があった日の属する年分の所得税の確定申告期限までです。「所得の種類」欄には、新たに開始した事業に係る所得の種類について、該当するものにレ印を付けます。「給与等の支払の状況」欄は、届出日現在の給与の支給人員と支払の状況を記載する欄です。出典は個人事業の開業・廃業等届出書の記載要領(PDF)|国税庁です。
記載要領には、青色申告承認申請書の期限も書かれています。1月15日までに新たに事業を開始した場合はその年の3月15日、1月16日以降に開始した場合は事業を開始した日から2か月以内です。また、事業所得、不動産所得または山林所得のある白色申告の方には、記帳・帳簿書類保存制度などの案内があります。その注記は、事業所得、不動産所得または山林所得を生ずべき業務を行う全ての方に、記帳と帳簿書類の保存が必要だと説明しています。届出書を出したかどうかが条件とは書かれていません。記録の付け方は在宅ワークの家賃・光熱費・通信費の按分や在宅ワークの月末の締め作業が参考になります。
書く前に手元に用意しておくと進めやすいものを挙げます。どの欄に何を書くかは、記載要領と様式で確かめてください。
- 事業を始めた日として、自分で説明できる日付
- 仕事の内容を短く言える言葉(どんな在宅ワークを受けているか)
- e-Taxで出すなら、利用者識別番号を持っているか(初めてなら取得が先)
- 書面で出すなら、個人番号の記載と本人確認書類の準備
開業届のほかに期限がある手続
開業時の関連手続とは? 開業届とは別に、必要に応じて出す届出や申請のことで、国税庁のNo.2090が所得税・源泉所得税・消費税に分けて一覧にしています。
No.2090の表には、開業届のほかにも複数の届出書等が並んでいます。在宅ワークの個人事業で話題になりやすいものだけを、期限の考え方と合わせて抜き出します。該当するかどうかは、自分の状況によります。
| 手続 | 国税庁の記載にある提出期限 | 関連する記事 |
|---|---|---|
| 所得税の青色申告承認申請書 | 原則、申告しようとする年の3月15日まで(1月16日以後に新たに事業を開始した場合は、事業開始等の日から2月以内) | 在宅ワークの確定申告のやり方 |
| 適格請求書発行事業者の登録申請書 | 免税事業者は、登録希望日を記載して提出する。事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けたい場合は、その課税期間中 | 在宅ワークのインボイス制度 |
| 消費税課税事業者選択届出書 | 適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(事業を開始した日の属する課税期間なら、その課税期間中) | 在宅ワークのインボイス制度 |
出典はNo.2090 新たに事業を始めたときの届出など|国税庁です。同ページは、都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署等にも届出書等の提出が必要となる場合があるため、各行政機関へ確認するよう案内しています。社会保険や年金の手続は在宅ワークの社会保険・年金切り替えガイド、収入に関する制度の線引きは在宅ワークの年収の壁2026年最新で扱っています。開業届を出したことで、これらの扱いがどう変わるかは、今回確認した公式ページに記載がないため、この記事では書きません。
提出前のチェック表
提出前のチェック表とは? 開業届を出す前に、期限・提出先・方法・勤務先のルールを一通り確かめるための点検リストのことです。
次の表は、ここまでの内容を提出前の確認事項にまとめたものです。上から順に確かめれば、見落としが減ります。
| 確認すること | 確かめ方 | 確かめた |
|---|---|---|
| 仕事を事業として始めたといえるか | 国税庁の手続案内と、迷うときは税務署・相談窓口 | □ |
| 青色申告を使うか | 使うなら青色申告承認申請書の期限を先に確かめる | □ |
| 勤務先の副業ルール | 就業規則を読み、必要なら人事・総務に聞く | □ |
| 取引先から求められている書類 | 契約書や発注の案内を読む | □ |
| 提出先の税務署 | 納税地を所轄する税務署かを確かめる | □ |
| 提出方法 | e-Taxか書面かを決め、必要な番号や本人確認書類を用意する | □ |
| 提出の控え | 提出した日と方法を記録に残す | □ |
よくある質問(FAQ)
- Q1. 在宅ワークを始めたら、開業届を出さないといけませんか?
- 国税庁のA1-5のページは、新たに事業所得、不動産所得または山林所得を生ずべき事業の開始等をした方を手続の対象者としています。在宅ワークの収入がどの所得にあたるかは個別の事情によるため、迷うときは税務署や税についての相談窓口で確かめてください。
- Q2. 開業届はいつまでに出しますか?
- 事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までです。提出期限が土曜日・日曜日・祝日等にあたる場合は、その翌日が期限になります。出典はA1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁です。
- Q3. 青色申告承認申請書も開業届と同じ期限ですか?
- 別の期限です。原則は申告しようとする年の3月15日まで、その年の1月16日以後に新たに事業を始めた場合は事業開始等の日から2月以内とされています。出典はA1-8 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁です。
- Q4. 開業届は郵送でも出せますか?
- 書面で届出書を作成して、持参または送付により提出することもできます。国税庁は、まずパソコンからe-Taxソフトで作成してe-Taxで提出する方法を案内しています。出典はA1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁です。
- Q5. 会社員でも開業届を出せますか?
- 確認した国税庁のページには、会社員であることを理由に除外する記載は見つけられませんでした。ただし副業の可否や届出の決まりは、勤務先の就業規則によって異なる場合があります。先に勤務先のルールを確かめてください。厚生労働省の副業・兼業のページに、ガイドラインとモデル就業規則の案内があります。
- Q6. 取引先に開業届の提出を求められたらどうしますか?
- 求められる書類や理由は契約ごとに異なります。契約書の記載を読み、分からない点は取引先に質問してから決めます。契約書で確認する項目は在宅ワークの業務委託契約で確認する項目にまとめています。
この記事を読んだ人におすすめ
まとめ
在宅ワークの開業届は、仕事を事業として始めたときに税務署へ出す届出で、提出時期は事業を始めた年分の確定申告期限までです。青色申告を使いたい場合は、開業届とは別に青色申告承認申請書を出す必要があり、その期限は開業届より早く来ることがあります。会社員は、税務署への手続の前に勤務先の就業規則を確かめます。
提出は、e-Taxか、書面の持参・送付のどちらかを選べます。迷ったときは、国税庁のA1-5のページと記載要領を手元に開いて、税務署や相談窓口で確かめながら進めてください。ここに書いた期限や受付時間は2026年10月16日時点の国税庁の記載で、変わることがあります。出す前に最新のページを確認してください。
読み終えたら、次は発信の準備を
仕事や暮らしの経験を、Instagramでの発信に活かしたい方へ。インスタ大学の一般教材の受け取り方を、公式LINEで案内しています。
LINEでインスタ大学の受取案内を見る
LEARNING GUIDE
インスタで人生を変えたいあなたへ
インスタ大学の教材について、LINEで受取案内を確認できます。
LINEでインスタ大学の受取案内を見る※ 受取方法はLINEの案内をご確認ください。
S.Lineの関連サービス











