「看護師の給料って、本当に安いのかな」と気になって、このページを開いた人もいるかもしれないね。
結論から言うと、公的データだけでは「安い」と言い切れず、何と比べるかで答えが変わるよ。
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所の一般労働者、2025年6月分の所定内給与額)では、産業「医療,福祉」が315.7千円、全産業が340.6千円で、医療,福祉のほうが24.9千円低い。ただしこれは産業の平均で、看護師だけの金額ではないの。
看護師だけを対象にした日本看護協会「2023年 病院看護実態調査 報告書」(2023年度実績)では、新卒(大卒)の平均基本給与額が210,963円、夜勤手当などを含む平均税込給与総額が274,752円で、手当の分だけ6万円以上の差があった。
だから「平均が低いか」より、基本給と手当の内訳を見るほうが、収入を増やす選択肢を考える近道になるよ。この記事では、給与の内訳、年齢や勤務先による違い、収入を増やすときに確認する制度を順番に整理していくね。
個人の体験談ではなく、公的機関が公開している調査結果と制度の情報だけで構成しているよ。
数値は2026年10月14日に、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」と日本看護協会の公開資料の本文で確認できたものだけを載せているよ。
この記事でわかること
- 看護師の給料は本当に安いのか|平均額だけで判断できない理由
- 看護師の給与の内訳|基本給と手当はどう積み上がるのか
- 額面と手取りの差はどこで生まれるのか|社会保険料と税金
- 年齢・経験年数別の看護師の給料データ
- 勤務先の種別で給与はどう変わるのか|公的データで分かる範囲
- 収入を増やす選択肢|職場・夜勤・資格・副業の整理
- 副業を始める前の判断材料|時間・初期費用・収益化までの期間
- 副業の税と扶養|確定申告が必要になる条件
看護師の給料は本当に安いのか|平均額だけで判断できない理由
看護師の給料が安いかどうかは、公表されている平均額そのものではなく、その金額がどの期間のどの範囲を指しているかという定義を確かめてから判断する。
先に整理|比べる物差しごとに言えること・言えないこと
「安い」という感覚は、どの数字と比べるかで変わる。次の表は、この記事で使う公的データを物差しごとに並べたものだよ(出典はどれも各調査の本文の記載)。
| 比べ方 | 公的データの数値 | 読み取れること | 言えないこと |
|---|---|---|---|
| 産業全体と比べる | 全産業340.6千円、医療,福祉315.7千円(令和7年・一般労働者・所定内給与額) | 産業の平均では医療,福祉が24.9千円低く、16産業のなかで下から5番目 | 看護師だけの金額ではない(介護職員や医療事務なども含む区分) |
| 女性の賃金と比べる | 全産業の女性285.9千円、医療,福祉(男女計)315.7千円 | 年齢階級別では20~24歳以降、医療,福祉が全産業の女性を上回る(後述の表) | 男女計と女性だけでは構成が違うため、看護師の優劣は言えない |
| 手当込みの金額で見る | 新卒(大卒)の税込給与総額274,752円、勤続10年・非管理職は326,675円(日本看護協会・2023年度実績) | 基本給との差が6万円から8万円あり、夜勤などの手当が内訳の大きな部分を占める | 所定内給与とは範囲が違うため、上の2行の数字と大小を決めることはできない |
| 勤務先の種別で比べる | 一枚で比較できる公的データは確認できなかった | 求人票の項目を分解して1件ずつ比べる方法がある | 「クリニックのほうが高い」などの一般化 |
1行目の出典は結果の概況、3行目の出典は病院看護実態調査 報告書だよ。
公的な賃金データの「賃金」は月給そのものではない
いちばん最初につまずきやすいのが、公的統計で使われる「賃金」という言葉の意味だよ。
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査 主な用語の定義」では、概況に使われている「賃金」は調査実施年6月分の所定内給与額の平均だと書かれている。
所定内給与額というのは、あらかじめ定められた支給条件と算定方法で6月分として支給された現金給与額のうち、超過労働給与額を除いたもののこと。
つまり残業代のほか、深夜勤務手当や交替手当も差し引かれた金額なんだよね。同じ用語の定義には、超過労働給与額として時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交替手当が挙げられている。
ここを知らないまま「平均◯◯円」という数字だけを見て自分の給与明細と比べると、話がかみ合わなくなる。
逆に、日本看護協会が公表している看護師の給与額は「税込給与総額」で、夜勤手当や通勤手当まで含んだ合計になっている。
同じ「看護師の給料」でも、出どころによって足し算の範囲が違うということ。
2つの公的データが指している金額の範囲
混同を避けるために、この記事で使う2つの調査の定義を先に並べておくね。
| 指標 | 公表元 | 対象と時点 | 含まれるもの | 含まれないもの |
|---|---|---|---|---|
| 賃金(所定内給与額) | 厚生労働省・賃金構造基本統計調査 | 主要産業の一般労働者/調査実施年6月分 | あらかじめ定められた支給条件で支給される現金給与額 | 超過労働給与額、賞与その他特別給与額 |
| 平均基本給与額 | 日本看護協会・病院看護実態調査 | 病院に勤める看護師/2023年度実績 | 基本給として設定されている金額 | 夜勤手当、通勤手当、住宅手当などの諸手当 |
| 平均税込給与総額 | 日本看護協会・病院看護実態調査 | 病院に勤める看護師/2023年度実績 | 基本給に加えて通勤手当、住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当、処遇改善等の手当 | 時間外勤務の手当、感染症に係る危険手当 |
この表の内容は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」と、日本看護協会「2023年 病院看護実態調査 報告書」の本文の記載にそろえているよ。
後者は日本看護協会調査研究報告のNo.100として2024年3月に発行された資料で、回答した病院は3,699施設だよ。
産業全体のなかで医療・福祉はどのあたりか
令和7年賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の賃金は男女計340.6千円、男性373.4千円、女性285.9千円だった(結果の概況)。
産業別に見ると「医療,福祉」は男女計315.7千円で、金額に直すと31万5,700円になる。
最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の444.0千円、次いで「学術研究,専門・技術サービス業」の440.3千円で、最も低いのは「宿泊業,飲食サービス業」の277.2千円だった。
この並びだけを見ると、医療・福祉は真ん中よりやや下ということになる。
ただしここで比べているのは産業であって職種ではない。
「医療,福祉」という区分には看護師のほかに介護職員や事務職なども入っているから、この数字をそのまま看護師の給料だと読むことはできないんだよね。
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看護師の給与の内訳|基本給と手当はどう積み上がるのか
看護師の月給は基本給を土台に、夜勤手当や住宅手当などの諸手当が上乗せされて決まるため、基本給と手当込みの総額を分けて見ると構造が理解しやすくなる。
基本給と税込給与総額の差を数字で見る
日本看護協会「2023年 病院看護実態調査 報告書」には、新卒看護師の初任給と勤続10年の看護師の給与が、基本給と税込総額の両方で載っているよ。
| 区分 | 回答病院数 | 平均基本給与額 | 平均税込給与総額 | 総額と基本給の差 |
|---|---|---|---|---|
| 新卒(高卒+3年課程) | 3,249 | 204,950円 | 266,558円 | 61,608円 |
| 新卒(大卒) | 3,115 | 210,963円 | 274,752円 | 63,789円 |
| 勤続10年・31〜32歳・非管理職 | 3,290 | 247,629円 | 326,675円 | 79,046円 |
いずれも2023年度実績の数値で、基本給と総額は報告書本文の記載どおり、差額はその引き算だよ。
見てほしいのは、基本給と税込総額のあいだに6万円から8万円の開きがあるということ。
この差の中身が、そのまま看護師の給与の内訳になっているの。
総額に含まれている手当と、含まれていない手当
同じ報告書の注記によると、税込給与総額に含まれているのは通勤手当、住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当、看護職員処遇改善等事業に基づく手当などだよ。
逆に含まれていないのが、時間外勤務の手当と感染症に係る危険手当。
さらに新卒の数値については、家族手当を含まず、単身で民間アパートに住んでいる前提で集計されている。
夜勤をした場合は、その月に三交代で8回、二交代で4回の夜勤をしたものと想定されている。
つまりこの金額は「夜勤を標準的な回数こなした月の総額」であって、夜勤のない月の金額ではないということ。
求人票や給与明細を見るときも、同じ考え方で分解すると比べやすくなるよ。
自分の給与を同じ形に分解してみる
たとえば、手元の給与明細を次の順番で書き出してみてね。
まず基本給。
次に、毎月固定で付く手当(住宅手当、資格手当、職務手当など)。
そのあとに、回数や実績で変わる手当(夜勤手当、オンコール手当、時間外手当)。
最後に、通勤手当のように実費に近い性質のもの。
この4つに分けると、「がんばった月だけ増える部分」と「毎月変わらない部分」がはっきりする。
転職や働き方を考えるときに効いてくるのは、あとで触れるとおり毎月変わらない部分のほうなんだよね。
額面と手取りの差はどこで生まれるのか|社会保険料と税金
額面から手取りへ減る金額は、社会保険料と税金の合計であり、率や金額は加入先や居住地によって変わる。詳しい保険料率は日本年金機構の厚生年金保険料額表で確認できる。
控除欄に並ぶ項目を分けて考える
給与明細の控除欄に並ぶのは、大きく分けると社会保険料と税金の2種類だよ。
社会保険料は健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、40歳以上なら介護保険料。
税金は所得税と住民税。
このうち厚生年金保険料については、日本年金機構の「厚生年金保険料額表」に、平成29年9月を最後に引上げが終了して保険料率は18.3%で固定されている、と書かれている。
健康保険料率は加入している保険者や都道府県によって違うから、全国一律の数字は存在しないの(厚生年金保険料の保険料率は上の厚生年金保険料額表のとおり)。
だからこそ「手取りは額面の◯割」と一般化するより、自分の明細の控除欄を1行ずつ確認するほうが早いんだよね。
手取りが増えにくく感じる仕組み
社会保険料は標準報酬月額をもとに計算されるから、額面が上がると保険料も一緒に上がる。
税金の負担も、収入が増えれば一般に重くなる。
そのため額面が増えても、手取りが同じ額だけ増えるわけではないという感覚になる。
この仕組みを知っていると、夜勤を増やした月に「思ったより増えていない」と感じる理由も説明がつくよ。
逆に言えば、額面の増減だけで働き方を決めると判断を誤りやすいということでもある。
確認するときの順番
手取りの内訳を確かめたいときは、直近3か月分の明細を並べるのがおすすめ。
夜勤の回数が多い月と少ない月を比べると、変動する部分がどこかが一目で分かる。
住民税は前年の所得をもとに決まるので、前年に収入が増えた年の6月以降に負担が変わる点も覚えておいてね。
転職した年や休職した年は、この時間差で手取りの感覚がずれやすいところだよ。
休職とお金の関係を整理したい人は、看護師が休職を考える前に知っておくべき手続きとお金・復帰もあわせて読んでみてね。
年齢・経験年数別の看護師の給料データ
年齢や勤続年数で賃金がどう変わるかは、産業別の年齢階級別データと、看護師に絞った勤続年数別の給与データを組み合わせると輪郭がつかめる。

医療・福祉の年齢階級別賃金
令和7年賃金構造基本統計調査の産業別にみた賃金から産業「医療,福祉」を、性別にみた賃金から全産業の女性を取り出して並べてみたよ。
| 年齢階級 | 医療,福祉(男女計・千円) | 全産業の女性(千円) |
|---|---|---|
| ~19歳 | 192.4 | 201.4 |
| 20〜24歳 | 249.0 | 239.6 |
| 25〜29歳 | 277.3 | 268.8 |
| 30〜34歳 | 298.8 | 283.2 |
| 35〜39歳 | 321.5 | 292.4 |
| 40〜44歳 | 328.6 | 303.6 |
| 45〜49歳 | 330.0 | 305.7 |
| 50〜54歳 | 337.0 | 305.4 |
| 55〜59歳 | 347.8 | 305.7 |
| 60〜64歳 | 323.3 | 270.8 |
| 65〜69歳 | 318.8 | 240.7 |
同じ調査で「医療,福祉」の平均年齢は44.0歳、平均勤続年数は9.9年と公表されているよ。
20代前半では全産業の女性より高く、40代以降も緩やかに上がり続けているのが読み取れる。
ただし前述のとおり、これは産業の数字であって看護師だけの数字ではないから、自分の職場と一致するとは限らないんだよね。
勤続年数で賃金はどう動くのか
同じ調査の勤続年数階級別にみた賃金(男女計・企業規模計)では、勤続0年274.5千円、1〜2年285.3千円、3〜4年297.0千円、5〜9年312.5千円、10〜14年333.6千円、15〜19年370.8千円、20〜24年400.4千円、25〜29年433.6千円、30年以上444.2千円となっている。
全産業をならした値だけど、勤続15年を超えたあたりから上がり幅が大きくなる形になっているのが分かる。
一方で「医療,福祉」の平均勤続年数は9.9年。
この2つを並べると、平均勤続年数が上がり幅の大きくなる手前の9.9年にとどまる産業だ、という読み方ができる。
もちろんこれは統計の傾向であって、個々の職場の昇給ルールを説明するものではないよ。
看護師に絞ったときの10年の差
看護師だけのデータで見ると、日本看護協会「2023年 病院看護実態調査 報告書」では新卒(大卒)の平均税込給与総額が274,752円、勤続10年・31〜32歳・非管理職が326,675円だった。
差は51,923円で、基本給どうしで比べると210,963円と247,629円の差、つまり36,666円になる。
10年で基本給が3万円台の伸び、手当込みで5万円台の伸びというのが、この調査から読み取れる範囲だよ。
これを大きいと見るか小さいと見るかは、生活費や働き方の希望によって変わるところだと思う。
看護師の給料が上がらない構造的な理由
病院の収入は診療報酬制度に基づいて決まるため、看護職員の賃上げも制度の対象になるかどうかに左右されやすい構造がある。

診療報酬という土台がある
病院が受け取る医療の対価は、国が定める診療報酬にひもづいている。
厚生労働省は「令和8年度診療報酬改定について(令和8年4月以降の改正について)」として、改定に関する省令・告示などの関連資料を公開しているよ。
つまり賃上げの原資が制度側の改定と結びついているということ。
一般の企業のように、売上を伸ばした分をそのまま人件費に回すという流れになりにくいのはこのためなの。
処遇改善の対象になっている病院は約半数
日本看護協会「2023年 病院看護実態調査 報告書」によると、2022年10月から新設された看護職員処遇改善評価料の対象医療機関となっている病院は47.7%、対象医療機関ではない病院は51.5%だった。
制度が用意されていても、勤務先がその対象かどうかで効き方が変わるということだよね。
さらに同じ報告書では、対象外の病院における2022年10月以降の基本給または手当の引き上げ状況(定期昇給を除く)も集計されている。
基本給の引き上げを行ったのが27.0%、手当の引き上げを行ったのが14.1%、いずれも行っていないが61.1%だった。
引き上げを行った病院の理由としては、例年一定程度のベースアップを行っているためが53.2%、急速な物価高への対応としてが20.1%となっている。
賃金制度そのものの見直しは進みにくい
同報告書では、看護職員の賃金制度の抜本的な見直しへの取組み状況も聞かれているよ。
「現時点では見直しは経営課題となっていない」が36.6%、「時期は未定だが見直しが経営課題となっている」が22.3%、「すでに実施済みであり当面次の見直し予定はない」が8.3%、「現在見直しを行っている」が4.6%だった。
賃金の仕組みを変える動きが、多くの病院でまだ検討段階にとどまっていることが分かる。
この状況で個人ができるのは、制度の変化を待つことと並行して、自分の側の条件を確認しておくことだと思う。
次の章から、その確認のしかたを具体的に見ていくね。
勤務先の種別で給与はどう変わるのか|公的データで分かる範囲
大学病院、一般病院、クリニック、訪問看護ステーションといった勤務先ごとの看護師給与を一つの公的統計で横並びに比べる資料はこの記事の調査では確認できず、求人票の項目を分解して比べるのが現実的な方法になる。
公的データで分かること・分からないこと
最初に正直に書いておくと、勤務先の種別ごとの看護師の給与を一枚で比較できる公的データは見つからなかった。
日本看護協会の2023年 病院看護実態調査 報告書は病院を対象にした調査で、回答した3,699施設はいずれも病院だよ。
報告書の統計表には設置主体別や病床規模別の初任給・勤続10年給与が収録されているけれど、クリニックや訪問看護ステーションは調査の対象に含まれていない。
賃金構造基本統計調査のほうは産業「医療,福祉」という括りなので、勤務先の形態までは分けられない。
だから「クリニックは高い」「訪問看護は高い」といった一般化は、この記事で確認できた公的データからは言えないということになる。
ここは断定せずに、自分が検討している職場の条件を1件ずつ見るのが確実な方法だよ。
求人票を同じ形に分解して比べる
職場を比べるときは、募集要項に書かれている項目を分解して同じ形に並べると差が見えるよ。
| 確認する項目 | 見るポイント | 見落としやすいところ |
|---|---|---|
| 基本給 | 手当を除いた金額がいくらか | 「月給」の表記に手当が含まれている場合がある |
| 固定残業代 | 何時間分が含まれているか | 基本給に組み込まれて見かけの金額が上がっていることがある |
| 賞与 | 年間何か月分か、実績か規定か | 初年度は支給月数が異なる場合がある |
| 夜勤・オンコール手当 | 1回あたりの金額と想定回数 | 想定回数が変わると月収が変わる |
| 昇給 | 昇給の時期と直近の実績 | 「昇給あり」だけで金額の記載がないことがある |
この5項目をそろえて並べると、額面だけを見比べていたときとは違う順位になることが多いんだよね。
訪問看護への転職を検討している人は、働き方と収入の違いを整理した訪問看護に転職するメリット・デメリット|働き方と収入の違いを整理が参考になると思う。
転職の進め方そのものを知りたいときは看護師の転職エージェントを使わない転職方法|自力で転職を成功させるコツもどうぞ。
他職種との比較で読み取れること|産業別賃金の見方
他職種との比較は産業別の賃金データで大枠をつかむことはできるが、産業分類と職種は一致しないため、順位をそのまま職種間の優劣として読むことはできない。
産業別の賃金を一覧で見る
令和7年賃金構造基本統計調査の産業別にみた賃金(男女計・年齢計)を、高い順に並べたのが次の表だよ。
| 産業 | 賃金(千円) | 対前年増減率 |
|---|---|---|
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 444.0 | 1.5% |
| 学術研究,専門・技術サービス業 | 440.3 | 9.6% |
| 金融業,保険業 | 437.0 | 6.4% |
| 情報通信業 | 406.0 | 3.8% |
| 鉱業,採石業,砂利採取業 | 388.3 | 4.3% |
| 教育,学習支援業 | 379.4 | 0.9% |
| 建設業 | 366.3 | 3.9% |
| 不動産業,物品賃貸業 | 360.1 | -3.1% |
| 卸売業,小売業 | 349.1 | 1.6% |
| 製造業 | 330.0 | 3.6% |
| 複合サービス事業 | 319.0 | 3.9% |
| 医療,福祉 | 315.7 | 3.0% |
| 運輸業,郵便業 | 312.7 | 2.6% |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 295.2 | 3.3% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 284.9 | -0.3% |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 277.2 | 2.9% |
数値は概況の第5-1表に載っている賃金と対前年増減率をそのまま書き写したものだよ。
医療,福祉は16産業のなかで下から5番目の位置だけど、対前年増減率は3.0%で全体の伸び(男女計3.1%)とほぼ同じだった。
この比較で言えないこと
ここで気をつけたいのが、この表は産業の平均であって職種ごとの賃金ではないという点。
「医療,福祉」には看護師だけでなく、介護職員、リハビリ職、医療事務なども含まれている。
また、この「賃金」は所定内給与額で、深夜勤務手当や交替手当などの超過労働給与額は差し引かれている。
夜勤や交代制勤務に関わる手当の多くが金額のなかに現れにくい指標だということは、読むときに意識しておきたいところだよ。
だからこの表は「看護師は◯位」と読むものではなく、産業全体のなかでの位置をざっくり把握するための材料として使うのが適切なの。
医療以外の選択肢も視野に入れたい人は、看護師から一般企業に転職する方法|未経験でも採用される職種10選で職種のイメージをつかんでみてね。
看護師の投資・貯金の考え方
お金の置き場所を決める前に、収入のうち変動する部分の大きさを把握しておくと、月によるブレに備えた家計の設計がしやすくなる。

まず収入のブレ幅を計算する
看護師の月収は夜勤手当の比重が大きいから、夜勤の回数が変わると収入も変わるよね。
日本看護協会「2023年 病院看護実態調査 報告書」では、定額の夜勤手当額の平均が二交代制の夜勤で11,368円、月平均夜勤回数は二交代制で4.9回と報告されている。
この2つを単純に掛け合わせた参考値は約5万6千円で、これは平均どうしを掛けた概算だから実際の支給額とは違うよ。
それでも、夜勤の回数が1回変わるだけで月の収入が1万円前後動くという感覚はつかめると思う。
家計を組むときに、この変動部分を固定費の支払いに当てていると、夜勤が減った月に苦しくなりやすいの。
固定費は変動しない収入の範囲に収める
そこで考え方としておすすめなのが、家賃や通信費のような毎月出ていく固定費を、夜勤手当を除いた収入の範囲に収めること。
仮の例で考えてみるね。
基本給と固定手当の合計が手取りで20万円、夜勤手当が月に4万円から6万円という人がいたとすると、固定費を24万円の前提で組めば夜勤が減った月に赤字になり、固定費を20万円の範囲に収めておけば夜勤手当はそのまま貯蓄や予備費に回せる形になる(ここに挙げた金額は考え方を示すための仮の数値だよ)。
これは金額の大小の話ではなく、収入の性質に合わせて家計の枠を決めるという考え方だよ。
体調を崩したときの備えを先に考える
夜勤や交代制勤務がある働き方では、体調の変化で勤務が減る可能性も考えておきたいところ。
生活費の何か月分を手元に置いておくかは人によって違うけれど、先に決めておくと判断に迷いにくくなるのは確かだよ。
資産をどこに置くかという具体的な運用の話は、この記事の範囲を超えるので触れないでおくね。
休日の使い方や回復のしかたを見直したい人は、看護師の休日の過ごし方|一人時間を充実させる25選【夜勤明け対応】も参考にしてみて。
収入を増やす選択肢①|職場を変えて基本給の条件を見直す
職場を変える選択肢は、毎月固定で入る基本給と手当の条件を変えられる点に意味があり、手当込みの提示額だけで比較すると判断を誤りやすい。
効くのは変動しない部分
収入を増やす方法を考えるとき、まず見たいのが基本給だよ。
基本給は賞与や退職金の算定基礎になることが多いし、夜勤の回数に左右されない部分だから。
賃金構造基本統計調査の勤続年数階級別にみた賃金では、勤続0年が274.5千円、勤続5〜9年が312.5千円、勤続10〜14年が333.6千円と、勤続に応じて上がる形が示されている。
ただし転職すると勤続年数はリセットされるから、転職後の基本給が今の基本給より高いかどうかを先に確かめる必要がある。
転職すれば給料が上がると言い切れる公的データは、この記事で確認した範囲では見つからなかったよ。
確認の順番を決めておく
職場を比べるときは、前の章で並べた5項目に加えて、通勤時間と休日の取り方も一緒に並べるのがおすすめ。
通勤時間が片道30分短くなると、月20日勤務で20時間の自由時間が生まれる計算になる。
この時間をどう使うかで、副業を含めた次の選択肢の現実味が変わってくるんだよね。
退職の手続きに不安がある人は、看護師の退職届の書き方と出し方|円満退職で流れを確認しておくと動きやすいよ。
結婚や出産のタイミングと重ねて考えたい人は、看護師の結婚・出産後の働き方|在宅ワークで叶える理想のライフプランも読んでみてね。
収入を増やす選択肢②|夜勤の回数と手当の関係を確認する
夜勤手当は勤務形態によって1回あたりの金額が大きく異なり、支給の仕組みも病院ごとに違うため、回数を増減する前に自分の職場の支給形態を確認する必要がある。
勤務形態で1回あたりの金額が違う
日本看護協会「2023年 病院看護実態調査 報告書」で報告されている、定額の夜勤手当額(1回あたり)は次のとおりだよ。
| 勤務形態 | 回答病院数 | 1回あたりの平均手当額 | 月平均夜勤回数 |
|---|---|---|---|
| 三交代制・準夜勤 | 807 | 4,234円 | 三交代制全体で7.5回 |
| 三交代制・深夜勤 | 812 | 5,199円 | 三交代制全体で7.5回 |
| 二交代制・夜勤 | 2,644 | 11,368円 | 4.9回 |
月平均夜勤回数は2023年9月の1か月間の集計で、三交代制では「7〜8回未満」が27.7%で最も多く、二交代制では「4回超〜5回未満」が31.6%で最も多かった。
三交代制と二交代制で1回あたりの金額がこれだけ違うのは、1回の勤務の長さが違うからだよ。
手当の支給のされ方にも種類がある
同じ報告書によると、平日の夜勤等に支払われる1回あたりの手当について、「深夜時間帯の割増賃金を含む定額の夜勤手当を支給している」病院が51.0%で最も多く、「深夜時間帯の割増賃金とは別に、定額の夜勤手当を支給している」が31.3%だった。
「深夜時間帯の割増賃金のみ支給しており、夜勤手当は支給していない」という病院も3.9%ある。
また、定額の夜勤手当とは別に夜勤回数に応じた手当を支給している病院は20.5%だった。
つまり夜勤を1回増やしたときの増え方は職場によって違うということ。
回数を増やす前に、自分の職場がどのタイプなのかを就業規則や給与規程で確かめておきたいところだよ。
増やす前に健康面の条件も見る
夜勤を増やす判断をするときは、金額と同時に体への負担も並べて考えたいよね。
厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は副業の文脈の資料だけれど、就業時間が長くなる場合に労働者自身による就業時間や健康の管理が一定程度必要だという考え方が示されている。
この考え方は、夜勤を増やすかどうかを判断するときにも当てはまると思う。
短期的に収入を増やす手段としては即効性があるけれど、長く続ける前提の方法としては慎重に考えたい選択肢だよ。
収入を増やす選択肢③|資格と役割で処遇が変わるのか
専門看護師や認定看護師などの資格を取ったときに処遇が変わるかは病院ごとの取組み次第で、公開データでは実施している病院の割合は限られている。
処遇改善に着手した病院の割合
日本看護協会「2023年 病院看護実態調査 報告書」では、看護職員処遇改善評価料の対象ではない病院に対して、国家公務員医療職俸給表(三)の見直しを契機に実施・着手した内容が聞かれているよ。
| 実施・着手した内容 | 割合 |
|---|---|
| 何も実施していない | 78.3% |
| 上記以外の賃金制度の抜本的な見直し | 5.2% |
| 副看護師長・主任などの中間管理者ポストの増員 | 4.4% |
| 看護師長の処遇改善 | 4.3% |
| 副看護師長・主任などの中間管理者ポストの新設 | 2.7% |
| 管理職ではない熟練の看護師の処遇改善 | 1.8% |
| 専門看護師・認定看護師の処遇改善 | 1.6% |
| 特定行為研修修了者の処遇改善 | 1.1% |
この設問は対象外の1,904病院への複数回答で、無回答・不明が3.6%だったよ。
数字だけを見ると、資格の取得がそのまま手当の増額につながっている病院はまだ少ないという状況が読み取れる。
資格が効くのは金額より役割の幅かもしれない
同じ報告書には、院外での看護活動についての集計もあるよ。
正規雇用看護職員が院外で看護活動を行っている例があると回答した病院は64.9%。
その活動を行っているのは認定看護師が75.9%で最も多く、次いで看護管理者が53.9%、専門看護師が23.3%、特定行為研修修了者が18.0%だった。
活動の位置づけは「当院の職員として業務命令・指示のもとに行っている」が89.3%、「自由意思で私的時間に行っている」が36.1%となっている。
ここから読めるのは、資格が金額より先に「できる仕事の幅」に効いている可能性があるということ。
研修講師やコンサルテーションのような活動の機会が広がれば、将来の選択肢そのものが増えることになるよね。
ただしこれは統計から読み取れる傾向であって、資格を取れば役割が広がると約束するものではないよ。
収入を増やす選択肢④|副業を検討するときに確認する制度
副業を検討する場合は、勤務先の就業規則の定めを最初に確認したうえで、労働時間や健康管理、届出の要否を順に確かめる必要がある。
病院側の規定は3つのパターンに分かれる
日本看護協会「2023年 病院看護実態調査 報告書」によると、正規雇用看護職員の副業・兼業について「許可に関する規定がある」病院が44.3%、「全面的に禁止する規定がある」病院が35.8%、「副業・兼業に関する規定はない」が19.4%だった。
つまり3分の1以上の病院には全面禁止の規定があるということ。
まずは自分の勤務先がどれに当たるのかを、就業規則で確かめるのが出発点だよ。
許可制の病院が見ている条件
許可に関する規定がある病院にその内容を聞いた結果(複数回答)も公開されているよ。
| 許可にあたって規定している内容 | 割合 |
|---|---|
| 副業・兼業の届出があること | 88.8% |
| 当院での業務に支障がないこと | 84.7% |
| 当院の機密事項が漏洩しないこと | 62.4% |
| 当院の名誉や信用を損なう行為、信頼関係を破壊する行為がないこと | 62.0% |
| 競業により、当院の利益を害することがないこと | 42.7% |
許可する際の判断材料としては、副業・兼業先の事業内容が79.5%、担当する業務内容が67.5%、副業・兼業の延べ労働時間数が59.1%となっている。
届出を求める病院が9割近いことを考えると、黙って始めるより先に手順を確認するほうが安全だよね。
国のガイドラインが示している考え方
厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(平成30年1月策定、令和2年9月改定、令和4年7月改定)には、裁判例を踏まえた基本的な考え方が書かれているよ。
労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的には労働者の自由であり、企業がそれを制限することが許されるのは、労務提供上の支障がある場合、業務上の秘密が漏洩する場合、競業により自社の利益が害される場合、自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合とされている。
また同ガイドラインでは、厚生労働省が平成30年1月に改定したモデル就業規則において「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」とされていることも紹介されている。
労働者の対応としては、まず自身が勤めている企業の副業・兼業に関するルール(労働契約、就業規則等)を確認し、そのルールに照らして業務内容や就業時間等が適切な副業・兼業を選択する必要がある、と書かれているよ。
制度面の詳しい資料は厚生労働省の副業・兼業のページにまとまっている。
職場にどう伝えるかで迷っている人は、看護師の副業と税金対策を扱った記事で手続きの考え方を確認してみてね。
労災や社会保険の扱いも押さえておく
同じガイドラインには、副業・兼業に関わる制度の扱いも整理されているよ。
労災保険については、副業・兼業の促進に関するガイドラインに、複数就業している者が増えている実状を踏まえ、非災害発生事業場の賃金額も合算して労災保険給付を算定することとされた。
また、一方の就業先から他方の就業先への移動時に起こった災害は、通勤災害として労災保険給付の対象になる。
雇用保険については、同一の事業主のもとで1週間の所定労働時間が20時間未満である人や、継続して31日以上雇用されることが見込まれない人は被保険者とならない、と説明されている。
短時間の仕事を複数掛け持ちする形を考えている場合は、この点も確認しておきたいところだよ。
副業を始める前の判断材料|時間・初期費用・収益化までの期間
副業を検討する段階では、確保できる時間、回収できなくても生活に影響しない初期費用、成果が出るまでの期間の不確実性という3つの観点を先に整理しておくと判断がぶれにくい。
最初に時間を棚卸しする
収入の話に入る前に確かめたいのが、実際に使える時間だよ。
勤務時間そのものだけでなく、通勤時間、夜勤明けの回復に必要な時間、家事や家族のための時間まで引いたうえで、何時間残るのかを数えてみてね。
仮の例で考えてみると、日勤が月18回で片道45分の通勤がある人の場合、通勤だけで月に27時間を使っている計算になる。
ここから夜勤や委員会の活動を引くと、平日に安定して確保できる時間はかなり限られることが分かる。
この棚卸しをせずに始めると、続けられなかった理由が「向いていなかったから」だと誤解しやすいんだよね。
3つの観点で候補を並べる
候補を比べるときは、次の3つの観点で同じ形に並べると比較しやすいよ。
| 観点 | 確認すること | 判断が難しいときの考え方 |
|---|---|---|
| 使える時間 | 週に何時間を、どの曜日に確保できるか | 繁忙期の月でも続けられる時間数を基準にする |
| 初期費用 | 機材や教材にいくらかかるか、返金の可否 | 回収できなくても生活に影響しない範囲にとどめる |
| 収益化までの期間 | 成果が出るまでにどれくらいかかると説明されているか | 期間や金額を断言する説明は根拠を確かめる |
この3つのうち、いちばん見積もりにくいのが収益化までの期間。
働き方や使える時間によって差が大きいから、いくら稼げるかを先に決めてから始めるのは現実的ではないと考えたほうがいいよ。
逆に、時間と初期費用は始める前に自分で決められる部分だから、ここを先に固めておくと迷いが減る。
うまい話に乗る前の見分け方も先に知っておく
副業を探していると、期間や金額を断言する勧誘に出会うこともあるよね。
誰でも同じ結果になると説明されているもの、初期費用の内訳が示されないもの、契約条件の書面がないものは、いったん立ち止まって確かめたいところ。
自宅で取り組める仕事の種類から知りたい人は在宅ワーク 女性 資格なし 未経験でもできる仕事20選が入口になると思う。
作業する環境から整えたい人には在宅ワークの作業環境チェック表|厚生労働省基準で机・椅子・照明を点検、仕事として受ける形を知りたい人にはSNS運用代行を未経験から始めるなり方ガイド|看護師からの転身も可能もどうぞ。
副業の税と扶養|確定申告が必要になる条件
給与以外の所得が一定額を超えると確定申告が必要になり、家族の扶養に入っている場合は合計所得金額の基準も併せて確認する必要がある。
確定申告が必要になる主なケース
国税庁の「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」(令和8年4月1日現在法令等)には、給与所得者が確定申告をしなければならない場合が挙げられているよ。
| ケース | 基準 |
|---|---|
| 給与の年間収入金額が多い場合 | 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人 |
| 給与を1か所から受けている場合 | 給与の全部が源泉徴収の対象で、各種の所得金額の合計額が20万円を超える人 |
| 給与を2か所以上から受けている場合 | 年末調整されなかった給与の収入金額と各種の所得金額との合計額が20万円を超える人 |
厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」にも、副業・兼業を行い20万円を超える副収入がある場合は、企業による年末調整ではなく個人による確定申告が必要である、と書かれているよ。
ここで注意したいのが、基準になるのは「収入」ではなく「所得」だということ。
所得は収入から必要経費を差し引いた金額だから、同じ売上でも経費の有無で結果が変わる。
判断に迷うときは、税務署や税理士など専門の窓口で確認するのが確実だよ。
扶養の基準も金額で決まっている
家族の扶養に入っている場合に気になるのが、いくらまでなら扶養にとどまれるのかという点だよね。
国税庁の「No.1180 扶養控除」(令和8年4月1日現在法令等)では、扶養親族に該当する要件のひとつとして年間の合計所得金額が58万円以下であること(給与のみの場合は給与収入123万円以下)が示されている。
同じページには、令和8年12月1日施行で令和8年分から適用される金額が62万円以下に引き上げられるという注記もあるよ。
控除額は一般の控除対象扶養親族が38万円、特定扶養親族が63万円、老人扶養親族(同居老親等以外)が48万円、同居老親等が58万円で、控除対象扶養親族となるのは年齢16歳以上の人だよ。
金額の基準は改正で変わることがあるから、判断する時点で国税庁のページを開いて確認するのがいちばん確実だと思う。
看護師の給与は今後どう変わるのか|制度面で分かっている動き
看護職員の賃上げは診療報酬上の評価料と結びついており、勤務先が制度の対象になるかどうかで受け取り方が変わるため、今後の見通しを一律に断定することはできない。
診療報酬改定の動き
厚生労働省は「令和8年度診療報酬改定について(令和8年4月以降の改正について)」として、改定に関する資料を公開しているよ。
ひとつ前の改定については「令和6年度診療報酬改定について」のページに資料がまとまっていて、賃上げに対応するベースアップ評価料等についての特設ページもそこに設けられているよ。
制度としての枠組みは整えられてきている、というのが現時点で言えることだと思う。
制度が届く範囲には差がある
一方で、前の章で見たとおり、看護職員処遇改善評価料の対象医療機関になっている病院は47.7%で、対象ではない病院が51.5%だった。
対象外の病院のうち、2022年10月以降に基本給または手当の引き上げをいずれも行っていない病院は61.1%。
制度が新設されても、勤務先がその対象かどうかで実際の受け取り方が変わるということだよね。
だから「今後上がるかどうか」は全国一律では言えず、自分の勤務先が対象かどうかを確認するところから始まるの。
待つだけにしない考え方
制度の動きは個人ではコントロールできない部分だよね。
だからこそ、この記事で見てきたように給与の内訳を把握して、変えられる条件から手をつけるという順番が現実的だと思う。
基本給の条件、夜勤の回数、資格や役割、そして副業。
どれを選ぶにしても、出発点は自分の給与明細と就業規則を読むところにあるよ。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 看護師の給与データはどこで確認できますか。
- 看護師に絞った金額は日本看護協会の病院看護実態調査、産業全体のなかでの位置は厚生労働省の賃金構造基本統計調査(結果の概況)で確認できるよ。前者は病院を対象にした調査、後者は産業分類での集計なので、用途に合わせて使い分けてね。
- Q2. 「基本給」と「税込給与総額」はどう違いますか。
- 基本給は手当を除いた土台の金額で、税込給与総額は通勤手当や夜勤手当などを足した合計だよ。日本看護協会の調査では新卒(大卒)で210,963円と274,752円というように、両方が別々に公表されているの。
- Q3. 夜勤の回数を変えると収入はどのくらい動きますか。
- 1回あたりの手当額は勤務形態で違い、二交代制の夜勤では平均11,368円と報告されているよ。ただし支給の仕組みは病院ごとに違うので、給与規程で自分の職場の支給形態を確かめてから判断してね。
- Q4. 副業を始める前に最初にやることは何ですか。
- 勤務先の就業規則を読んで、副業・兼業の規定がどうなっているかを確かめることだよ。全面的に禁止する規定がある病院は35.8%、許可に関する規定がある病院は44.3%と報告されているので、届出の要否まで含めて確認してね。
- Q5. 副業の収入はいくらから確定申告が必要ですか。
- 国税庁の案内では、給与を1か所から受けていて給与の全部が源泉徴収の対象である場合、各種の所得金額の合計額が20万円を超えると確定申告が必要とされているよ。基準は収入ではなく経費を引いたあとの所得なので、そこを取り違えないようにしてね。
- Q6. 家族の扶養に入っている場合は何を見ればいいですか。
- 扶養控除のページに示された合計所得金額の基準を確認してね。年間の合計所得金額が58万円以下という要件があり、令和8年12月1日施行で令和8年分から62万円以下に引き上げられるという注記も出ているよ。
- Q7. 資格を取れば手当は増えますか。
- 病院によるとしか言えないのが実情だよ。処遇改善評価料の対象外の病院では、専門看護師・認定看護師の処遇改善に着手したところが1.6%という集計が出ているので、自分の職場の資格手当の規定を先に確認するのが確実だよ。
- Q8. 看護師の給料は、ほかの職種より低いのですか。
- 公的データだけでは言い切れないよ。厚生労働省の結果の概況で見られるのは産業別の賃金で、医療,福祉は315.7千円、全産業は340.6千円(令和7年・所定内給与額)。この区分には看護師以外の職種も含まれるので、看護師と他職種の優劣を示す数字ではないの。
- Q9. 求人票で給料を比べるとき、どこを見ればいいですか。
- 基本給、固定残業代の有無、毎月固定の手当、夜勤手当の支給のされ方を分けて見るのが基本だよ。日本看護協会の調査でも基本給と税込給与総額は別々に集計されていて、手当込みの金額だけでは中身が比べられないの。詳しい項目は「求人票を同じ形に分解して比べる」の表にまとめているよ。
参考・引用元
この記事を読んだ人におすすめ
まとめ|給与の内訳を知ってから選択肢を選ぶ
この記事で確認したこと
最後に要点を振り返るね。
- 公的統計の「賃金」は所定内給与額で、残業代や深夜勤務手当、交替手当が差し引かれた金額だった(主な用語の定義)。
- 産業別では医療,福祉(315.7千円)が全産業(340.6千円)より低いが、看護師だけの金額ではなかった。
- 看護師の基本給と税込給与総額のあいだには6万円から8万円の開きがあった(2023年 病院看護実態調査 報告書)。
- 産業「医療,福祉」の賃金は令和7年で315.7千円、平均勤続年数は9.9年だった(産業別にみた賃金)。
- 賃上げの原資は診療報酬制度と結びついていて、処遇改善評価料の対象になっている病院は約半数だった。
- 収入を増やす選択肢は、職場の条件、夜勤の回数、資格と役割、副業という順に整理できた。
今日できる確認
いま何か一つ動くとしたら、給与明細を開いて基本給と手当を分けて書き出すことだと思う。
そのうえで就業規則の副業・兼業の条項と、夜勤手当の支給形態を確かめる。
この2つが分かるだけで、次に取れる選択肢の範囲がはっきりするよ。
「安いかどうか」という問いは、内訳が見えて初めて自分の答えが出せる問いなんだよね。
この記事の数値はすべて2026年10月14日時点で、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をはじめとする各公式ページの本文で確認したもので、制度や金額は改正で変わることがあるから、判断するときは出典のページを開いて最新の記載を確かめてね。
読み終えたら、次は発信の準備を
仕事や暮らしの経験を、Instagramでの発信に活かしたい方へ。インスタ大学の一般教材の受け取り方を、公式LINEで案内しています。
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