夜勤明けの看護師の眠り方で迷ったときは、「帰宅してすぐ寝る」か「夕方まで起きて、夕方から長めに寝る」かを、自分の夜勤の入り方に合わせて選ぶのが出発点です。厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023は、交替制勤務の項で、夜勤の回数が週に1〜2回程度の場合と、それより頻繁な場合とで考え方を分けています。どちらを選ぶにしても、夜勤明けの昼間の眠りは夜の眠りより浅くなりやすいため、眠る前の過ごし方と寝室の整え方で差が出ます。
この記事では、2026年10月13日に厚生労働省の睡眠ガイドとe-ヘルスネットの交代勤務睡眠障害のページを実際に開いて確認できた内容だけを使い、夜勤明けの退勤から次の勤務までを時間帯別に整理します。確認できなかったこと、公式が示していないことは、そのように書き分けます。眠りの感じ方には個人差があり、この記事は医療上の助言ではありません。眠れない状態が続くときの相談先も、最後に整理します。
夜勤そのものがつらい、続けるか迷っているという段階の方は、先に看護師の夜勤がつらい時の対処法と夜勤なしで働く選択肢をまとめた記事を読むと全体像をつかめます。この記事は、夜勤を続ける前提で「明けの眠りをどう整えるか」に絞って進めます。
夜勤明けに寝つけない・途中で目が覚める理由
夜勤明けの朝に寝つけない、寝ても途中で目が覚める、起きても疲れが残る、といった状態は、e-ヘルスネットが交代勤務睡眠障害の典型的な症状として挙げているもので、自分の気合いや体質の弱さだけが原因とは説明されていません。
e-ヘルスネットの交代勤務睡眠障害のページによると、夜間の勤務を終えて朝方から睡眠をとろうとするとなかなか寝付けず、寝付いても何回も途中で目が覚めてしまうことが典型的な症状とされています。起床後に疲労回復感が乏しく、夜間の勤務時間帯には眠気や注意集中の困難、作業能力の低下がみられるとも書かれています。
同じページは、その背景として、深部体温のリズムやメラトニン、コルチゾールなどのホルモンのリズムが、夜間勤務に伴う睡眠スケジュールに完全には同調しにくいことを挙げています。つまり、眠る時刻を夜から朝へ動かしても、体の側の時計がすぐには追いつかない、という説明です。
読む側にとって大事なのは、「夜勤明けに眠りにくいのは珍しい状態ではない」と知っておくことです。眠れないこと自体に焦ると、寝床の中で時計を何度も見てしまい、さらに目が冴えます。まずは「眠りにくくなりやすい条件で眠ろうとしている」と捉え直し、次の章から、整えられる部分を一つずつ見ていきます。
睡眠ガイド2023が交替制勤務について書いていること
睡眠ガイド2023は、交替制勤務を体内時計に負担がかかる勤務形態と位置づけ、仮眠、カフェイン、光の扱いを工夫の例として挙げる一方で、不眠や強い眠気が続くときは医療機関の受診を勧めています。
厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023には、「就業形態(交替制勤務)と睡眠の課題について」という項があります。そこでは、交替制勤務は始業と終業の時刻の組み合わせが固定されず、日ごと、または一定の期間ごとに勤務時間帯が変わる勤務形態と説明されています。勤務時間帯が夜から朝までの1パターンだけの場合は、交替制勤務には含まれないとされています。
同じ項では、交替制勤務は不眠や眠気、睡眠休養感の低下といった睡眠に関連する症状との関連が報告されていること、仕事の効率の低下や、勤務中・通勤中の事故やけがとの関連も報告されていることが述べられています。さらに、仮眠やカフェイン摂取などをうまく利用すると、業務中の眠気が改善し、仕事の効率が向上する場合がある、という整理もあります。
注意したいのは、ガイド自身が、本ガイドで推奨している対策が交替制勤務の人には参考にならない場合もある、と書いている点です。一般の人向けの「毎日同じ時刻に寝起きする」「朝に光を浴びる」といった推奨は、そのまま夜勤のある生活に当てはめられないことがあります。この記事でも、ガイドの記述を引くときは、どの勤務の入り方を想定した文なのかを分けて書きます。
もう一つ、ガイドは不眠、睡眠休養感の低下、勤務中の眠気が続いて日常生活に支障が出ている場合は、速やかに医療機関を受診するよう書いています。工夫で様子を見る段階と、受診を考える段階の線引きは、後半の章で整理します。
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退勤前から帰り道までに決めておくこと
夜勤明けの眠りは帰宅してから始まるのではなく、夜勤の終わりの過ごし方と帰り道の眠気への備えから決まっていきます。
夜勤の終わりに近い時間帯は、眠気が強く出やすい時間帯でもあります。e-ヘルスネットの交代勤務睡眠障害のページは、夜間の勤務時間帯の眠気と注意集中の困難を典型的な症状として挙げています。退勤前の記録や申し送りで、眠気によるミスを防ぐ工夫を職場の中で決めておくことが、帰宅後の眠りの準備にもなります。
帰り道については、睡眠ガイドが、交替制勤務と、勤務中や通勤中の事故やけがとの関連が報告されていると書いています。ここからの具体策は公式の文言にはないため、一般的な安全の考え方としての提案になりますが、次のような点を事前に決めておくと、眠気が強い日に慌てずに済みます。
- 運転して通勤している場合、眠気が強い日の代わりの手段(電車、バス、家族の送迎、タクシーなど)をあらかじめ考えておく
- 電車で帰る場合は、乗り過ごしを防ぐために降車駅の前にアラームを設定しておく
- 帰り道に寄る場所(コンビニ、スーパー)で買うものを前日までに決めておき、判断する回数を減らす
- 職場の仮眠室や休憩室を使える場合は、帰宅前に短く休めるかを上司や同僚に確認しておく
職場でこうした相談がしにくいときは、産業医や衛生管理者がいる職場であれば、そこを窓口にする方法もあります。勤務の調整は一人で抱え込まず、職場の仕組みを使うほうが長続きします。
帰宅後に「すぐ寝る」か「夕方まで起きる」か
睡眠ガイドは、週に1〜2回程度の夜勤なら夜勤明けも朝から午前中に日光を浴びてすぐ眠らず夕方以降に長めに眠る方法を挙げ、夜勤が頻繁な場合は睡眠不足が深刻になりうるとして注意を促しています。
夜勤明けの眠り方でいちばん迷うのが、帰宅してすぐ眠るか、少し起きていてから眠るか、という点です。厚生労働省の睡眠ガイド2023の交替制勤務の項には、この二つの考え方の手がかりがあります。
一つ目は、夜勤の回数が週に1〜2回程度の場合の方法です。ガイドは、夜勤明けも日勤の日と同じように朝から午前中に日光を浴びて体内時計を日勤の日に合わせ、夜勤によるずれをなるべく生じさせないようにする生活を挙げています。この場合、夜勤明けでもすぐには眠らず、夕方以降から、普段よりやや長めの睡眠時間を確保して、翌朝は日勤の日と同じくらいの時刻に起きるとよい、という流れです。可能であれば、夜勤中に職場で強い照明を避けることも添えられています。
二つ目は、夜勤がより頻繁に入る勤務の場合です。ガイドは、前述の方法だと睡眠不足がより深刻な問題になる可能性があるため注意が必要、と書いています。つまり、頻繁に夜勤がある人にとって「夕方まで起きている」方法は、公式に推奨されているわけではありません。
ここで押さえたいのは、「すぐ寝る」ことが公式に否定されているわけでも、推奨されているわけでもない、という点です。ガイドが示しているのは、夜勤の頻度によって選べる方法が変わること、頻繁な場合は睡眠不足に注意が要ること、の二点です。自分の勤務表を見て、週に何回夜勤が入る時期なのか、次の勤務までどれだけ空くのかを考えたうえで選ぶのが現実的です。
なお、ガイドの記述は一般の就寝を前提にしたものも多く、交替制勤務の項には、日中に眠るときの入浴の時間や、起床後に何時間で次の食事をとるかといった具体的な指示は書かれていません。書かれていない部分は、自分の体調と相談しながら試すことになります。
帰宅後の仮眠の考え方と長さの決め方
夜勤後の仮眠は、睡眠不足を補い、非番日の覚醒度や仕事効率を上げる可能性が示されていますが、夜勤明けの仮眠の長さそのものを定めた公式の目安は、睡眠ガイドの交替制勤務の項には書かれていません。
睡眠ガイド2023の交替制勤務の項には、夜勤後の仮眠が睡眠不足を補い、非番日の覚醒度や仕事の効率を上げる可能性が示されている、という記述があります。一方で、夜勤明けに何分眠ればよいかという数字は、この項にはありません。
数字が出てくるのは、夜勤中の仮眠についてです。睡眠ガイド2023によると、0〜4時に開始する20〜50分間の仮眠は、眠気や仕事の効率、疲労を改善させることが報告されています。ただし、仮眠の時間を60分間と長めに設定した研究では、仮眠をとるとかえって仕事の効率が低下したと報告されており、仮眠が長すぎると眠りが深まって、起きた後の強いぼんやり感(睡眠慣性)が生じやすいためと考えられる、と説明されています。この数字は夜勤中の仮眠の研究に基づくもので、夜勤明けに帰宅後の仮眠へそのまま当てはめてよいとは、ガイドには書かれていません。
では、夜勤明けの仮眠の長さはどう決めればよいでしょうか。公式の数字がない以上、次の二つの見方で自分なりの長さを探すことになります。
- 起きたあとにぼんやり感が強く残るなら、仮眠が長すぎるか、浅い眠りの途中で起きている可能性を疑う
- 夜の眠りが遅くなる、寝つけなくなるなら、仮眠が長すぎるか、起きる時刻が遅すぎる可能性を疑う
睡眠慣性への対策として、ガイドは、コーヒーなどでカフェインを摂取してから仮眠を開始すると、カフェインの覚醒効果により仮眠後の覚醒が容易になり、睡眠慣性も生じにくくなるとの報告があると紹介しています。ただし、カフェインの扱いには別の注意があるため、次々章の「カフェインと食事と飲酒の扱い」で改めて整理します。
仮眠のあとの予定も大切です。起きてすぐに車を運転する、危険を伴う作業をする、といった予定を入れず、起きてから少しの間は静かに過ごせる余裕を持たせておくと、睡眠慣性の影響を受けにくくなります。この点はガイドの記述からの一般的な応用にあたります。
日中に眠る寝室を整える・光と音と温度
日中に眠る場合の寝室づくりでは、e-ヘルスネットが挙げる遮光を中心に、睡眠ガイドが示す暗さ、静けさ、暑すぎず寒すぎない温度を組み合わせて整えます。
e-ヘルスネットの交代勤務睡眠障害のページは、カーテンなどで日中の遮光に十分注意すれば、日中の睡眠内容を改善させることも可能だと書いています。夜勤明けに眠るのは明るい時間帯のことが多いため、光の対策がまず効きやすい部分です。
睡眠ガイドの良質な睡眠のための環境づくりの項には、寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ること、暑すぎず寒すぎない温度にすること、できるだけ静かな環境でリラックスできる寝衣や寝具で眠ること、がそれぞれ良い睡眠につながると整理されています。これは交替制勤務に限った記述ではありませんが、昼間に眠るときにも考え方は同じです。
寝室を整える手順を、自分で組み立てやすいように並べると、次のようになります。
- 光:遮光カーテンや厚手のカーテンで窓を覆う。すき間から入る光が気になるときは、アイマスクを併用する
- 音:家族の生活音や外の音が気になるときは、耳栓や、寝室の位置を変えることを検討する
- 温度:昼間は室温が上がりやすいので、眠る前に寝室を涼しくしておく
- スマートフォン:枕元に置かず、通知を切るか、別の部屋に置く。ただし職場や家族からの緊急連絡が必要な人は、連絡を受ける手段を先に決めておく
家族と同居している場合は、「この時間帯は寝ている」と共有しておくことが、寝室環境の一部として見落とされやすい部分です。家族に頼みにくいときは、勤務表を冷蔵庫など目につく場所に貼る、玄関の呼び鈴や宅配の時間帯を指定する、といった小さな工夫から始められます。
カフェインと食事と飲酒と入浴の扱い
夜勤では眠気対策にカフェインを使う場面がありますが、睡眠ガイドは量と時刻に注意を促しており、夜間の食事や飲酒も眠りに影響するため、夜勤の終わりに近い時間帯ほど控えめにするのが基本です。
睡眠ガイド2023は、交替制勤務の項で、カフェインには眠気や疲労を改善させる効果があり、夜勤時の眠気に対して有効な場合がある一方、摂取が過剰になると健康や睡眠に悪影響を及ぼす可能性があると書いています。嗜好品の項では、カフェインの摂取量が1日400mg(コーヒーを700cc程度)を超えると夜眠りにくくなる可能性があり、夕方以降の摂取は夜間の睡眠に影響しやすいと整理されています。
これを夜勤に当てはめると、夜勤の後半、特に退勤が近い時間帯のカフェインは、帰宅後の睡眠に響く可能性があります。ガイドの数字はもともと夜に眠る人を想定した説明ですが、「眠る時刻の何時間前に摂ったか」が関係するという考え方は、夜勤明けにも使えます。夜勤中の前半は眠気対策に使い、後半は量と時刻を見直す、という配分が考えられます。
食事については、e-ヘルスネットの交代制勤務者の食生活に関する留意点が、夜間遅い時刻の食事は血糖値の増加を引き起こしやすいこと、おにぎりだけ、カップ麺だけのような糖質中心の食事は夜間遅い時刻の食事としておすすめできないことを述べています。主菜と副菜を組み合わせてバランスよく食べること、欠食を避けて1日3食にすること、または1食分を複数回に分ける分割食という方法があることも紹介されています。
夜勤明けの食事の準備に手が回らないときは、夜勤明けでも作れる簡単なお弁当の作り方を紹介した記事のように、前日に用意できるものを決めておくと、夜勤中も帰宅後も食事の判断が楽になります。
飲酒についても、睡眠ガイドの嗜好品の項は、眠るためにお酒を飲む寝酒は睡眠の質を悪化させる可能性があると書いています。夜勤明けに「一杯飲めば眠れる」と考えるのは、公式の説明とは逆向きです。
入浴については、睡眠ガイドの環境づくりの項に、就寝の約1〜2時間前に入浴して体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなる、という記述があります。ただし、この記述は一般の夜の就寝を前提にしたものです。交替制勤務の項には、日中に眠る場合の入浴のタイミングは書かれていません。夜勤明けに入浴を挟むなら、体が温まりすぎて目が冴えないかを自分の感覚で確かめながら、時刻を調整してみるのがよいでしょう。
夜勤明けから次の勤務までを時間帯別に整理した表
夜勤明けから次の勤務までを、退勤前、帰り道、帰宅直後、眠る時間、起床後、次の勤務前の六つに分けて見ると、公式の記述がどの場面に当たるかと、自分で決めておくことが整理できます。
ここまでの内容を、時間の流れに沿って一つの表にまとめます。公式が書いていることと、公式には書かれていないため自分で試して決める部分を、列で分けています。
| 場面 | 公式が書いていること | 自分で決めておくこと |
|---|---|---|
| 退勤前 | 夜間の勤務時間帯の眠気と注意集中の困難は典型的な症状(e-ヘルスネット)。週に1〜2回程度の夜勤の方法の一部として、夜勤中に強い照明を避けることも挙げられている(睡眠ガイド) | 終わり近くのカフェインの量と時刻、眠気で起きやすいミスへの備え |
| 帰り道 | 交替制勤務と通勤中の事故やけがとの関連が報告されている(睡眠ガイド) | 眠気が強い日の帰宅手段、降車駅のアラーム、寄り道の有無 |
| 帰宅直後 | 週に1〜2回程度の夜勤なら、朝から午前中の日光を浴びて夕方以降に眠る方法がある。頻繁な夜勤では睡眠不足に注意(睡眠ガイド) | すぐ寝るか、夕方まで起きるか。軽い食事の内容 |
| 眠る時間 | 日中の遮光に注意すると、日中の睡眠内容を改善できる(e-ヘルスネット)。寝室は暗く、静かに、暑すぎず寒すぎない温度に(睡眠ガイド) | 遮光とアイマスク、音への対策、スマートフォンの置き場所、家族への共有 |
| 起床後 | 仮眠が長すぎると睡眠慣性が生じやすい。夜勤後の仮眠は睡眠不足を補う可能性(睡眠ガイド) | 起きてからの予定の余裕、水分と食事、体を軽く動かす時間 |
| 次の勤務前 | 夜勤前の仮眠が、夜勤中の眠気や仕事効率の低下に有効という報告がある(睡眠ガイド) | 夜勤前に仮眠をとれるか、食事と入浴の時刻、持ち物の準備 |
表の右の列に書いたことは、公式が個別に指示している内容ではなく、公式の記述を自分の生活に落とし込むための検討項目です。全部を一度に決める必要はなく、まず「帰宅直後」と「眠る時間」の二行から決めると、効果を実感しやすくなります。
夜勤の入り方で変わる過ごし方の比べ方
夜勤の頻度と並び方によって、睡眠ガイドが示す方法の当てはまりやすさが変わるため、自分の勤務表を三つの型のどれに近いかで見分けると、選びやすくなります。
睡眠ガイドの考え方は、夜勤が週に1〜2回程度のときと、それより頻繁なときで分かれています。日本看護協会が公表している看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドラインには、夜勤後の休息に関する基準があり、2回連続して夜勤をする場合の休息は、1回の夜勤のあとより長く確保するべきとされています。これは職場の勤務編成の基準として書かれたものですが、個人が自分の勤務表を読むときの手がかりにもなります。
この資料は公表から年数がたっているため、最新の改定や具体的な数値は、日本看護協会のサイトで確かめてください。ここでは、数値には触れず、考え方だけを使います。
| 勤務の型 | 考え方の手がかり | 向きやすい過ごし方 |
|---|---|---|
| 夜勤が単発で入り、週に1〜2回程度 | 睡眠ガイドが、夜勤明けも日光を浴びて日勤の日に合わせる方法を挙げている(睡眠ガイド) | 夕方以降に長めに眠り、翌朝は日勤の日と同じ頃に起きる方法を試す |
| 夜勤が頻繁に入る | 同じ方法だと睡眠不足がより深刻になる可能性があるとされる(睡眠ガイド) | 夜勤明けに眠る時間を確保し、仮眠で不足を補う。日勤の日に合わせることにこだわらない |
| 夜勤が連続する | 日本看護協会のガイドラインは、連続夜勤のあとの休息を長めに確保するよう求めている(日本看護協会) | 連続夜勤の間は昼間の睡眠環境を整え、明けの休みは生活リズムを戻す日として使う |
同じ日本看護協会のガイドラインは、夜勤明けは、昼間睡眠をとったとしても睡眠が短くなりやすく、熟眠が得られにくいと説明しています。だからこそ、夜勤中に連続した仮眠時間を設けることや、夜勤後に十分な休息をとれるよう調整することが、勤務編成の基準として示されています。自分の努力でどうにもならない部分は、勤務表の希望や上司への相談という職場の仕組みで調整する対象だ、という整理ができます。
なお、夜勤明けの休みの使い方そのものは、夜勤明けにも対応した看護師の休日の過ごし方をまとめた記事に分けて書いています。この記事では眠りに絞り、休日の過ごし方には広げません。
夜勤の前と最中の仮眠をどう考えるか
夜勤中の仮眠が夜勤後の睡眠に及ぼす影響は、多くの研究でほとんどないとされています。また、夜勤前の仮眠は夜勤中の眠気や仕事効率の低下に有効という報告があります。
夜勤の途中で仮眠をとると、夜勤明けに眠れなくなるのではないか、と心配する人は少なくありません。厚生労働省の睡眠ガイド2023は、夜勤中の仮眠が夜勤後の睡眠に及ぼす影響については、多くの研究において影響はほとんどないとされている、と書いています。夜勤中の仮眠は仕事の効率を改善させることがわかっている、とも書かれているため、夜勤中に仮眠をとれる環境なら、とらない選択よりも、とる選択のほうに公式の説明が寄っています。
夜勤前の仮眠についても、同じ項に、夜勤中の眠気や仕事効率の低下に有効であるという報告があることが書かれています。夜勤の日は、家を出る前に短く眠る時間をつくれるかどうかを考えてみる価値があります。
ガイドは、夜勤中に適切に仮眠がとれるよう、休養時間の確保や、静かで快適に休養できる場所の整備についても検討することが望まれる、とも書いています。これは職場側への提案ですが、「仮眠をとること」を遠慮せず、とれる環境づくりを職場に伝えてよい、という根拠としても読めます。仮眠室の場所や仕切り、アラームの音量など、小さな点でも改善を提案しやすくなります。
仮の例で組み立てる夜勤明けの一日
これまでの内容を一人分の一日に当てはめると、「どこで何を決めるか」が具体的に見え、自分の勤務表に置き換えて考えやすくなります。
ここからは、実在の人物ではない「仮の例」です。夜勤が週に1〜2回程度入る病棟に勤める人を想定し、睡眠ガイドの週に1〜2回程度の夜勤の考え方に沿って組み立てます。数字は使わず、順番だけを示します。
- 退勤前:後半のカフェインを控えめにし、ミスの起きやすい作業は同僚とダブルチェックを依頼する
- 帰り道:眠気が強いときは電車で帰る。降車駅の前にアラームを設定する
- 帰宅直後:カーテンを開けて朝の光を浴びる。軽く食事をとる。ここですぐには眠らない
- 日中:洗濯や買い物など軽い用事を済ませる。眠気が強いときは、短い仮眠で補う
- 夕方以降:寝室を暗く涼しくして、スマートフォンを別室に置く。普段よりやや長めに眠る
- 翌朝:日勤の日と同じ頃に起きて、朝の光を浴びる
この例の通りに眠れるとは限りません。たとえば、帰宅直後に「どうしても眠い」という日は、ここで短い仮眠を入れ、夕方以降の睡眠時間を調整します。決まった型にこだわりすぎず、眠気の強さに応じて手順を入れ替える柔軟さも必要です。
この例で気を付けたいのは、「起きている間に何もしない」時間をつくらないことです。眠れないまま寝床で過ごすより、起きている間に軽い用事や食事を済ませたほうが、夕方からの眠りに入りやすくなる、という考え方です。ただしこれは公式に書かれた内容ではなく、ガイドの方法を実際の一日に落とし込んだときの一例です。
夜勤が頻繁な勤務の場合は、帰宅直後に眠る時間を確保し、起きてから軽く食事と用事を済ませ、夜にも眠る、という二段構えにする組み立ても考えられます。この組み立ても、睡眠ガイドが頻繁な夜勤での睡眠不足に注意を促していることに沿ったもので、公式が特定の手順を推奨しているわけではありません。
眠れない日が続くときの職場と医療機関への相談目安
不眠や睡眠休養感の低下、勤務中の眠気が続いて日常生活に支障が出ているときは、工夫を重ねるより先に、睡眠ガイドの勧めに従って医療機関を受診するのが目安です。
睡眠ガイド2023の交替制勤務の項は、不眠や睡眠休養感の低下、業務中の眠気が続いて日常生活に支障を来している場合は、速やかに医療機関を受診するよう書いています。ガイドに書かれた工夫を実践しても改善しないときも、医療機関の受診を勧めると明記されています。
受診先に迷うときは、かかりつけ医、睡眠外来、心療内科などが選択肢になります。職場に産業医がいる場合は、産業医の面談を通して相談する方法もあります。眠れないことに加えて、気分の落ち込みや食欲の変化、仕事に行くのがつらいといった状態が重なっているときは、早めに相談することが大切です。
気持ちの面の不調が心配なときは、看護師の燃え尽き症候群の対処法をまとめた記事や、看護師の適応障害について受診から回復までの流れを整理した記事も参考になります。仕事を休む選択肢を考える場合は、看護師が休職を考える前に知っておきたい手続きとお金の記事で流れを確認できます。
勤務そのものの見直しも、相談の対象になります。厚生労働省の勤務間インターバル制度のページによると、この制度は、終業時刻から次の始業時刻の間に一定時間以上の休息時間を設けることで、従業員の生活時間や睡眠時間を確保しようとするものです。労働時間等設定改善法の改正により、2019年4月1日から導入が事業主の努力義務になりました。自分の職場に制度があるかどうか、ない場合にどう検討されているかは、上司や人事、産業保健の窓口に聞くことができます。
夜勤の回数や並びを減らす働き方に目を向けたい場合は、訪問看護に転職する場合の働き方の違いを整理した記事、看護師を辞めたいときの副業・転職・退職手続きの判断ガイド、辞めたいと思ったときに休職・転職・副業を考える手順をまとめた記事が選択肢を広げる材料になります。
眠るための薬やサプリメントについては、この記事では扱いません。使うかどうかは、医師や薬剤師に相談してください。持病がある方、妊娠中や授乳中の方、現在通院して薬を飲んでいる方は、カフェインの量や仮眠の方法を変える前に、主治医に確認してください。睡眠ガイドもカフェインについて、妊婦はさらに減量するよう書いています。
生活リズムを整える工夫は、一度でうまくいくとは限りません。1回の夜勤明けの結果で良し悪しを決めず、いくつかの夜勤明けを通じて、眠りやすかった条件を記録していくと、自分に合う型が見えてきます。記録の項目は、眠った時刻、起きた時刻、起きたときの感覚、カフェインや食事の内容、寝室の状況、程度で十分です。
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よくある質問(FAQ)
- Q1. 夜勤明けは帰ってすぐ寝るのと、夕方まで起きているのと、どちらがよいですか。
- どちらが正解と決めている公式の記述は、確認できた範囲ではありません。厚生労働省の睡眠ガイド2023は、夜勤が週に1〜2回程度の場合の方法として、夜勤明けも日光を浴びて夕方以降に長めに眠る流れを挙げ、夜勤がより頻繁な場合は睡眠不足が深刻になりうるとして注意を促しています。夜勤の頻度と次の勤務までの空きから、自分に合う型を選んでください。
- Q2. 夜勤明けの仮眠は何分くらいが目安ですか。
- 睡眠ガイドの交替制勤務の項には、夜勤明けの仮眠の長さの目安は書かれていません。書かれているのは夜勤中の仮眠で、0〜4時に開始する20〜50分間の仮眠が眠気や仕事効率を改善させ、60分間と長めにするとかえって効率が低下したという研究の紹介です。出典は厚生労働省の睡眠ガイド2023です。この数字を夜勤明けにそのまま当てはめず、起きた後のぼんやり感や夜の寝つきを見ながら調整してください。
- Q3. 夜勤明けに寝つけないのは、自分だけでしょうか。
- 自分だけではありません。e-ヘルスネットは、夜間の勤務を終えて朝方から眠ろうとするとなかなか寝付けず、寝付いても何回も途中で目が覚めてしまうことを、交代勤務睡眠障害の典型的な症状として説明しています。生活の工夫をしても続く場合は、医療機関への相談を考えてください。
- Q4. 夜勤明けにコーヒーやエナジードリンクを飲んでもよいですか。
- 睡眠ガイドは、カフェインは夜勤時の眠気に有効な場合がある一方、過剰な摂取は睡眠に悪影響を及ぼす可能性があると書いています。さらに、1日400mgを超えると夜眠りにくくなる可能性があり、夕方以降の摂取は夜間の睡眠に影響しやすいとされています。帰宅後に眠る予定がある場合は、退勤が近い時間帯の摂取を控えめにして、眠る時刻との間隔を意識してください。出典は睡眠ガイド2023です。
- Q5. 遮光カーテンやアイマスクは効果がありますか。
- e-ヘルスネットは、カーテンなどで日中の遮光に十分注意すれば、日中の睡眠内容を改善させることも可能だと書いています。個々の製品の効果は公式には書かれていないため、まず部屋を暗くする方法から試し、必要に応じてアイマスクなどを足してください。
- Q6. 眠気が強いまま運転して帰っても大丈夫でしょうか。
- 睡眠ガイドには、交替制勤務と、勤務中や通勤中の事故やけがとの関連が報告されていると書かれています。運転の可否を一律に決める公式の基準は確認できませんでしたが、眠気が強い日は運転を避け、電車や送迎などの代わりの手段を使うことを前もって考えておくと安全です。職場の通勤手段のルールも、上司に確認してください。出典は睡眠ガイド2023です。
- Q7. 勤務間隔が短くて眠る時間がとれないときは、どこに相談すればよいですか。
- まずは上司や、職場の人事、産業医など産業保健の窓口が相談先になります。厚生労働省の勤務間インターバル制度のページには、終業から次の始業までに一定時間以上の休息時間を設けて睡眠時間を確保する制度が紹介されています。導入は事業主の努力義務です。制度の有無や運用は職場ごとに異なるため、自分の職場の状況を確認してください。
- Q8. 眠れない日が続いたとき、受診の目安はありますか。
- 睡眠ガイドは、不眠や睡眠休養感の低下、業務中の眠気が続いて日常生活に支障を来している場合は、速やかに医療機関を受診するよう書いています。眠れない状態に気分の落ち込みなどが重なっているときも、早めの相談が大切です。出典は睡眠ガイド2023です。
参考・引用元
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まとめ
夜勤明けの眠りは、帰宅後の過ごし方だけでなく、退勤前のカフェイン、帰り道の安全、寝室の遮光、起きた後の予定の余裕まで、時間の流れの中で整えるものです。厚生労働省の睡眠ガイドは、夜勤が週に1〜2回程度の場合と頻繁な場合とで考え方を分け、夜勤前や夜勤中の仮眠も工夫の一つとして示しています。
夜勤明けの仮眠の長さは、公式に目安がないため、自分の体の反応を見ながら決める部分です。眠れない状態が続いて日常生活に支障が出ているときは、工夫を重ねるより先に医療機関に相談してください。勤務表や勤務間隔で困っているときは、職場の産業保健や上司に相談する選択肢があります。
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